October 15, 2005
XML
先日、幼児を持つ母親たちの講座でお話させてもらったとき、
最初に自己紹介を提案し、
「学生時代でも、就職してからでもいいから、何をしてきたのか、
話してください」
と、お願いしました。

おもしろいなーというか、ちょっとびっくりしたのは、
「大学時代は○○が専攻で、このテーマについて研究しました」
とか、
「就職したのは、○○関係の仕事でわたしがやった業務は、

わかっています」
ってな話はまったく出ず、
部活にあけくれたとか、コンパ続きだったとか、事務の仕事
してたとか、営業やってたとかそういう話ばかりだった
ことでした。

時間もなかったし、それになにより、
核心に触れる話はよほどじゃないとしたくないものだから、
たった1回のあの場では、出なかったんだろうな・・・と
思っています。

それをするのが今回の目的でもなかったし。




みんなほんとに学校の話をしたがらない
(勉強嫌いだったのかな?)。
やってきた職業の話をしたがらない
(仕事嫌いだったのかな?)。

その経験が、自分にとってどんな意味をもたらしたのか


でも、冷静に見てみると、それって、
「嫌いなこと」にずいぶん大事な時間を費やして
きたことに、なりはしない?

人生のかなりの時間を費やして自分が選んでやってきたこと
に対して、それってちょっと、何じゃないかなあ?

過去のあなたが気の毒な気がする。
(同じ意味で、自分がつらかった過去を、いつもいつも
ことばにするのを見るのは、聞くのは、今のその人ではなく、
過去のその人が気の毒な気がする)




この前も書いたけれど、わたしは、福井県に生まれ育った
ことを、大事にしたいと思っているし、

京都で日本史の勉強をしたいと強烈に思った自分のこと
が、いまでもものすごく好きだ。
(今やっている仕事には、直接の関係はほとんどない
にもかかわらず。ほかの選択はなかったというぐらい
ベストな選択だったと、思っている)

学生時代、人が「読んでみたら」と薦めてくれた
白洲正子ワールドや網野善彦ワールドとは、
たぶん、一生のつきあいになるだろう。

たった1年半しかいなかったリクルートという会社のこと、
そこで経験したことのすべてが、のちに、フリーランスの
ライターになったときに生きたし、
今もきらきらと生きている。

(「営業」といってもわたしがやった営業は、求人広告の
営業で、青山のマンションオフィスを片っ端からノックして、
「求人ありませんか?」と聞いて歩くものだった。
毎週何十万、何百万の目標を与えられ、達成できないと、評価
が下がるようなものだった。よほどの神経の持ち主じゃないと
「落ちこぼれ」感覚を持っちゃうだろうな。
おかげで、社会の「単位」というものに
この目で直に触れることができたし、
「ああ、世の中ってこういうことで回っているんだなー」と、
知ることができたし、
「お金を稼ぐって、大変なことなんだなー」と、
アタマじゃなく、カラダで知ることができた)。

もうやることはないと思うけれど、
あの経験を、22歳でやってよかった!!

なにより、
「言ったもん勝ち」のあの社風が、どれだけわたしと会社を
救ってくれたか(今、よくわかる)。

初対面の人のところに
(考えている暇があったら、体を動かせーってことで)
物怖じせずに出かけられるようになったことは、
かけがえのない宝物だ。



そんなふうに、むかしの自分のことを、かなり丁寧に、
かなり楽しく、思い返している。

もちろん、0歳から3歳までの専業主婦時代のことも、
すっとばしはしない。
(いわゆる「育児不安」も、夫との熾烈なバトルも、
もちろん、たくさんありました)
その時期がなかったら、今のわたしはなかった。



あいにくだけど、ゲームやパソコンとちがって、
人生の「リセット」はできない。

いわゆる「やり直し」は何度でもできると思うけれど。
でも過去を「なかったこと」にはできない。

自分のやってきた勉強、
自分のやってきた仕事、
自分のやってきたこと、
そのつどの選択のすべてが、
今のわたしをかたちづくっている、
という自覚。

もちろん、
誰にでも言って回る必要は全然ないし、
「杉山さんに聞いてもらいたいんです」って
言われても、
ぜんぶを受け止める自信はまったくないけれど、

「大学卒業して、金融関係の仕事をして、25歳で今の夫
と出会って、2人の子どもに恵まれて、今はどっぷり専業
主婦です」

みたいな自己紹介は、やめましょうよ。

少なくとも自分のなかでは、
社会で言われるような表現で、
自分の人生を片付ける必要は
まったくない、と思う。



心の傷を癒すためとか、
今の親子関係を解く鍵にするためとか、
なんか、そんなもっともらしい(ちょっと病的な)
理由のためなんかじゃなく、

日常生活を営むための、
当たり前の作業として、
わたしのものがたりを
きちんと
いまのわたしに入れておく。

必要に応じて、引っ張り出せるように、
しまっておく。

それなしに、今も、未来も生きることは
できないという確信。

その作業が、
唯一無二の「わたし」をクリアに浮かび上がらせ、
自尊感情を確固たるものにしてくれる。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  October 15, 2005 11:01:09 AM
コメント(5) | コメントを書く
[杉山千佳(子育て環境研究所)] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


雨の中のベビーカーツアーでした。  
丸山政子 さん
名古屋は朝から雨。午後から柳原通商店街をベビーカーで練り歩く予定でした。あいにくの雨でしたが小降りなので行ないました。ベビーカー2台で親子2組の5人(2才・3才の兄弟と母・1才児とその母)、名工大の学生さん5人商店街のおかみさん4人主任児童委員2人高校生1人まめっこスタッフ6人(スタッフの子小学生2人も含む)大人が多かったのです。皆黄色いジャンパーを着て歩きました。体験後の意見交換をしたら雨の中のベビーカーで外出の大変さや何気なく歩いた道がこんなに歩きにくいことに気がついたなどなど意見が出ました。いろんな世代の方がいたので雨の中でも楽しく歩けました。中日新聞社が取材に来ていたので掲載されたらまたお知らせします。
(October 15, 2005 08:52:20 PM)

Re:あなたはむかし、何をしてきましたか?(10/15)  
マメコバチ  さん
「わたしのものがたり」←いい言葉ですね(^^)。
結婚・出産=リセット、みたいな観念が、なんとなく浸透してる気がします。
自分のルーツをさらっと言える機会があれば、
きっともっと、いいですよね。
「過去を借り物の言葉で話す」という暗黙の了解、自分や周りから覆していきます!
いつも杉山さんの言葉に、パワーをもらってます。 (October 15, 2005 09:44:21 PM)

わたしのものがたり  
るーぽじお  さん
自分のやってきたこと~そのすべてが今の自分を形づくっている
いいですねぇ。すてきですねぇ。そのとうりだと思います。今お通夜から帰ってきたばかりですが、じぶんのお葬式のことや私が発する最後の言葉なんかを想像していました。
(喪主がどんなあいさつするかなとか、子供達はどんな思いを持つのかなとか、私の思い出話ってどんなのだろうとか。)
せっかくだから、自分の人生歩きたいですね。しかも楽しげにシャキッと! (October 15, 2005 10:51:30 PM)

Re:あなたはむかし、何をしてきましたか?(10/15)  
はじめまして、子育ての、人生の先輩としてのコメント、いつも拝見させてもらってます。母親講座での質問ということですが、皆さんのいる前での自己紹介ですか?もしそうなら、私も同じように「さらりとした、うわべの自己紹介」をしていたと思います。この辺、日本人だな~~と思います。心の中では「過去の自分を嫌う」より、「過去の自分が好き」だという人の方が多いとおもいます。それを、そういった場所で堂々といえるか、いえないかの問題ではないでしょうか?日本人ももっと「自分について」色々語れる場所があればいいと思います。友達同士でも、「私はこう思う!」と胸をはって語るより、誰かの意見に同意するといった、「同調」が多いです。これからは、そういう事を語り合える相手も機会もつくっていきたです。そして初対面の人にも「堂々と」いられる自分になるよう、日々頑張っていきます。 (October 15, 2005 11:16:07 PM)

その自己紹介は  
自己紹介に不満を持たれたのは、「幼児を持つ母親たちの講座」での自己紹介だからですね。
自分のやってきたことについては、誰でもそれなりに自信があるでしょうし、過去の自分は好きだと思います。
でも自己紹介というのは、紹介する相手と紹介する場によって、紹介する内容が違ってくるわけで・・・
「幼児を持つ母親たちの講座」ということは、共通するところは母親であるというところしかないので、「ママ友」ができたらラッキーというくらいの自己紹介をするのではないかと思います。
私だったらウケ狙うでしょうな~

意図していたような「おもしろい」自己紹介を聞きたいと思ったら、今度は「自分自慢してください」って言ってみるのはどうでしょう?? (October 18, 2005 01:16:46 PM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Profile

4つ葉プロジェクト

4つ葉プロジェクト

Category

カテゴリ未分類

(92)

4つ葉プロジェクト+からのお知らせ

(42)

飛び入り参加。賛同人のコーナー

(111)

杉山千佳(子育て環境研究所)

(1000)

中村美香子(さんさんぷろじぇくと)

(39)

當間紀子(子ども幸せ研究所)

(79)

山田幸恵(Home Start Japan)

(45)

松田妙子(NPO法人せたがや子育てネット)

(101)

今井豊彦(保育関係/小5・小3の父)

(65)

井出崎小百合(オープンハウス童楽)

(20)

いしやまきょうこ(子育てサークルamigo)

(76)

武田ひろみ(4児の母)

(28)

横浜市在住 小1と年少の母

(19)

葦澤美也子(Sereno)

(64)

川越在住、双子のワーキングマザー

(22)

「子ども・子育て」関連記事から

(5)

山田麗子(「遊育」副編集長/扶養なし)

(12)

市川望美(世田谷子育てサークルamigo)

(20)

中橋えみこう@わははネット

(4)

宇治だより 迫きよみ

(12)

NPO松戸子育てさぽーとハーモニー石田

(15)

青い森から 沼田ひさみ

(9)

福岡柳川より 森郁子

(25)

新潟県より 椎谷照美

(15)

子育て支援総合コーディネーター草薙めぐみ

(20)

めだかfrom冒険遊び場

(14)

北九州から古野です!

(4)

小原聖子・新宿・ゆったりーの

(8)

北海道より中谷通恵

(7)

山梨チーム参上!

(10)

月末男☆西川正(ハンズオン埼玉)

(11)

林恵子(福井県敦賀より)

(13)

佐々木久美子(秋田・メリーゴーランド)

(5)

長崎県雲仙市桑田久美子

(4)

コマームスタッフより

(15)

愛媛・山里通信 鷲野陽子

(4)

Comments

つばき@ Re[2]:【妊婦さん堂々と障害者用駐車場を使えますよ】(07/20) はりまであいあいのBEKKIさんへ その気持…
つばき@ えええ 身障者の車椅子ユーザーからするとかなり…
はるか@ Re:極低出生体重児の親の会に参加(05/14) 何グラムで生まれたかって、別に未熟児で…
村松利安@ Re:PTA活動やってます(浜尾朱美)(09/14) ブログと無関係な案件で失礼します。昔、…

© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: