Love Rainbow 03


さて、今回の物語は、「遠距離恋愛」がテーマです。
今日の話は、実話みたいに見えるかもしれません。
でも、あくまで、フィクションですよ。
というわけで、今日もスタートします。。

Love Rainbow Vol.03
「Norse Flight」


今から、もう9年も前の話です。
1993年の秋。
よしきにの家の電話が鳴りました。
よしきの妹が出て、少しするとこんな話が。
妹「お兄ちゃん、恵さんから電話ー。」
よしき「恵さん?どうしたんやろう?」
というわけで、電話によしきが出ました。
恵「よしき、お久し振り。」
よしき「恵さん、お元気ですか?北海道はもう雪ですか?」
恵「まだ10月じゃない。早いよ。
でも、もう紅葉は始まったかな?」
よしき「ホントに、季節が早いんですね。1ヶ月ほど。」
恵「で、最近淳ちゃん、どんな雰囲気なの?」
よしき「淳一さんですか?元気ですよ。
でも、何で恵さんが聞くんですか?」
恵「実はねぇ、遠距離恋愛、どうしようか相談しようかとね。。。」
恵さんは、よしきの4つ年上。
よしきにとっては、ホントにあたたかいお姉ちゃんって感じでした。
よしきも、色々このときは恋愛相談に乗ってもらってたし。

で、色々話を聞いてると、安心したらしく、恵はこんな事を行ってました。
恵「実はね、今度11月の終わりに、淳ちゃん来るんだ。札幌に。」
よしき「あれ?そうなんですか?聞いてなかったですねぇ。」

そんなことを聞いた後、よしきは出かける準備を。
妹「あれ?出かけるの?」
よしき「だって、バンドの練習やん。今日は。いってきまーす。」
そういうわけで、30分して、ミナミの練習場に到着しました。
淳一「遅いやん。よしき。」
よしき「淳一さん、すんません。色々用意に手間取りまして。」
淳一「さ、他のメンバーも集まってるし、練習開始。」
で、バンドの練習を2時間ほどしてました。

練習が終わってから、よしきが珍しく提案。
よしき「たまには、ご飯でも食べに行きません?みんなで。」
淳一「いいねぇ。で、どこ行くの?」
よしき「まだ、お昼ですし、マクドでいいでしょ?」
淳一「ま、いっか。智は?」
智「私も行くよ。もちろん。淳一もちでしょ?」
淳一「おいおい。。。じゃ、行きますか。」

というわけで、バンドのメンバー3人で食事に行きました。
そこで、よしきがこんな提案をしました。
よしき「そういえば、今度淳一さん、誕生日じゃないですか?11月。」
淳一「そうやで。プレゼント、待ってるで。」
よしき「後輩からたかりますか?笑」
淳一「まーまー。それを言うなって。」
智「ホントホント、よく後輩にプレゼント依頼するわ。」
淳一「智まで言うの?勘弁してな。笑」
よしき「で、競馬好きな淳一さんに、こんなプレゼントはどうかなって?」
淳一「何?」
よしき「再来週、エリザベス女王杯でしょ。
そこで、馬連1点勝負で馬券プレゼントしようかなって。
でも、条件があるんです。」
淳一「馬券ねぇ。何か、一瞬の夢のプレゼントですかいな。
で、条件って何?」
よしき「もし、その馬券が当たって、大金が入ったら。」
智「私たちに還元しなさいって?笑」
よしき「いえ、そうじゃなくて。
恵さんのこと、ちゃんとしてあげてほしいって。」
淳一「恵?何で、よしきが知ってるの?」
よしき「内緒ですよ。今日、恵さんから電話ありまして。
だから、練習遅れたんですよ。」
淳一「そっか。。。今度11月の末に逢いに行くねんけどな。
でも、何か遠距離に飽きてきたような感じ、してるねん。」
智「よしきのことやから、札幌に永住してあげてほしいって事じゃない?
淳一、私もその方がいいと思う。
だって、恵ちゃんの事を話してる淳一、一番楽しそうやもん。」
淳一「俺も、仕事してるし。でも、恵とはちゃんとしたいし。
わかった、大金が入ったら、やろ?」
よしき「よかった。恵さん、喜ぶわ。」

さて、馬券を買う当日の朝。
93年の11月14日。
朝から、バンドの練習場に3人が集まる。
あ、ホントの事を言えば、その話に賛同してくれたメンバーもいたので。
実際には、7人くらいになってました。
まず、よしきが競馬ブックを真ん中に置く。
よしき「さて、どうしますかね?」
智「提案者が独自に決めたら?」
淳一「それもそうやなぁ。で、よしきは何から?」
よしき「今回はですねぇ。ちょっと願掛けでもしようかなって。」
智「願掛け?どういうこと?」
よしき「ま、今回は恵さんと淳一さんの馬券でしょ?
で、淳一さん、どうやっていつも札幌に行ってます?」
淳一「え?飛行機に決まってるやん。」
よしき「札幌に行く方向は、北ですよね?」
智「何でそんなこと聞くの?」
よしき「軸は、だからノースフライトなんですよ。
だって、北へのフライト。淳一さんの今度の状態ぴったりじゃないですか。」
智「あぁ、なるほどね。よしきもシャレてるね。
で、1点勝負でしょ?馬連で。相手は???」
よしき「北がついてる馬が、もう1頭いるじゃないですか?ここに。」
淳一「まさか?ホクトベガ?」
よしき「そうですよ。それしかないでしょ?願掛けは。」
智「面白いこと考えたねぇ。さすがはよしき、面白い。」
A「でも、その馬連、200倍以上つくよ?よしき。」
淳一「200倍?おいおい。。。本気か?」
智「面白いねぇ。淳一、当たったらどうする?」
よしき「どうします?1人1000円で5人で5000円。
当たったら100万円。
もしきたら、確実に札幌永住決定ですね。これだけあったら。」

実は、この4日前、よしきが恵さんに電話してました。
よしき「恵さーん。誕生日プレゼント、どうするんですか?」
恵「よしきに言うの?はずかしいな。」
よしき「なんですか???」
恵「ペアリングでも買おうかなって。
もう、淳ちゃんとは付き合って1年以上たつしね。
そろそろ、私も考えようかなって。」
よしき「そうなんですかぁ。面白い馬を見つけたんですよ。実は。」
恵「何なに?競馬の事は、私に聞いてみてよ。」
よしき「月曜の登録見て、面白いのがいるんですよ。
ノースフライトとホクトベガ。」
恵「何で?ここはホクトベガはキツイかもよ。。。」
よしき「願掛けですよ。願掛け。」
恵「願掛け?どういうこと?」
よしき「将来、淳一さんと恵さんが、ちゃんと出来るようにって。
何か、北海道と大阪の遠距離じゃないですか?
やから、北海道にちなんだ馬券でもプレゼントしようかなって?2人に。」
恵「来たら、もの凄い事になるよ。きっと。いくらかけるの?」
よしき「今、5人から賛同もらってるんですよ。
1人1000円で5000円ですかね。
でも、淳一さんには、別のプレゼント、用意してるんです。」
恵「何?」
よしき「年末年始の飛行機のチケット。
今年は札幌で年末年始、過ごしたいって話してましたから。」
恵「なるほどね。よしき、いいことするじゃん。」
よしき「だって、恵さんと淳一さん、幸せになってほしいですもん。」

そんなことを思い出しながら、お金が集まりました。
実は、上の話は、よしきは智だけには、話していた内容です。
だって、このときの往復チケットって、高かったんで。
だから、2人からのプレゼントに往復チケット買っておいたんです。

淳一「で、誰が球場、行くの?」
(難波のウインズは、大阪球場の裏にあるんです。
今は、大阪球場もなくなりましたけどね。。。)
智「私が行くわ。いいでしょ?」
よしき「智さん、お願いしまーす。」
智「但し、当たったら、自分で換金行きや。」
で、馬連1-14を5000円分購入。
1点勝負で馬券買ったことに、智もドキドキ。
ビクビクしながら、智が帰ってきました。
さて、智が入れてくれたお茶を飲みながら、レースが始まる直前の話。
淳一が突然、立ち上がりました。
淳一「ゴメン、トイレ。」
その一言で、緊張していた雰囲気が、一気に和みました。
で、淳一が帰ってきたときに、ファンファーレが鳴る。
みんな、固唾を飲みながら、レースに集中する。
最後の直線。
ノースフライトが抜け出ようとする。
智「え?ウソ?」
その時、内から白い帽子が1頭。
よしき「ホクトベガやー!」
そのままゴール。実況のアナウンサーの「ベガはベガでもホクトベガ!」
というフレーズが響く。
淳一「え???ウソやろ???これ、当たってるの???」
智「よしき、、、すごい。。。願掛けだけで。。。」
よしき「僕も信じられないですよ。ホントに。。。」
A「払い戻し、待ちましょうよ。とりあえず。」
何か、みんなお茶を飲む手が震えてる。
その後、テレビで払い戻しが発表された。
「馬連 1-14 25650円」
智「電卓ある?」
A「あ、俺持ってますよ。はい。」
智「50×25650やから。。。128万???」
淳一「ウソ。。。俺、どうしようかなぁ。。。」
よしき「みんなの心は決まってるんですよ。もう。」
淳一「何?」
よしき「札幌に行って、恵さんとちゃんと。。。ね。
その為に、バンドがなくなっても気にしないですから。ね?智さん?」
智「私も、それなら賛成かな?淳一、後は踏み出すだけやで。」
よしき「智さん、一応あれ、渡します?」
智「あ、チケットね。はい、淳一。チケット。」
淳一「何これ?飛行機の?」
智「そう、年末年始のチケット。これでまた札幌に行っといで。」
淳一「ありがとう。換金行ってくる。」

その日の夜は、淳一が、馬券の一部を還元してくれるって事で。
みんなでメチャ豪勢な食事、食べさせてもらいました。

で、2週間後、恵さんから電話がありました。
たまたま、智とバンドの練習場にいたので、実質4人でトーク。
恵「願掛け、ホントになるとはね。。。で、どうするの?こんな大金?」
智「恵ちゃんと淳ちゃんの、新居の敷金、礼金にはなるでしょ?」
淳一「おいおい、、、どこ住むねん。」
よしき「決まってるじゃないですか。札幌ですよ。」

そんなことがあった3ヶ月後、淳一はちゃんと札幌で仕事を見つけ、大阪から引っ越しました。
智「何か、寂しくなるね。淳一いなくなると。」
よしき「でも、淳一さんにとっては、あれで良かったんですよ。」
智「私もそう思う。さーて、新しいメンバー探し、しよっか。」
よしき「そうですねー。淳一さんに笑われないよーにしないと。笑」


さて、あれからもう9年。
今年の6月、よしきは札幌にいました。
毎年、6月は札幌で、11月は大阪でメンバーが再会する約束なんです。
6月、札幌でまた4人が顔をあわせました。
智「元気ー?お、北斗君、大きくなったねー。」
淳一「元気元気。で、智も結婚したんよな。」
智「私も、今幸せやで。で、よしきは?」
よしき「相手はいないけど、いい意味で幸せですから。」
淳一「お前は、相手選びすぎるからなぁ。」
恵「でも、よしきには、いい人見つかるって。
だって、ね?色んな人助けてるし。」
智「やね。早く私たちに紹介しなさいよ!将来の人。見つかったら。」
よしき「ほーい。。。」
北斗「よしきお兄ちゃん、頑張ってね。北斗も、応援してるよ。」
そんな話をしながら、札幌に4人の笑い声が響きました。


さて、どうでした?
こんな話もいいでしょ?
そう、どんなキッカケで、恋愛が本物になるか、分からない。
それだから、恋愛って面白いんだと思うんですよね。
次回は、10月27日の予定です。
お楽しみに!


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