Uo・ェ・oUくりんだよぉ~ん。爺じぃだよぉ~ん。

001~010

どじ丸物語(其の1)わんこ家に来る!

1984年5月連休の最初の日に彼は来ました。

バスタオルに包まれてダンボールに入っているその姿は、
長旅のため疲れきっている様子。
プ~ンとオシッコの匂い、
バスタオルがびしょ濡れ状態です。

「可哀想に、拭いてあげなくちゃ・・。」と、
濡れタオルで体全体をゴシゴシ擦ると、
嫌がる素振も無くこちらを見つめていました。
つぶらなその目は真っ黒で、
「ありがとう。」とでも言っている様に思えました。
貰ってくる前に聞いた話では母親はとても小さく、
そんなに大きくならないからと言われていたので“OK”したのですが、
その風貌はというと、顔はでかいし足が太くて長い。
一目見て大きくなりそうな気配。

「大きくなりそうだねぇ~。」
「いいよ、貰って来ちゃったんだから飼ってあげなくちゃ。」

もう、犬の本も用意したし(それも2冊)頑張ろうと心に決め、
まずは寝床の用意。

「最初だから玄関に入れてあげよう・・。」
「明日、小屋を作って外だね!!」

もともと室内で飼おうとは思っていなかったので一日だけの室内犬。

「明日はホームセンターに行って木材を買って来て小屋を作らなくちゃ。」
と、設計図を作り始めました。
雨に濡れないように、
屋根はプラスチックの波板で名前の札もと考えていると、
時間の経つのも忘れるほど心が踊っていました。

「名前はどうする・・?」
「明日まで考えておこう。」
「普通の名前じゃつまらないから面白いのがいいね。」
「ボケ作」「ドジ太郎」「ヌケ作」

彼には申し訳ないような名前を並べて面白がる2人。
玄関では何も知らずに眠りに入っていました。


どじ丸物語(其の2)なんで“どじ”なの?

ダンボールに丸まって寝ている彼を見ていると、
なんだか寂しそうに思えました。
今まで母親と一緒に幸せに暮らしていたのに、
突如引き離されて見知らぬ家の玄関先で寝かせられているんだもの。
「く~ん・・・く~ん。」
夜中泣き始めました。

「可哀想だね・・・。」
「ちょっと見てくるよ。」
「そうしてくれる。」

私は階段をそろりそろりと、起こさないように降りて顔を覗くと、
目を瞑ったまま泣いていました。
そっとバスタオルを掛けてあげて2階へ。
2~3度そんなことで起こされて朝を迎えました。

「わぁ~、やられたぁ~。」
「朝からなんだよ、うるさいなぁ~・・・。」
「見て見てウンチとおしっこ、台所が・・。」

見ると台所のそこここに。

「やっぱりお前は“どじ”だ。名前は「どじ」に決まり!!!」
「それで良いよ。ど~じ・ど~じ・・・。」

妻は台所の掃除、私は初めての散歩に出ました。
まだ首輪も買ってないのでフリーで散歩、
5メートルも歩かない内に休憩また休憩。

「ちゃんと歩きなさい。頑張って。」

よたよたと歩く姿を見ていると、可哀想になって直ぐ抱き上げてしまう私。
それを知ってか長く歩こうとしません。
20分程で初めての散歩は終わりました。

「朝ご飯だね。」

昨日、どじのためにと買っておいた牛乳とカステラ。
ぺろりと平らげてお腹はパンパン。
今日は首輪と綱を買ってこなければなりません、
それと住まいの算段。

「お金かかるね。」
「しょうがないよ、初めてなんだから。」

午前中、どじをひもで縛って玄関先に置いたままお買い物、
初めてのお留守番をさせました・・・・。


どじ丸物語(其の3)夕方の散歩でびっくり

初めてのお留守番をさせた日の午後
どじが来た事をご近所に報告がてらご挨拶。
我が家が一番奥にあることや、
周りに犬が居なかったことも幸いして歓迎ムード。

「番犬になっていいわね。」と、
ほとんどのご家庭で言われ
「頑張るんだゾ・・・。」
と、どじに言い聞かせる私。

本当は材木を買って来て、
一から作ってあげようと思っていた小屋も、
手間と値段に負けて出来合いの物を調達してしまいました。

首輪と綱は赤い色を、
そして柔らかいドックフード・ささみのおやつなどなど、
思い当たるものを買い込み自己満足の妻と私でした。
本を読みながらの同居ですから、
買ってきた2冊に書いてあることを全て行動に移していたようです。

「ど~じ、、お前はまだ赤ちゃんだから赤い首輪だよ・・。」

夕方、赤い首輪をした彼と2回目の散歩。
我が家の近くには川が流れていて、土手が犬の散歩コースになっていて、
今日が土手デビューの日になりました。

「大きいワンちゃんが来るからおいで・・。」
「ちゃんと歩いて・・!!」

大きい犬が来るとしっぽを丸めて、
挙句の果てにはごろりと寝転んだと思うとお腹を出して服従のポーズ。
小さい頃の犬は自分が弱いことを知っていて、
そのようなポーズをとるんだと聞いていたし、
大きくなっても飼い主や自分よりも強いものには、
服従するのが犬の本能だとも本に書いてあったのですが、
そこは親のエゴ

「早く大きくなって強くなるんだよ。」
「みっともないからお腹なんか見せるんじゃないよ。」
と耳打ち、・・・
分かるはずはないのにね。
散歩の途中おしりがふくらみウ○チの気配。
「こっちでしてよ・・。」
遅かりし・・・やられてしまいました。
「うおぉぉぉ~・・・・・・。」
唖然・びっくり・おっどろき!!
「虫がいるじゃないかよ!!!どうした大丈夫か?」
初めての経験。(汚い話しでごめんなさい)2匹もいたんです。

後で聞いた話しですが、
どじは生まれたとき牛小屋に居たそうで、
我が家に来る日までそこで育てられていたんだそうです。
それが原因で虫がウ○チにいたらしいのです。
食欲の余り無かったのも弱弱しい歩き方をしていたのも虫の仕業、
家に帰ってから虫下し(子供服用分の3分の1)を飲ませてあげました。
効くかどうかは結果待ち数日間が勝負です。
今日もミルクとカステラの夕ご飯。

「いいなお前は、美味しいものが食べれて・・。」
「しょうがないよねぇ~赤ちゃんなんだから、、、ねぇ~。」
「お前はいいな、お母ちゃんにも甘えられて。」

ちょっと嫉妬気味の私です。
夜はグッスリ寝られるようにと小屋の入り口にカーテンを引き、
なるべく明かりが入らないようにしてあげました。


どじ丸物語(其の4)夜のお母ちゃんは・・?

どじ::「なんか変だなぁ~カチコチ音がしてるし?なんだろう・・?」

夕方の散歩やらウ○チ事件やらで疲れたのか、
小屋の中でどじはグッスリとおねんね。
心配でソォーッと玄関のドアを開けては泣いていないかと覗きこむ私と妻。
しばらくは物音一つもさせないで眠っていたのですが、
9時頃から

「クンクン・・クォ~ン。」と寂しそうな声が。
「泣いてるよ、どうする?」
「本に書いてあったアレしてみる・・?」
「そうだね!ところであったっけ?」
「私達が使っているのでいいよ・・。」

トントンと2階へ上がって秘密の物をとってきました。

「どじのバスタオル持ってこなくちゃ。」
「起きてるみたいだから行ってくれば?」
「うん。」

匂いのついたバスタオルを取りに行くと、
どじはまん丸な目を開いてこちらを見ていました、
来てくれるのが分かっていたみたいです。

「バスタオルちょーだい。」

どじは「いや・・!」と言っているかのように、
前足でタオルを押さえていました。
どうにかバスタオルを取り上げてそれを綺麗に包んでから、
また小屋の中に戻してあげました。
何が来たかと不思議そうに音を聞いていたどじ。

「これで寝れるといいね・・。」
「大丈夫じゃないかなぁ~。」

私達2人は本に書いてあったことを信じて、
どじのためにと夜のお母ちゃんに目覚し時計を使ったのです。
その本いわく、
目覚し時計の秒針の「カチコチ・カチコチ」という音を、
母親の鼓動と思った子犬が寂しがらずに眠るというんです。
半信半疑で実行してみたのですが結果は良好。
「クンクン」と泣く夜鳴きは1週間くらいでなくなりました。
もう、いいだろうと取ってしまうと「クンクン」と始まります。
結局目覚し時計は2週間ほど、どじの所有物に・・・・。
いらなくなったと邪魔にするようになってから返してもらいましたが、
どじの匂いがいっぱい。
綺麗に拭いて匂いを取るために匂い消しをシュッシュッと。
しばらくしてからベッド脇で今まで通りの目覚し時計に戻しました。


どじ丸物語(其の5)早くも改名

どじ::僕のお父ちゃんは、
    なんで僕の名前をみんなに教えてあげないんだろう・・?
「名前は・・?」
な~んて聞かれると
「まだ付けてないんです。」
とか言っちゃって僕は「どじ」って名前があるのになぁ~。

毎日散歩に出かけると必ずと言っていいほど、
「お名前はなんていうんですか?」
と聞かれるようになってしまいました。
周りには大きな犬はいるのですが、
子犬はどじ一匹。
耳がたれていて顔が大きな彼は、
一躍近所の人気者になっていたのです。
聞かれてすぐ言えるような洒落た名前ではないし、
「どうしよう・・。」と妻と相談。
結局、どじのあとに「丸」を付けて、
男らしい名前にしようと言うことになりました。
これで、近所で名前を聞かれても恥ずかしくないと彼を呼ぶときも、
どじ丸・どじ丸」と大きな声で呼べるようにもなりました。
でも、名前を紹介するときは、
恥ずかしさもあって小さな声になってしまいます。

「えっ。」
と聞き直されて、

「どじ丸って言うんです。」と答えると、
「どじちゃんなの可愛い名前ね。」

とか言われて気持ちはウキウキ気分。
変わった名前かもしれないけど、
覚えてもらうには良かったのかななんて自己満足。

子供達は、
「どじ丸なんて変な名前、なんでどじなの・・。」
なんて言いながら笑って撫でてくれています。
もっともっと皆んなに名前を覚えてもらえると良いね・・・。
周りにいる犬は
「ランディー」
「ジョン」
「ベル」
と、ハイカラな名前ばかり。

どじ丸・・・・・・
なんて良い名前なんでしょう!!!
日本らしくて強そうで
飼い主のひいきめでしょうか・・・・・。


どじ丸物語(其の6)初めてのお医者さん

小さい内に一度動物病院に行っていろいろ診てもらおうと、
今日はドライブをかねて出かけました。
運良くその動物病院は会社の隣にあって、
狂犬病の予防注射の件で問い合わせに行った時、

「狂犬病の注射は年経ってからでいいんですが・・」
「お宅の周りはフィラリアやジステンパで早く亡くなっているようですね。」
と言われ心配になっての行動でした。
初めに名前・・・。
うんんんんん・・・・・・わんちゃんの名前だって?
改名しておいて良かったと、この時つくづく思いました。

誕生日?「いつだ~?」
「5月に来たんですけど?」

奥から先生が出てきて
「5ヶ月くらいだね・・2月生まれだな!」
ということで誕生日は2月で決まりました。

「SとMって?」
「雑種かどうかってことです。」
「色は・・?茶色が少しあるみたい?」
「白ですね!」

検診表を書いて待つこと数分、順番が廻ってきました。
「○○さ~ん○○どじ丸く~ん。」

周りからくすくすっと笑い声が、
やっぱり可笑しな名前なのかなと思いながら診察室へ入りました。
先程誕生月を決めてくれた先生が出てきて言いました。

「今日はジステンパの注射と三種混合(肝炎予防とからしい)
それと身体の検査をしましょう。」
「あとフィラリアの薬を出しますから今月(7月)から
11月まで飲ませてください。」
何がなんだか解らないまま先生の言い成りに、
「初めてのことだからチャンと診てもらわないと。」
と心配になっていたんですねぇ~。

後から考えると、
こんなにいっぺんにしなくても良かったように思えました。

耳の中や目、口を開けさせて喉の奥そしてお尻に体温計。
あの時の体重が何キロだったか・・・・?。
色々検査をして2本の注射。
「終わりました、何かあったらまた来て下さい。」
30分位でどじ丸の病院初体験は終わりました。

これから支払い、
どのくらいの金額がかかっているのか皆目見当もつかず、
「幾らくらいだろう?」
「2万円は取られるかもね・・?」
「持ってきたから大丈夫。」
などと呼ばれるまでの皮算用。
「○○さん。」
「お幾らになりますか?」
「2万8千円です。」
ドキッ・・・・・・
なんて値段なんだと思いながら、
妻からお金を貰って支払いを済ませました。
帰りの車の中で明細の確認。
「注射が5千円と8千円で・・。」
「初診料と検査料で・・・。」
「フィラリアの薬が5粒で7500円。」
「一錠1500円もするんだぁ~~高いね。」
「なんか色々書いてあるけど・・まっいいか。」
動物病院は保険も利かないし高いとは聞いていたのですが、
まさかこれほどとは思いもしませんでした。
狂犬病の予防注射をしていないので登録は春までおあずけ。

もらってきた愛犬手帳をみると、
名前の欄にはどじ丸と書かれていて、
性別オス、種類M、色・白色と記入されていました。
そうそう、先生が言うには、
どじ丸は紀州犬と洋犬(シェパードらしい)も混ざったミックスだとのこと。
「中型犬でおおきくなりますよ。」だって。
先が思いやられました。


どじ丸物語(其の7)湘南の海へ行く

初めてのお医者さんを経験した次の日曜日、湘南の海へ車で出かけました。
大きなペットボトルにお水、
それとおやつを持って海岸近くの公園の駐車場へ。
「どじさん着きましたよ。」
走っているときは窓から首を出して、
風に耳をパタパタさせながら喜んでいたような様子だったのですが、
かなり参っていたようで、
車から出した途端ヘナヘナと座り込んでしまいました。
「お~い、お水持ってきて・・。」
「入れ物は?」
「持ってきて・持ってきて!!」
「はい、洗面器。」
小さな洗面器に入れたお水は、
見る見るうちにどじ丸の口へそしてお腹の中へ・・

「うめ~・・・車の中で酔っ払っちゃたんだよ。」
「僕は車に弱いんだけど、わかんないのかなぁ~」
「もう少し水をくれぇ~~」

「まだ飲むみたいだよ。」
「半分飲んじゃうよ、止めといたら・・。」
「そうだね後にしよう。」
「どじさん、もう終わり。後でね。」

国道を渡り海へ。波も余りなく遊ぶには絶好の日和。
どじ丸を抱いて波打ち際へ、
足をペチャペチャつけてやると寄せる波が怖いのか、
チョコチョコっと足を上げて逃げています。
しっぽは丸まって恐怖の真っ只中。
「おかあちゃんの所へ行っていいよ。」
と、離してあげると熱く焼けている砂の上をまっしぐら。
「はい、お水・・。」
と、妻が入れた水をごくごく飲み干してしまいました。
しばらく砂浜で遊んだ後、
先程の公園へもどって見物を兼ねて付近を綱もつけずにフリーの散歩です。
日陰を探して歩くどころかすぐ隠れて動かなくなってしまいます。

「このままでいいかなぁ~?」
「ちゃんと見てればいいんじゃない?」
「わかった・・・。」

その後はどじ丸のフリータイム、
飽きるまで遊ばせてやろうと、
行方だけを追っていた私の所に帰って来るのかと思っていたら、
「なんて奴だ・・・・」
妻の所へ帰って行って、おやつとお水をせがんでいます。
要領が良いのか、
貰えるのは妻だと判断したのかは定かではありませんが、
何のために一生懸命遊んであげてたんだろうと私は不満でした。

「おかあちゃんじゃなくて遊んでるのはおとうちゃんでしょ!!」
「もう、遊ばなくていいんだね!!」

向きもしてくれません。
妻のところで甘えていた彼は満足したのか、
また散歩へ行こうとせがんできました。

時間は5時を少し過ぎた頃、
私達の夕ご飯もあるし帰ろうと言うことになり車へ。
乗ろうとしない彼を無理やり妻の膝に乗せ我が家へGO。
途中で妻と運転を替わり、
私はどじ丸と二人で下車して30分ほど歩いて家に帰りました。
オシッコとう○ちを済ませスッキリした彼は、
ミルクとドッグフードの夕ご飯。楽しい一日だったね・・・。

「もう、海は行かないからね!! 」

どじ丸は、そう思いました。


どじ丸物語(其の8)2度目の新築

何てこった・・・・・!!!!

小さく育つはずのどじ丸が大きくなっちゃって、
小屋が狭くて入ろうとしなくなりました。
「買うと高いから作ろうか?」
「新築工事を近くでやってるから、はぎれを貰ってきたら?」
と言うことで、
新築の工事現場へ行ってわけを話して、はぎれを貰ってきました。
「ちょっと待っていなよ、作ってあげるから・・。」
のこぎり・金づちを持ち出して小屋作りが始まりました。
図面も書かずメジャーで測りながらの作業です。
妻はちゃんとできるのかと見ているだけ手伝おうとはしません。
出るのは口だけ、
愛するどじ丸のために頑張っているのに何と悪い女房なんでしょう。

「まだ、出来ないの・・?」
「もう少し・・おやつ無いの?」
「どじさんと散歩行って来るから頑張って作っててね。」
「帰ってくる頃には出来てるね!!!」

半分強制です。

どうにか出来あがって、毛布とバスタオルを入れ替えて新築の犬小屋完成。
3ヶ月しか使わなかった小屋をぶち壊しにかかりました。
「確か1万円近くしたよなぁ・・・・」
「こんなに簡単に作ってあったんだ・・。」
などとブツブツ言いながら破壊。今回はタダ、
かかったのは労力だけ良かった良かった。
まだ散歩に行って帰ってこない。
「早くおやつ欲しいな。」
帰ってきてもどじ丸が最初におやつです。
私はその後、待ちどうしいです。


どじ丸物語(其の9)◇お座り

女の子座りだったどじ丸が、
やっと普通に座れるようになって初めてお座りの教育訓練をしました。

私が言う「お座り」を聞いて、
ちゃんとやってくれるかどうか心配でした。

自分一人では自然にお座りをしているのですが、
さすがに命令されてやるとなると、
ご主人様が何を言っているのか理解するには難しいみたいで、
なかなか言うことを聞いてくれません。

「どじさん、お座りは・・?」
「・・・・・・・・・」
「お座り!!!!」
「・・・・・・・・・」

立ったまま私の顔を見ているだけ。
両手(前足のこと)を持って腰のあたりを下に押しては、

「お座りは、こうやるの・・!」

と、言いながら頑張ってはみるもののどじ丸も強情を張っています。
おやつをほんの少しあげて、しばらく休憩。
どじ丸も疲れたらしくペタンと座りました。

「ここだ!!」私は空かさず
「どじさん出来たじゃない!!」

と言って、身体中を撫でてあげました。
何で誉められるんだろうと怪訝そうな顔をして、
それでも私の顔をなめている彼に

「今日中に覚えてよ、明日からはお手の訓練なんだから・・。」
と言いながら挑戦が始まりました。

「お座り!!」
「・・・・・・・・・」
腰が少し下がりました。
「そぉ~そうやってやるの。」
「お座りは!!」
「・・・・・・・・・」
「ちゃんとできないと、このおやつは食べれないんだからね!」

下に置いたおやつが気になってずっと下を向いたきり、顔は動きません。
もう少しです、
さっきと同じように両手を持って腰を軽く押しながら頑張りました。
始めて2時間程でしょうか、
スッと腰を押してる手の力が抜けたかと思ったら・・・成功です。
座ってくれました、やっと。
でも、ここで終わって忘れられてはと訓練は続きました。
3回に1回、3回に2回と出来る回数がだんだん増えてきて、
とうとうパーフェクトの域に。後は散歩のときに復習。
大丈夫、忘れてませんでした。明日からはお手の訓練です、
朝と夜のご飯のときに教えなくちゃと私だけ意気盛ん・・・。
どじ丸は何を思っているのやら?????????????


どじ丸物語(其の10)◇お手・・・。

猫のように何にでも手を出すどじ丸に、
お手なんかどうって事ないなとたかを括っていました。
会社から帰って、
遅い散歩を済ませた後から始めてみたのですがもう大変。
手は出すもののじゃれているだけで、お手の練習にもなりません。

お座りをさせて前足を手の上に乗せては、
「これが、お手だからね・・!!」
と言いながら何度も教えるのですが同じ事の繰り返し。
下を向いたまま手だけ出している姿はもうふてくさっています。

「どじさん・・おやつだよ!!」
「ハウ・ワウ・ハウ」
ワンにならない鳴き声でせがんでいるのですが、あげません・・。
「どじさんお手は!!」
「お手・お手」

口が・・・・・・・・

よだれを垂らしたベチョベチョの口が私の顔めがけて向かってきます。
「勘弁して・・おやつ上げるから、待ってて待ってて。」
仕方なく何も出来てないのに、おやつだけ食べさせてしまいました。
今日はここまでと、
私のほうが諦めどじ丸の夕ごはんを用意して家の中へ・・・・。

「出来た・・?」
「駄目だね!!」
「頑固だから、どじさんは・・」
「後でまたおやつ持って行ってやってみるよ。」

私も夕飯を済ませ、ゴロっと横になってテレビを見ていると、
外で窓越しに私を見ながら吠えてます。
朝と夕のご飯の後には必ずジャーキーを1枚あげているので、
それをせがんで吠えているんです。

「う・る・さ・い!!お手出来ないからあげないよ。」

ブツブツ言いながら横になったまま暫らくおあずけをさせておきました。
そのうちどじ丸も諦めたのか小屋に入ってふて寝状態、
おやつはそのまま上げずに終わりました。
次の日の朝も夕方も同じような状況でお手はやりません。
出来そうなのにやらないって感じでした。
3日目の夜は散歩が終わって夕ご飯を先にあげてしまい、
ご飯前の練習はしませんでした。

彼が食べ終わったのを見計らって、
今日はジャーキーを2枚用意して挑戦です。
「どじさん・・お手は!」
「・・・・・・・・・・」
「お手!!」
座った身体を左の前足で支えるようにして右を持ち上げようとしています。

どうやらバランスがとれていない様子。持ち上げた右足を取って
「出来たネェ~。」と思いっきりナデナデ。
これで気を良くしたのか、一生懸命右足を持ち上げます。
「ここだよ・・ここにお手!」
と言いながら下に手を置いて誘導、
ちょとだけ出来たと言ってはおやつをあげながら
「明日はできるかも・・?」
70%の確信をもって終了。
ちゃんとできたのは4日目でした。
暫らくは右手のお手だけでしたが、
いつのまにか左手のおかわりも覚えて訓練は成功。

お手に4日、

おかわりが出来るようになるまで10日位だったでしょうか。

とにかく頑固などじ丸、ゆっくりやりましょう・・・。





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