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TwiN 第2章
「大丈夫ですかー?」
司郎は耳にイヤホンを、口にマイクを付けていて、そこに話し掛ける。
「大丈夫、大丈夫。慣れてっから」
イヤホンから颯矢の声が返ってくる。その発信もとは司郎の遥か頭上、城門の中腹であった。スパイが使うような吸盤の進化した機械を用いて颯矢は壁を器用に上っていく。まさか自分も登るのだろうか、と司郎は漠然とした不安を感じ取った。質問をするまでもなく、金具の付いたロープがするすると降りて来た。イヤホンから声が聞こえる。
「さっき渡したベルトに付けてちょー。荷物はその辺に置いてっていいから。どーせ盗っ人もより付かん場所だし」
「僕……高所恐怖症です!」
司郎は口からデマカセを放った。
「わかったー。じゃあロープ付けたら目をつむってろー。自動で引き上げるからー」
どうやら逃げられそうに無いと判断した司郎は木陰にバッグを置き、素直にベルトにロープを取り付けた。
「んじゃ上げまーす」
グン! と上に引っ張られる力が腰に働き、その刹那ふわりと足が浮いた。司郎はロープを掴みながら体が城門にぶつからないようにバランスを取ったり、足で門を蹴ったりして宙ぶらりんで上を目指した。眼下に見えるバス停がマッチ棒程度に、荷物のバッグが黒胡麻位になった時、次第に近づいていたロープを巻き上げる機械音が止まった。
「うぃ。ご苦労さん」
そう言いながら颯矢は司郎に手を差し延べた。
「高いですね」
そう言いながら司郎はその手に捕まった。ひょいと持ち上げられ、司郎は城門の頂上に腰を降ろした。
「あぁ……少し休むか。高所恐怖症じゃないみたいだしな?」
完全に見透かされ司郎は気まずそうな顔をしたが颯矢は気にしない様子で隣に腰掛けていた。その体は司郎とは逆で城内にではなく町の方に向けられていた。司郎はそれに気付き、後に振り向いた。
そこには雄大な景色がどこまでも続いていた。やけにちっぽけに見える城下町、そしてそれを取り囲むように木々が繁っていてここまで続いている。町の向こうには小さな空港、小型の飛行機を4、5機ほど見ることが出来る。それを越えるとそこには草原が地平線まで広がっていてその真ん中に川が一本、一文字を画くように流れている。その川に沿って鉄道が走っていた。鉄道の先を見ると遠くの方に駅らしき物が微かに見えた。司郎は景色に心を奪われ、ボーッとした後、空港があるのに交通の便が悪いなんて非効率的だな。と我に返ってそう感じた。
川の向こうに広がる草原は人の住んでいる感じがあまりしてこなかった。どこまでも続く世界…そしてそれを覆う、雲一つ無い空は司郎が今まで見た空の青さの中で一番澄んでいるように思えた。その壮大な景色はちっぽけな自分を更にちっぽけにする程、大きく、高く、広い。まるで包み込まれるような錯覚に襲われる程だ。
「さて、と。行こか」
颯矢はたっぷり風景を堪能したように、満足そうに言うと司郎に向き直った。背を向けるように並んでいる駅のベンチのように二人の足は真逆を向いている。司郎は城側に足を出し、颯矢は町側に足をぶら下げていた。その颯矢が足の向きを変えずに、司郎にハグするような形で、後ろに体重をかけ司郎と颯矢はバンジージャンプの要領で一気に下まで下りた。途中まで重力加速度に身を任せ自由落下をしていたが、急に加速が減退して行き、速度も段々と落ちて行く。地上に着くまでには息を入れた風船が落下していくようにふわりと着地した。
司郎はこれが颯矢の力であるのか? とも錯覚したが、実際にはさっき着けたベルトからロープが伸びたままで、城門の上では機械が動作を終了し機械音がおさまっていた。だがそれが鳴っていたのも自分がロープを着けていることすら忘れて司郎はその初速で卒倒しそうな程に驚嘆し、今は安堵していた。当然あれ程の高さからダイブするなど司郎の常識では有り得ず、安堵したものの胸を叩くほどに早鐘を打つ心臓の鼓動が全身に響いてその音は耳を埋め尽くし、目は緊張の為か白い靄がかかったように眩んでいた。
「大丈夫かー? テンパってる場合じゃないぞー」
「貴方がいきなっっ!」
司郎が着地したその場所の正面には城の入口がまるで誘うように大きな口を開いていた。
「なんで開いてるんですかね?」
「さぁな。どうやら向こうは歓迎する気満々みたいだな」
颯矢は司郎を見ずに、ぽっかりと開いた暗がりから現れた闘犬を見て言った。その力強く土を蹴り走る姿は俊敏獰猛で、1m以上ありそうな体格と牙で大人でも易々と噛み殺すだろう。
「司郎、ロープを外して逃げる準備をしろ! つーか上に戻るか?」
「……」
「あ! 巻き取りスイッチ上だ。よじ登っても間に合わねーし。すまん。犬の糞になれ司郎! お前の尊い犠牲は無駄にはしない」
「すっげーでっかい犬ですねー」
司郎は呆けたように落ち着いて言う。口を開ければ頭から噛み付かれそうな大きさと威圧感を持った闘犬は、速度を落とす事なく司郎に飛び掛かろうとした。
司郎は動じる事なく、極自然に右手を前に広げ、怒鳴るでなく呟くように静かに「ステイ」と言った。闘犬は司郎の眼、手、声を見聞きしたその瞬間に足を止め、それまでの勢いで進んだ分を数歩下がって立ち止まった。司郎の威圧感は手を上げた瞬間から闘犬のそれを凌駕し、その眼は闘犬をすくませるのに充分な鋭さだった。広げた手を人差し指だけ立てて闘犬に向け、司郎は続けて「シット」と言った。すると闘犬は静かに地面に腰を降ろした。
「ははぁ……猛獣使い?」
見入っていた颯矢が感心して聞く。
「まぁそんなとこです。動物とか意思の弱い人とか油断してる人には精神干渉して操れたり命令したり出来ます」
「はー、若いのにたいしたもんだなー。でもあんまり人にあっさり教えるのは命取りだ。信頼してくれんのは有り難いけどな」
「一応、覚えておきます」
司郎はロープを外して、闘犬の頭を撫でながら生返事を返した。その様子を気にかける素振りも無く、颯矢は言った。
「よし! 突入だ~!」
「カム」
司郎は闘犬を呼びながらその後に続いた。そして危険を省みず宝を目指すトレジャーハンターが闘犬一匹に尻尾を巻いて逃げようとした事実に若干の疑問を抱いた。そしてそれより気になった事をぶつけてみた。
「門の上の機械はあのままで良いんですかー?」
「ん? あー良いよ。帰り使うでしょ。多分。それにあんなとこに有る物誰も取らないでしょ」
颯矢は楽観的な返答をした。
「そうですか……あ」
司郎の目に一本の火の点いていない松明が写り、気にかかった。
「松明要りますかー?」
「ふ、そんな前時代的なもんは要らないなー。そのまま武器にもなる必殺! 懐中電灯!!が有るからなー。急がないと置いてくぞー」
颯矢はマイペースでさっさと先に行く。
「待ってくださいよー」
司郎もマイペースで置いていかれるのを気にしないかのように後に続く。その横を速度をピタリと合わせて闘犬が歩いていた。
回廊は幅が広く、しばらくすると司郎の足元には槍やら矢やら斧が転がるようになった。司郎はガシャガシャと歩きづらそうに足場を見つけてはそれらを避けて通った。闘犬は普段ならその跳躍力や柔軟さで危険物などヒラリとかわすだろうが、まるで見えていないかのように尖った刃も破片も踏み付けて歩いていく。特に痛がる様子も無い。
司郎は足元に散らばる破片と遠くに見える懐中電灯の明かりを頼りに、道を進んでいった。その横を無言の闘犬が少し遅れて続く。
「全く、酷い散らかしようだ! もう少し綺麗に進めないのかあの人は?」
司郎は槍も矢も斧も飛んでこない道をガシャガシャと音を立てて進む。その後ろを足跡を残しながら、闘犬が息を切らしながら続く。
やがて懐中電灯の光が段々と近づいて来た。司郎にはそう感じられたが光が止まっているだけで、自分が近づいていた。光に到達すると颯矢は言った。
「それにしても暗いなー罠多いし」
「松明にしとけば良かったんですよ。懐中電灯は一方向ですけど松明は周辺が明るくなりますからね」
「そんな事より、犬連れて来たのかよ?なんか弱ってるし」
「いいじゃないですか。鼻が利くから役に立ちますよ。それに獣は頑丈だから平気です!」
「いいけどさ。……部屋だ。分かれ道も無かったからな。まだ先があるのかそれとも目的のモノが有るかどうかだ」
懐中電灯を当てて、部屋の扉を叩きながら颯矢は言った。軽くノックの様に部屋の扉を見せる仕種の後颯矢はドアノブに手をやろうとしたがそれが見当たらない。
「押し戸、か?」
今度は強くバンバンと戸を叩いた。
「部屋の中は……」
颯矢の台詞の途中、扉を叩いた衝撃に反応したのか回廊の最後のトラップが静かに発動した。一本だけ残っていた矢が颯矢の左耳の後、八時の方向から侵入角45°程、初速150km/hで打ち出された。音も無くコンマ数秒で到達した矢は目標に残り数センチの所で反動も無くピタリと止まった。司郎は同じような光景を一度見たことがあった。しかし、今のこれは明らかに特殊な性質のようなモノでは無く、絶対的な瞬発力と技がなせるモノだった。
颯矢の振り向きざまに出した右手に吸い込まれるように納まった矢は鋭利な先端を鼻先に向け、ピクリとも動かなかった。颯矢も表情を変える事は無かったが、常の闇のような二つの瞳が薄暗いこの回廊で僅かな光りを集め輝いていた。命の危機さえ楽しんでいるようなその目を司郎が確認することは出来なかった。やがて、颯矢は手の中の矢をその辺りの床にポイと捨てた。司郎はこの回廊に埋め尽くされるように出来あがったガラクタの絨毯の製造方法を垣間見た気がした。
対する颯矢は扉がいっこうに開かないのにシビレを切らしているようで苛立ちを体言するようにガンガンと扉を蹴り始めた。どうにも扉は頑丈らしくビクリともしない。ドアノブも手を引っ掛けるところも存在しない。颯矢と司郎の側に扉が開くとしても、向こう側からしか開かない仕組みなのかもしれなかった。
つまり中から誰かが出てくるか、扉の仕掛けを見破るか、町民が参拝するのを待つか…選択肢はそれだけだった。もっとも人気の無いこの城で中から人が出てくる事も、数週間後の参拝を待つ訳にもいかない。ともすれば選ぶべき道は見えているのだが答えは深い薮の中にあり、手探りでは蛇に噛み付かれるのが目に見えていた。
「どうやらお手上げのようだな?」
辺りを等しく大らかに照らす松明は神秘的とも言える緑色をしていた。その異質の光りを手に男は静かに颯矢と司郎の元に歩み寄っていった。
ガラクタの散乱する回廊に幽霊のように静かに進む男は松明の光りによって染まったものではなく、自らの色として揺らめく深緑の頭髪を持っていた。歳の程は30前後、その立ち振る舞いには貴賓すら感じられる。颯矢は扉を蹴るのを止め、静かに歩み寄るその男に向き直っていた。
「…………ジョージ」
「久方ぶりだな神凪颯矢」
目の前に現れた男は、司郎にとってとても大きく感じられた。それは視覚的な事だけでは無く、雰囲気としてもそうであった。颯矢がジョージと呼んだその男が手に持つ松明は燃料に特殊な物を使っているのか、それとも混ぜているのか、どちらにせよ緑色の淡い光りが辺りを包み込んだ。
すると突然、颯矢の後で頑なに閉じていた扉も光りを持ち始めた。扉の端の方から光が徐々に広がって行く。そして三人は気付かされた。ゆっくりと扉が開いている事に。
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