ユージンラボ

ユージンラボ

第二章 友達




部屋の中は絵描きが描いた絵で埋め尽くされていて、画材の独特な匂いがたち込めていた。


ぶるっと一回身震いして、あたりを見回すと青年が黙々と絵を描いていた。


「あ、気づいたか」


青年は絵を描いていた手を止めて、話しかけてきた。


そして優しく黒猫の頭をなでると、


「一応手当てはしたけど、まだ大人しくしてるんだぞ」


と言った。


-何故だろう…こいつに頭をなでてもらうと凄い安心する…-


首の下をかかれて思わずゴロゴロと鳴く黒猫。


「はっ?!俺ってば何なついてるんだ?」


一人で生きてきたブライドが目を覚ますと黒猫は青年から離れた。


「あぶねぇ…つい気を許しちまうとこだった。」


「こいつだって人間なんだ。人間なんて皆一緒だ…。」


そう思いながら青年を睨む。


ふぅ…と一息つくと黒猫を物凄い空腹感が襲った。


「そういや…2日前からろくなもの食ってないんだった…。」


ぐったりと寝転ぶ黒猫。


それを察したのか、青年が


「そうだ、腹減ってるだろ?ちょっと待ってな。」


そう言うと青年は台所へと消えていった。


しばらくするといい匂いがしてきた。


「ごめんなぁ、貧乏でこんなものしかできないけど…。」


そう言いながら青年が台所から出てくる。


「飯だ!!」


黒猫は青年のところへがぶり寄った。


「何だお前、げんきんな奴だなぁ。」


苦笑しながら青年がご飯を床に置いた。


青年が持ってきたご飯は残り物を使ったもので確かにいいものではなかった。


しかし、黒猫にとってその時のご飯は今までで一番おいしく、あったかく感じたのだった。


「こんなうまい飯食ったの久しぶりだな…。」


黒猫は夢中でがっついた。


「あせって食うと危ないぞ~」


そんな青年の声も聞こえないほどに。



ご飯を食べ終わって一息ついていると、青年が画用紙を見せてきた。


画用紙には「Holy Night」と書かれていて、それを見せながら青年は嬉しそうにこう言った。


「お前の名前、黒猫だから夜のイメージだよな。だから『聖なる夜』って意味でHoly Nightにしようと思うんだ。良い名前だろう?」


黒猫はきょとんとしていた。始めは言ってる意味がよく理解できなかったからだ。


「何で俺に名前なんか…?」


そうすると青年は微笑んでこう言った。


「今日から俺とお前は友達だ。」


「と…も…だ…ち…?」


こうして黒猫と青年との出会いの夜は静かにふけていった………。


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: