Not Susannah, not Detta or Odetta, either? This one call herself Mia. (Wolves of the Calla.(S.King))一人の上流黒人女性の体の中に他の3人の分身がいて、それぞれは全く違い、全く違った時代に生きる。今は最後のMiaの話である。Miaは妄想の中で幻の城の無人の大広間の食卓に並べられた皿から様々なご馳走を食べ飲む。テ-ブルの下には得体しれない小動物が潜む。その彼女をつける男に彼女の妄想の城も食物も見えない。彼女の狂った動作を見守りながら自己の遠い過去の人々を回想し会話する・・これだけ聞いただけでこの小説が如何に複雑な記述をしているか分かると思う。幾日もこの本読みながら何を話しているか五里霧中。100ペ-ジもトンボ帰りして丁寧に読み始めたらやっと面白くなった。様々の食器が並び様々の食物を様々な思いで空想で食べる記述は絢爛怪奇。その複雑さが面白いことを発見した。昨日は「般若心経」の複雑怪奇な文章と意義に戸惑い困惑し、そのため記憶も支離滅裂、継ぎ接ぎのようななる自分に嫌気がさしていたら今日失望していた自分の読解力にちょっぴり光が差してきた。それにしても玄奘がインドに渡る長い旅の苦しみの中でこの経を唱え続けたというが・・・ここに語られている内容はただ 総て空であることそして仏の賛美だけ。本当に信じていたことが不思議でならない。ただ総てが空であるということに徹していく姿の玄奘なら分かる気もする。