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TwiN 第8章
……繋がった。
颯矢の体の中を流れる黒いモノは抗体……ワクチンだ。神をウィルスとするならば。悪しき欲望や精神エネルギーの塊である神はその依り所を求める。たいていの場合は衰えのない金属やそれに見合うモノの内に。これを神を宿した物体を俗に神器というのは承知の通りだ。
しかし、依り所を金属等に求めるということ…それは神に必要なプロセスを省き、休眠している状態に過ぎない。真に必要なのは生きた魂。それも神に見合う最上のモノでなくてはならない。つまり人が必要なのだ。従順な従僕を求め、それに取り憑く。そして人間の一番深い所…魂の在る場所…心臓に根を張り共存もしくは支配する。その対価、代償として使用者は人知の及ばぬ力を得ることが出来る。言わば神器は人間に取り憑くウィルスであり『聖杯』はそれを殺す力を持っている。『聖杯』のワクチンは光刃に乗ってジョージの心臓……すなわち神器の核に突き刺さり、全身に行き渡る。ワクチンは猛毒ほどの早さで侵食し、神の支配を断ち切った。
ジョージは膝をつき前のめりに倒れ、黒い光刃は次第に薄くなり、消えた。円刀が手から滑り落ち床を鳴らし、同時に颯矢も片膝と手をつき息を荒く吐いた。今まで硬く痂のように塞がれていた脚や手、そしてクレアとの戦闘で負った胸の傷から、ドプリと血が不気味なほど流れ出した。このままでは出血死すると判断した司郎は颯矢の元に駆け寄った。
そして手を握った。それは単に励ましや勇気付けではなく司郎の人体操作の力で出血を止める為だった。
しかし、血は止まるどころかますます勢いを増し、血溜まりが拡がってゆく。
「何で!? 何で止まらないんだ!」
司郎の悲痛な声が室内にこだまし、無力を嘆く心が涙を生んだ。
「あのさ、末期の癌患者の親族じゃねーんだから手を取りながら泣くなよ気色わりぃ……」青白い顔をしながら颯矢は減らず口を叩く。
「なッ?」
司郎は気を失ってもおかしくない出血量に無駄口を言う颯矢にたじろぎながら、床の血量からもう助からないという直感を感じ、愕然とする。
「少しでも俺を助ける気があるんなら手を温っためる前にそれを拾ってくれ。」
颯矢が指差す先には颯矢が首にかけていたときは燻し銀に輝いていた懐中時計があった。今はどんな傷も汚れも寄せ付けないような黒い時計が一つ転がっていた。司郎が手に取ると不意に蓋が開き、文字盤が表れた。時計には針が一つだけあり、「2」を指していた。
「はやくー。マジで死ぬー」
司郎は不用意に下投げでヒョイと投げた。
「わ! 馬鹿! 危ねッ!」
慌てながらも手をワタワタさせながら颯矢はキャッチする。
「壊れたらどーすんだよ!」
「一番ぞんざいに扱ってんのはアンタだ!」
颯矢の主張に冷静なツッコミを加える司郎。出血量は尋常ではないのに楽観的な颯矢に司郎は危機感を忘れていた。首から吊す欠片に時計を差し込む。黒い塗装が晴れ、銀色に戻る時計。パカリと開け、颯矢は中を確認する。
「うわ!使い過ぎたな」
文字盤から「8」の文字が消えていた。
「まぁいいか……収穫もあったしな。よっと! うぉッ、立ちくらみぃ」
顔色はまだ悪いがどーゆう仕掛けか出血が止まっていた。そのまま立ち上がり貧血でよろめき血溜まりに手をつき暫く沈黙する。司郎は一瞬だけ真剣な顔付きになる颯矢を目にした。
「どうし……」
「勿体ねー売ったらどんくらいになんだろ?この血……」
どうかしたのかと司郎が問い掛ける前に颯矢から間の抜けた答えが返って来た。颯矢の胸の時計の中で針がカチリと「3」を指した。
「さて……宝も手に入ったことだし。まぁ、ジョージが邪魔しなきゃもっと楽だったが、とにかく! あとはこっから逃げるだけだ」
「この城崩れそうでなかなか崩れませんね」
颯矢は散らばった円刀を拾いながら言う。司郎もそれを手伝いながら口を開く。
「よっと!」
颯矢は円刀を集め終わると、ジョージの背中をグイと引っ張り持ち上げた。
「ぅわ……その人も連れてくんですか? 外で埋葬してあげるとか?」
司郎がその光景を見るなり言った。
「はぁ? いや死んでないし」
「でも! 剣で胸を一突きに……」
司郎は驚嘆し問い質す。確かにジョージは呼吸をしていた。さっきから司郎の理解の及ばないことが起き過ぎている。いや正確には城に入ってからずっとだが。
「いや……俺も刺されても死ななかったしなー。光の剣なんてそんなも……いやそれはさておきまぁなんだ! あれだよ! ミラクルだ! 奇跡に違いない!」
司郎の突き刺す視線に颯矢は言葉を失い、適当に理由を付けた。
「それで納得しろってんですか?」
「ジョージはきっと日頃の行い……トレーニングが盛んだったから助かったんだよ! いやー。見習いたいもんだなー」
「……」
司郎は怒りと怪訝さの満ちた表情を颯矢に向ける。
「そんなー、事よりもー、今は脱出が先ではないかな?」
颯矢はおかしな口調でごまかしにかかる。
「……貸してください僕がやります! ふらふらの人が怪我人運んだら足手まといですから!」
見るに耐えず手を差し出す司郎。颯矢に何かを聞いても自分が求める答えを得られる確率がロトくじ並だと理解したらしい。
颯矢は持っていたジョージを床に落とした。嫌な音が鳴る。
「なんだと? 怪我人より子供が運んだ方が足手まといに決まっ……」
「何が決定してるんですかね?」
気を失ったままカクカクと人形のように歩くジョージを見て颯矢は絶句する。
「……なんて便利な」
操るコツを得たのか司郎はジョージをスムーズに出口に進ませる。そして持っていた円刀を全て颯矢に押し付けた。
「僕、今手が塞がっているので」
「このやろ…………ん? 名案が浮かんだ!」
颯矢は片目をヒクつかせ怒りを表現する。が、直ぐにそれを溶き、閃いた顔と平手を拳で叩き閃いたポーズを作った。
「はい?」
「あそこに居る女、名前をクレアっていうんだが事実上この城の主だ」
「はぁ……」
司郎は話の先が読めずとりあえず聞く。その後ろで舵取の居なくなったジョージが派手に転ぶ。
「お前の力で操って扉を開けよう!」
「……」
司郎は一度黙り、しばし考えた後
「嫌です」
きっぱりと言った。
「あ?」
聞き取れなかったかのように颯矢は問い直す。その表情に軽さは見受けられない。
「嫌だ。と言ったんです」
「……何でだ?」
「生憎ですけど、僕はもう女の人は操らないって決めたんです」
言葉はまるで冗談のように軽く発せられた。けれどその目は真剣そのものだった。颯矢も城から脱出することに真剣でなかったらその目に気圧されていただろう。しかし颯矢はまったくたじろぐ様子は無く、逆に司郎を睨みつける。
「お前のフェミニズムに付き合ってる暇はないんだよ。もう一度言う。あの扉を開けるためにクレアを操れ」
それは静かに出た言葉だったが逆上した人間のよりも荒々しさがあった。
「……嫌です」
司郎は消え入りそうな声で呟く。しかし意見を違える気は到底なかった。
「このままここにいる全員が生き埋めになってもか? 命の危険にさらされてるのが解ってんのか?」
「……理解してます」
「自分を含む五つの命より意地の方が大事だってわけだ?」
颯矢から最後通告が出される。
「そうです」
そして司郎はそれに応える。
「そうか……なら仕方ねーな」
颯矢は意識して目を合わせようとしない司郎を見つめる。司郎が垣間見たその眼光は殺気を帯びていた。颯矢が暴力に訴えてでも主張を通すと司郎は勘ぐり身構える。しかし颯矢は司郎の横を通り過ぎた。
「本人を説得するか……
なッ!」
少し言葉に溜めを作り振り向いて声と同時に手を司郎の頭に乗せ、わしゃわしゃと掻き乱す。
「……っひ!」
司郎は颯矢の突然の行動に驚き、小さく悲鳴を漏らした。
「命令無視だなんて契約違反だ! 給料カット!」
司郎は後ろから頭を掴まれ、颯矢の表情を伺うことは出来なかったが声ほどに顔は笑っていないことが分かった。そして張り詰めたような空気が若干和むと、颯矢は司郎の頭から手を離した。
「司郎……」
名を呼ばれ、司郎は振り返った。
ヒュウっ!
空気を斬る音が聞こえ、前を向くと首元にピタリと刀があった。何の冗談かと思ったが颯矢の殺気を孕まないただ冷たい目。命を命として扱わない者の目を見た途端、司郎自身が凍り付いた。僅か数分前にも突き付けられた刀は持ち主を変えて、再び司郎に迫った。
しかし何度こんな状況になろうとも慣れるはずは無く、恐怖は格段に増していた。
「……やれ」
一言だけ発せられた言葉、それは問い掛けでもなければ命令でもなかった。よりシンプルな脅迫だった。もしこの場でNOと言えばその刀が司郎の細い首を両断するという意思が刃から発せられていた。それを感じ取ってなお、司郎は半歩足を前に踏み出した。首と刀の距離が無くなり、その切っ先数ミリが喉に刺さる。そこから滲む血が刃を伝い床に雫を落とす。赤い点が一つ二つと増えるが颯矢も司郎も一歩も退かずに視線を交わしていた。
刀の刺さった喉を動かし司郎は言う。
「……断る」
その眼差しは真っ直ぐで、曇りがなく強かった。颯矢はこんな眼差しを持つ人間を数えるほどしか知らない。一瞬だけ、そのまま刀を払い動脈ごと断ってしまおうか…という表情を作るも、颯矢は刀を退き血を振り払った。その行為は司郎の覚悟を認めた事を意味していた。そして溜め息交じりにぼやく。
「ハァーったく、こんなに脅しの効かねー奴は初めてだ。その意地、いつか損するぞ」
「自分でも嫌になりますよ。でも……父親譲りの頑固さはどーにもなりませんね」
そう言いながら司郎は少し嬉しそうな、どこか寂しいような悲しい笑顔を作った。颯矢はフッと鼻を鳴らし、司郎に背を向け出口へ、クレアのいる方向へ歩き出した。その後ろに司郎と頭から血を流すジョージが続く。出口の前で止まり、その横でうずくまってるクレアを見下ろした。視線に気付いたクレアはピクリと体を震わせた。
「こんな事言いたくないけどさ……」
「イヤよ!」
颯矢が言い終わる前に見た目よりもアグレッシブな返答が返って来た。
「どいつもこいつもNOの一点張りかよ」
「嘘つき」
「は?」
突然の暴言に颯矢は顔をしかめる。
「あんたも充分嘘つきだと思うけど?」
「……わたしを利用したんでしょ!?」
颯矢の皮肉を意に介さず、クレアは問う。
「……あぁ。利用したよ。出口を探す為に。そしてここから出る為にも利用する」
「この扉が開けたらもう用無しって訳ね」「かもな……」
「そしたらその宝を本当に自分の物にする為にわたしを殺すの?」
クレアはジョージと颯矢の会話を思い出し直も聞く。
「だったらどうだってーの?」
「なッ?」
そんな事をする必要が無い事に感づいていた司郎はその肯定するような回答に驚いた。
「やっぱり……」
怒りを浮かべそれだけで気を保っていたようなクレアは顔を下に向け、落胆や失望を表した。
「勘違いすんなよ。別に俺はあんたを殺したりする気なんかねーんだ。ただ、仮にそーであったら城から出んのを止めんのか?
神様の加護のある城の中より外の方が自由なのは確かだ。だが…時には命の危機に晒される事もある。それが生きるっつー事だろ」
「……」
「閉じ込められてんのが嫌だから外に出たいって家出のガキみてーな覚悟しかねーわけじゃねーだろ?」
「わかんないよ!覚悟なんか! ……でもここで! この城でこれ以上寂しい思いをして独りで暮らすのは嫌なの!」
「なら選べよあんたを縛り付ける神様はもう居ねーんだから。今あんたを縛ってんのはあんた自身の恐怖だろ?」
「……ッッ!」
クレアは一息に立ち上がり背を向けた。そして目の前の扉と対峙する。外の世界と今まで生きてきた世界を隔てる扉…それを乗り越えることがどれだけの恐怖をはらんでいるのか颯矢にも、司郎にも推し量る事は出来ない。その扉は彼女にしか開くことの出来ない扉。彼女は恐怖を押さえ込み、今それに手をかけた。
「約束したよね。選択するのを邪魔するモノは全部消してくれるって……この恐さを消す為に外では一生わたしを守ってよね! 颯矢!!」
振り向きながらに見せたクレアの顔は扉から差し込む月の光りに彩られ、輝いていた。
「へ? え? お、俺ぇ!?」
セリフとその光景にドキリとした颯矢は紛らわすかのように辺りを見回す。しかし他に「颯矢」と名指しされた人物はいるはずが無かった。司郎は「あんたそんな恥ずかしい約束したんすか?」という視線を送っている。ジョージは未だに意識を取り戻さず、首がグダングダンで頭から流れた血が固まって見た目的にまずい事になっている。少女は初めて浴びる星の光りの中、両手をいっぱいに広げて踊り出しそうな軽やかな足取りで広大な自由の牢獄に足を踏み入れた。
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