雪月花

幸か不幸か









幸か不幸か私は
終わりを見ながら生きています

全てのものには終わりがあると
そう聞かされて育ったのです

常に終わりを考えていることで
周囲の者をどれだけ寂しくさせていたか
私には知る術もありません

ただ 終わりを覚悟することで
痛みは随分と和らげられていた
そのことだけは確かに知りました

何故そのことを知ったかって?
予期せぬ終わりの痛みを初めて知ったからです

なぜ予期していなかったかって?
珍しくすっかり油断していたからです

しばらくはそんな用心は無用だと信じていました
今思えばそれはただの願望に過ぎなかったのですがね










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