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すずのお部屋
「ねえ、パパこっち向いて」メルマガより
「どうしてえ!使わないのに減っている」
~愛情の殖やしかたを間違えないようにしましょう~
◇――――――――――――――――――――――――――――――――◇
*自分探険*
「夫婦関係なんてもうとっくに破綻しちゃってるけど、今さらどうしようもな
いわ。とにかく暮らしていければ御の字ってとこね。もうけんかできるほどの
仲でもないし、余計なエネルギーを使うだけ損よ」
そうかもしれません。中途半端に期待するからストレスだってたまるんだし、
この際、何も期待せずに生きていくのもいいかもしれませんね。欲求そのもの
を持たなければ欲求不満に陥らない、これはフロイトも認めている論理です。
事実、その欲求をなくそうと座禅を組んだり、瞑想をしたりする人もいます。
……でも、ちょっと待ってください。
不景気の影響でしょうか、時代は「節約ブーム」です。でも、節約するものが
もしお金ではなく愛情だったらどうでしょう。受け取ることを期待しないかわ
りに、こちらも愛情を使わないという「愛情代謝」の低い生活は、たとえ欲求
不満を生まなかったとしても、あまりに生きている実感に乏しい気がします。
今まで述べてきたように、結婚は幸せを約束するものではありませんでした。
むしろ嘆きの場であり、忍耐の場であり、わたしたちを苦しめさえするもので
した。ではこのまま結婚は、無意味なもの、空虚なものへと追いやられてしま
うのでしょうか。
そうではないと思うのです。結婚とは「愛と憎」「喜と悲」「希望と絶望」
「愛着と拒絶」といったあらゆる対極を体験することで、自分自身の内面的成
長をとげる場だったのです。そしてこの尊きいばらの道は「男と女」という、
これもまた対極にあるものと向き合うことによって経験できるものなのです。
スイスの精神分析医グレイグは、結婚を「救済」とも表現しています。これは
結婚すれば救われるという意味ではなく「自分がほかの誰でもない自分自身で
あることを確認できる」という意味での救済です。人間として成長できるとい
う救いです。結婚の目的は経験による「学び」だったのです。
お金は使うと減りますが、愛情は使うと増えるのです。やさしくしてもらった
から相手を好きになるのではなく、実はやさしくしてあげた方が相手を好きに
なります。これを「行動が動機を促進する」といいます。ということは、うま
くいかなくなったからといって積極的な愛情表現をしなくなると、ますます相
手に愛情を感じなくなってしまうのです。その意味で、愛情の節約生活はあま
りお勧めできません。
シングルや離婚ばかりがポジティブな生き方のような雰囲気さえある昨今です
が、わたしは必ずしもそうとは思いません。なぜならこの「愛情代謝」が悪く
なっている状態は、生活習慣病を改善するのと同じぐらいに根気よく地道な努
力によって克服できる場合が多いと感じるからです。そして再び心を通い合わ
せることができたときが、まさしく「救済」の瞬間なのではないでしょうか。
また離婚は勝利でも敗北でもなく「計画を見直し変更した」ということです。
関係を解消するにいたったとしても、十分に向き合った経験をもっていれば立
ち直りも早いですし、きっとその後も、共に暮らしたことのある者同士、いい
関係を続けることが可能になるはずです。
「ねえ、パパこっち向いて」と心で叫んでいるわたしたちですが、案外夫の方
も、あなたにこっちを向いてもらいたがっているかもしれませんよ!
◇――――――――――――――――――――――――――――――――◇
*ココロとくらしの基礎知識*
~「ネットワーク家族」~
――――――――――――――――――――――――――――――
解説 「いい人が現れたら、さっさと離婚して再婚しよっと」なんて思っ
ている人もいるかもしれません。「ステップアップ離婚」などとい
われるように、離婚もステータスが高くなったものです。
ただ、特に子どもがいる場合、再婚は初婚以上に覚悟が必要です。なぜなら再
婚家庭は、もはや純粋な「核家族」になることは不可能になり、家族の外に家
族がいるという「拡大家族」になるからです。
離婚率の高いアメリカでは「ウイークエンドファミリー」と呼ばれるように、
週末には離婚した前の家族と過ごすといったことが盛んに行われています。
愛情本意であるほど離婚率が高くならざるを得なかった責任をとろうと、彼ら
は模索しているのです。しかし文化の異なる日本で、元夫が新しい妻子を伴っ
て元の妻子を訪ねるとなると、まだまだ課題は多そうです。
さまざまな障害を乗り越えて、たくさんの人が再婚して幸せになっています。
それはすてきな選択です。でもうまくいっている再婚家族には、はかり知れな
い努力があるようです。
自由な生きかたを手放したくない、あるいは子どもの縁故関係をシンプルに保
ちたいと、再婚を選ばない人も多くいます。それもまた積極的な生き方です。
しかし働くシングルペアレントだけで子どもを養育していくのは、相当大変な
のもまた事実です。
父親と母親が別々に暮らしても、学校の参観日には交替で出席したり、病気の
ときには手を借りるということができれば理想なのかもしれません。しかし現
実にはそういったケースはきわめてまれです。
そのとき必要とされるのが「ネットワーク家族」です。介護の分野では他人の
サポートを求めることの必要性が認められてきていますが、この考え方がよう
ようやく育児、教育にも広がってきています。
以前に「現代家族の分類」でご紹介した小此木氏は、愛情に忠実であろうとす
るほど男女の関係が破綻しやすくなり、また離婚・再婚によって人間関係が複
雑になることを指摘し、そのためには「ネットワーク家族」の構築が必要にな
るだろうと述べています。
「人と人との関係は、これまで夫婦とか家族とかと呼んでいたものとはずい分
違った性格をもつかもしれない。極端に言えば、子どもの存在、性的な関係の
あるなしとは別個の次元で、男性と女性がともに協力して暮らすということだ
って、ありうるに違いない(小此木氏)」
これからは独身を貫いた女性同士が一緒に暮らしたり、複数の男女がルームメ
イトとして共同生活するようなことがどんどん増えてくるのかもしれません。
その証拠に、子どもの父親役(自分のパートナーではなく)として、子どもと
遊んでくれる男性をインターネットで募集したシングルママが新聞で紹介され
人間関係のしがらみを取り除き、自由に生きることが今までの人々の願いでし
た。しかし血縁関係の意味がどんどん薄れていこうとするこれからの時代では
自分を守るために必要なしがらみ(ネットワーク)を、自分でつくっていくと
いうことが必要になるのでしょう。そしてそれは、今までにはなかった新しい
人間関係を生み出すことになるのかもしれません。
◇――――――――――――――――――――――――――――――――◇
*最後に*
「この内容でどうしてこのタイトルなのか」といったご指摘がありました。
わたし自身、かつてはいつも「ねえ、パパこっち向いて」と叫んでいたよう
に思います。しかし実はそうではなく「ママ、何してるの」とのぞきこんで
もらえるような生き方をしなければならなかったと気がつきました。このタ
イトルにしたのはそのためです。
自己責任の時代などといいますが、人間が生きていくのですから、結婚も独
身も、不倫も離婚も、専業主婦もキャリアウーマンもみんなありです。どれ
が悪くてどれがいいなんて、きっと決められっこないのでしょうね。ならば
なるべくオリジナリティがあった方が、何だかお得な気がします。まだまだ
先は長いのです。マンネリなんて言わせないできごとが、きっと待っている
に違いありません。乞うご期待!!
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