夜桜亭~月光店~

夜桜亭~月光店~

居酒屋の寝言騒動


             居酒屋の寝言騒動



その日、マブダチトリオと呼ばれる3人は珍しい事に夜に飲みに行っていた。
場所は普通のチェーン店の居酒屋。綾女の好奇心でやってきた。
「あーやっ!今日は眠らせないよっ!!」
「ぐれさんっ!ああ、愛を育もうではないかっ!」
「ぐれさん」
「あーや」
「よしっ!!」
「場をわきまえろ。」
3人はいつもの調子であやめはワイン、はとりは日本酒、紫呉は焼酎とどんどん酒を入れていく。


「若い子が居ないのもたまには良いもんだね」
「久しぶりだな。3人で飲むのも」
「居酒屋も悪いものではないね。」
「あーや、何で居酒屋に着たいとかいきなり言い出したのさ。」
「庶民的な味が恋しくなったからね。」
「あーやにしては珍しい事を」
はとりの口数が少ないのはいつもの事だが酒には強いほうじゃないらしい。
紫呉はほとんどかわらないのをいいことに酔った人を観察する悪趣味なことをしはじめる。
そして、綾女といえば・・・・

「聞いてくれたまえ!由希はいつになったら、いつに、いつになれば僕を敬ってくれるんだぁ~~!」
店内に響き渡る大声で由希について語り始める。
「あーや、すこし静かにしようか。」
「いいや、ぐれさん君は僕のこの由希に対する兄の持つ愛情を認めてくれないかい?」
「いや、だからね他の人に迷惑かかるでしょ。ね、ね?はーさんなんか言ってあげてよ」
「・・・・・。・・・・・・。」
「寝ちゃったよ」
綾女はついに立った。
「ゆぅ~~~~~~きぃぃぃぃぃ~~~~!」
「さすがの僕でも恥ずかしいよ。」
さすがの紫呉もまわりの視線が痛かった。
ボックス席に座っていた3人は向かいにはとりがいて綾女と紫呉が隣同士に座っていた。隣に居る綾女をどうにか座らせようと努力はしてみるものの立って叫びつづけていた。
「僕の由希、由希。どうしたら『草摩由希は兄を世界で一番愛しています』といってくれるんだぁーーーーー!」
「多分それは一生無いかも。とりあえず座ってさぁあ。」
紫呉もこのままじゃどうにもならなくなってきたのではとりを起こそうとした。


「はーさん、はとり、はとりさん!?ちょっと起きて。」
「・・・・ん。・・・・・ァン。」
「ん?ナニ?なんか言った」
はとりの寝言は正直綾女のことよりどうでもいいと紫呉は感じた。
「ん??ナニナニ??ムフフ」
「・・パン・・・が・・・食べた・・い。」
「あはっあははは!!!」
「パンが食べたい」
「あっっははははは!涙がっ・・腹がっ・・」
いつも真面目で綾女や紫呉に冷静な突っ込みをいれるあのはとりの寝言が
『パンが食べたい』
と言うのは紫呉にとってはかなりのツボにはまる発言だった。


翌日。
「ん・・・。はっ?!」
はとりが目覚めると手にフランスパンを握っていた。
「な、なんだ」
周りを察するとどうやら紫呉家だった。茶の間に向かうと、紫呉は笑い声を上げてその場に倒れこんだ。
「あはっあはっははは!!フ、フランスパンでよか・・った??」
「なんのことだ?」

その日からしばらく紅葉や撥春にからかわれる事になった。

                                end


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