そらのした

そらのした

3.携帯電話


まだ、AUが 違う名前だったころから。

便利?
いや、不便この上ない。

首に鈴をつけられて、
「男ができたから 携帯電話を持ったんだろう」
と、上司にいわれたことをよく覚えている。

連絡がいつでもとれるようにしろといったのは、
「男ができたから」とのたまう目の前にいる上司のはずなのに、
上司が連絡できるようにしろといったから 携帯を持ったのに、
どう反応したらいいのかわからなかった。

わからなかった。。。

とりあえず、何も感じないことにした。

感じると、顔にでてしまうから。

顔にでなければ、
何も いわれないだろうから。



そうして、時間がすぎていった。
たくさん 時計の針が回って。

いつしか 僕はうまく わらうことも
おこることも
なくことも

できなくなっていた。。。。。。

携帯電話なんて 大嫌いだ。

だから、僕は家に帰ったら 携帯電話を固定電話にしてしまう。
そのまま どこへも持って歩かない。

いつしか上司は、
「おまえに電話してもなしのつぶてだから 
保護者に連絡するよ」

うふふ、最初からそうしてくださいな。



携帯電話は大嫌いだから、
持って歩かない。

お友達の家も、ふらりと歩いていく。
「いると いいな」
別に絶対いてくれないと 困るわけじゃない。
いてくれたら 少しお話できたらうれしいだけ。
淡い期待と、
お友達の顔を思い浮かべて
てちてちと歩いていく。

雨が降れば 雨にぬれながら
歩いていく。

連絡くれずにこられたら困るって?

そんな大切なお友達の番号くらい、
覚えているから平気。

ものすごおく 近くについてから
なんでもなく 電話するんだよ。
緑の公衆電話を探して。

これから 遊びに行ってもいいかな?
いつなら だいじょうぶ?

それで あえなくても
それはそれで いいんだよ。

次に会えるときが
楽しみになる、だけなんだ。

携帯電話じゃないほうが、
うまく 気持ちが伝えられるよ。

アナログな 僕は
そんな感じがするんだ。


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