よめご日記。in CA ~いっちゃん、好いとぉ~

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出会い(7)



ゴリラの仲間達は銘々飲んだり踊ったりと楽しんでいます。



少し疲れた私達は、座って話をしました。

お酒の席での他愛ない雑談が、いつしかお互いの身の上話へ。


実はワタクシふぃおなは当時、大きな傷を抱えていました。

浮気はする、お金はぱくる、暴力は振るう、仕事は無いの、四重苦の男の呪縛から、やっと抜けたところだったのです。

付き合う前はそんな姿は微塵も見せなかっただけに、気づいた時はショックでした。

もう、暫くは誰ともお付き合いしたくない、そんな気分でした。


そして、ゴリラも同様でした。

4年前に本気で付き合っていた彼女は、浮気を繰り返し、とうとう他の男性との子を身籠った挙句、

愛想を尽かして別れようとすると、警察を呼ばれたと言うのです。

以来、ずっと恐ろしくて女性と付き合えなかったゴリラ。



「お互い、次は良い人と恋愛できるといいね。」

「これだけしんどい思いをしたっちゃけん、きっと次は大丈夫くさ!」

そうお互いにエールを送り合ったのでした。



「そうだ、来週末は忙しいですか?」

ゴリラは仕事の関係で来日したそうで、滞在は3ヶ月、そして、残った時間はあと1ヶ月足らず。

けれど、忙し過ぎて、今まで職場と宿泊先の往復の毎日、今夜、例のハワイアン力士に誘われ、夜の街デビューだったそうです。


「少しは日本文化に触れてみたかったなー」というゴリラに同情した私。

普段は店を出たら、はい、ばいばい、なのですが、

<ま、悪い人や無さそうやし、日本での良い思い出作りに協力しちゃろーかね>

と、連絡先を交換し、次の週末に買い物や観光に付き合うことを承諾しました。

これもまた、運命の分かれ道だったのでしょう。



「あ、そういや、名前聞いてなかったね。私、ふぃおな。」

「僕は、シュレック」



そう!この、おでこの狭いゴリラこそ、私の未来の旦那様、シュレックだったのです。



あの時、母と実家に帰っていたら、

あの時、髪長姫の誘いを断っていたら、

あの時、違う店に行っていたら、

あの時、髪長姫と帰っていたら、

あの時、親切心を起こさず、次週の誘いを断っていたら、

今の私達は、無いんですよね。



そう思うと、つくづく、良縁っちゃ、どこに落ちとるか分からんもんやねぇと思います。



あの日、あの時、あの選択をして良かった。

本当に、本当に、良かった。











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