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クルマ好きというより、記事書くことしか考えていない記者が書くとこうなる.... 記事は東洋経済ONLINEからです。
瞬く間に時計方向へと回り始めた。ハンドルを右に切ったまま、アクセルとブレーキをコントロールして、車体が最初の位置から180度、ちょうど反対になったところを目安にスライドを止めた。 これは「アクセルターン」と呼ぶモータースポーツのドライビングテクニックだ。車体前部にエンジンを積み、後輪が駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)車のうえに、手動でギアを選び、クラッチでつなぐMT(マニュアルトランスミッション=手動変速)仕様で、一般的なクルマと比べて、エンジンや足回りを強化しているスポーツカーだからこそ、可能になる芸当である。 記者は昔、MT仕様のFR車に乗り、少しならテールが滑る「テールスライド」という状態を経験したことがあるが、アクセルターンのようにクルマを一気に反対方向まで滑らせたことはさすがになかった。人生初の体験である。「自分は『86』オーナーだが、公道ではこんなことはできない」とイベントに参加した40歳の男性は話した。ピストン西沢氏が言うように、「モータースポーツのテクニックを学ぶことで、公道での危険回避に役立つ」側面はあるだろう。 トヨタは発売から約1年となる今年3月末までに、国内で累計約2万6200台の「86」を販売している。月間平均にならすと約2200台。発売時目標の月販1000台を軽くクリアして、当初の想定を大きく上回っている。 記者が参加した「コントロールテクニックプログラム」は、一般の道路や駐車場とは切り離された空間だからこそ、可能になるイベントだが、それでも「お台場で、こんなことができるなんてすごいこと。日本の自動車メーカーでここまでやった企業はない。『86』の啓蒙に一役買っているだろう」とピストン西沢氏は評する。 スポーツカーカルチャー構想では、「86」で走ってみたいというコンセプトで、日本中の「峠」を厳選し、ドライバーを集めて走る「峠セレクション」なども展開。 スポーツカーに憧れ、実際に購入にまで至る若者は、どんどん減っていった。1990年代後半以降は、ミニバンやSUV(スポーツ多目的車)など、利便性を優先した車種や経済性に優れたコンパクトカーなどの人気の高まりとともに、スポーツカー市場は縮んでいく。 そもそも、「86」の投入まで、スポーツカーから最も距離を置いていた日本の自動車メーカーがトヨタだった。 今回の取材に当たって、今さらながら「86」を公道でも走らせてみた。記者はかつて某自動車関係会社に勤め、小型車から高級車、スポーツカーなど、さまざまな車種を乗り比べた経験がある。 個人的な感想になってしまうが、「86」は真っ直ぐに走らせているだけでも「ワクワクする」クルマだった。スピード感、エンジンやマフラー(排気管)の心地よい音、カッコいい内外装。コーナーでは思った以上に曲がり、絶対的ではないが十分な速さがある。車両本体価格300万円ぐらいのクルマがこんなにも楽しいとは。 海外ではスポーツカーは、日本ほど廃れていないということだろう。 クルマは単なる移動の道具か。確かにそうだが、それだけでもない。所有する満足感、走らせる楽しみを感じるクルマもある。その一つがスポーツカーだ。憧れを持っているのは若者だけでもないだろう。かつて熱狂した中高年世代も条件が許せば、購買意欲を持つ可能性はある。日本の自動車メーカーは、スポーツカーの魅力をまだまだ伝えきれていないのかもしれない。
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