エジプト再訪録 4



ハンサム

いきなりこんな事を言うのもどうかと思うが、おいらはハンサムである。
うら若き乙女から、おばさんまで、女性はうっとりとした目でおいらを見つめ、
口々に「かっこいいわぁ・・・・」とつぶやくのだ。
まったく罪な男である。

あ、今思わず「戻る」、もしくは「×」をクリックしようとしたアナタ、
ちょっと待っておくんなまし。
実はコレ、悲しいかなエジプト限定の話なのである。

おいらの顔は、まぁはっきりいってキムタクと福山まさはるを足して2で割って
それから金属バットで思う存分殴打したのち、タンクローリーで踏み潰した上
「これでも付けとけっ!」とダンゴを鼻の位置に貼り付けたような顔ですから。


書いていてかなりブルーになってきましたが、要するに日本国内において、
「カッコイイ」などとゆう評価は頂いた事がございません。
ところが!

所変われば文化も違う。
女性の好みもまったく違うわけですな。
で、エジプト人女性の美的感覚から言うと、おいらは ハンサムであるようなのです。

以前、エジプトに滞在していた際、おいらの職場は電話局であった。
日本の「104」サービスのような、電話番号案内をやっていて、
それを日本製のコンピューターを使ってやっていたのだ。
当然、オペレーターは女性ばかり。

端末(PC)にトラブルがあると、おいらは呼ばれた。
で、そのオペレータルームに入っていくと、女性たちから黄色い歓声があがるのである。
女性たちは口々に「ガミール(かっこいい)・・・」とつぶやき、
ときおりそっとお菓子などを手渡してくるのだ。

生まれる国を間違ったかも!!

なぜ突然こんな事をぐだぐだ語りだしたかといいますと、
この度のエジプト再訪時、この「スーパーモテモテ感」を再度味わう事になったからなのです。

アレキサンドリアの友人達に別れを告げ、おいらは「アスワン」へ移動した。
昔、社会科で習いましたよね。「アスワンハイダム」とか。
あのアスワンです。
ここにも「ルクソール」と並ぶ歴史的な遺跡がたっぷりあるのですが、前回滞在時には行くことができず、心残りであったのだ。

で、とりあえずカイロまで戻り、そこからアスワン行きの飛行機に乗る予定であった。
カイロに着いてから、飛行機の出発時間まで5時間近くあったので、おいらは「エジプト考古学博物館」へ向かった。
途中、道に迷ったりしたため、到着したときにはすでに見学する時間は無く、
まぁ、中は以前に一度たっぷり見ているって事もあって、おいらは博物館前の木陰に座り、日記を書き始めた。

しばらくしてふと顔をあげると、おいらの周りにエジプトの女学生がたくさん集まっていた。
どうやら修学旅行のような学校の行事できている娘達のようだった。
皆、少し距離を置きつつ、熱い視線をおいらに投げかけている。
そうして、また「ガミール(かっこいい)・・・・・」と言っているのが聴こえてきた。
か・い・か・ん・♪

やがて、女生徒の一人が近づいてきて「ハ・ハロー・・ヤパーニ?(日本人?)」と話しかけてきた。
かわいいのである。
「アイワ。アナ、ヤパーニ(うん。日本人だよ)」とアラビア語で答えると、
キャーーーーー!!!
と黄色い歓声があがる。
そうして、それまで遠巻きに見ていた女生徒たちが、一斉に近づいてきておいらを取り囲んだ。
「どうしてアラビア語を話せるの?」
「うん、以前こっちに住んでいたからね」(キャー♪)
「じゃあ、歳はいくつ?」
「タマーニャアシュリーン(28)だよ」(キャー♪)
「エジプトは好き?」
「ああ、大好きだよ」(キャー♪)

どうだね、ヨン様よ。エジプトではおいらの方がモテモテかもよ?
おいらはすっかりいい気分。
アイドルとかってこんな気分なのかしら?
恐らくその時、おいらはかなりその気になっていたような気がする。
「俺ってハンサム。そう、罪な男。」
そんな顔をしていたはずだ。
恥ずかしい話だが、エジプトでしか味わえない偽りのモテモテ感である。
そこは大目に見て頂きたい。


しかしその幸せは長くは続かなかった。
突然、引率の先生がすごい剣幕で女生徒たちをしかりつけ始めたのである。
確か、イスラムの国において、女性がむやみに男性に話しかけるなど
イケナイ事であったはず。
恐らく、先生は「あなた達!はしたないですよ!」と言ったのだ。
女生徒たちはクモの子を散らしたように退散してしまった。
そうしてポッツ~ンと取り残されたおいらを、先生は「キッ!」っとにらんで
去っていったのである。
ちっ・・・・余計な事を・・・。

神様、エジプトでは死ぬほどブサイクでもいいですから、
日本で美男子にして下さい。


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