割箸職人のつぶやき

☆吉野林業

吉野材の元丸（一番根っこに近い部分の材）の元と末の太さの差は２間もの（約４メートル）で１寸（約３センチ）しか違わないという。そして１本の木で２間もの丸太を最低５本、良い木になると７本も取れることがあるという。

いかに背の高いスマートな木を育ててきたかわかる。
その上、成長が遅いということは年輪が密であることであり、正円に近い事は桶・樽用材として良質な材料となる。

板目取りした厚さ１センチあまりの板に、最低２，３本の年輪が入っていることが樽材の必須条件であり、吉野材はその条件に充分答えられる材の生産を可能にしたのである。

このようなスギの生産を可能にしたのは、密植に耐えられる土壌が備わっており、大きな風と雪の被害を受けることが比較的少なかったという自然環境に恵まれていたからであろう。
その上に雪や風の被害を最小限に食い止める人々の工夫があったのではないかと思われる。

吉野林業の経営上興味深いことは間伐材の利用方法である。
植林後８，９年間は毎年下草刈をして苗木の成長を助け、下草を刈る必要が無くなった時期に素性の良くない木を一度除伐して、１１，１２年生の頃にもう一度除伐を行う。この頃になると稲架を支える材としての需要があった。

その後植林後１５，１６年頃から間伐が始まるが、以降５年から１０年に一度間伐を行い、最終的には４００本から５００本の木を残すといわれている。
１７，１８年生の間伐材は磨き丸太として、２６，２７年生のものは柱材、
３５，３６年生のものは桁材、５０年生になると建具材、各種箱材、そして、６０年生になると柱、長押、垂木、敷居、天井竿材など、建築材、建具材、指物材として多様な使われ方をする。

そして、８０年生から、１００年生になると皆伐して樽丸や桶材として用いられた。廃材は割箸やかまぼこ用板などの生産にまわされ、吉野杉は余すことなく利用されてきたのである。

これを見れば吉野割箸はいかに有効利用されているか！

されてきたかがわかります。。

箸に限らず、吉野の先人の知恵は今も受け継がれているのです！！

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