偽ドラのなんでもポケット。

偽ドラのなんでもポケット。

始まり。見知らぬ土地にて。



そう、私は今地面に仰向けになっている。

しかし、なぜここに仰向けになっているのかわからない。

自分の名前を思い出そうとしても思い出せない。

自分は何者なのか。とりあえずそれを探すことにした・・・



―木々の生い茂る森をぬけて―

少し歩くと森が見えてきた。

その森の向こう、城のような物が見えている。

あそこにいけば何か手がかりがあるかもしれない。

そして、私は森を抜け城に行くことにした・・・

森の中は薄暗く、不気味な雰囲気。

なにやらさっきから私の周りでざわめいている。

「何かがいる!」

それは不意に正体を現した。

体は小さいが剣や斧を持った小人のような怪物。

それが一斉に私に襲い掛かる。

「なんなんだこいつら!」

私はとっさに足元にあった木の棒でその怪物たちをとっさに追い払う。

するとその怪物たちは一斉に逃げ出してしまった。

意外と臆病な性格のみたいだ。

その怪物が落としていった剣を拾い前に進んでいく。

ある程度進んでいったころ、一瞬にして周囲の空気が変わる。

何者か恐ろしい者が近づいていることは確かだった・・・


それは生い茂る木々をなぎ倒しながら近づいてくる。

そしてあたりに震動が起こり始める。

「まさかな・・・・・」

そしてそれは姿を現した・・・

自分の身長の3倍はあろうかという大きさ。巨大な斧を両手に持ち、恐ろしい速さで襲ってきた。

その一撃を間一髪でかわしたが、次の攻撃には間に合わなかった。

私は死を覚悟する。

と、次の瞬間目の前に巨漢が現れ怪物の一撃を受け止める。

「何をボーっとしている、さっさと逃げろ」と男は叫ぶ。

私は木の下に隠れた。。。

その男と怪物は壮絶な戦いを繰り広げ、両者の武器がこすれあい火花が散る。

そして、隙をつき男が怪物の急所に攻撃を加えた。

怪物は断末魔の悲鳴を上げ地に倒れた伏した。

そのあと巨漢はこちらを向き「大丈夫か?」と話しかけてきた。

「ああ、大丈夫だ」と答えると男は「無事で何よりだ」とこちらを向いて微笑んだ。

これが彼とのはじめての出会いだった。そしてのちに私は彼を大きな災難へ巻き込んでしまうのだ。



             -城への道-


あの戦いの後、事情を聞いた彼は城まで護衛してくれることとなった。

「お前名前はなんて言うんだ?」

「実は自分でもわからないんだよ」

「それまた大変なことだな」と彼は苦笑いした。

「で、あなたのお名前は?」

「俺はエッジって言うんだ。よろしくな」と大きな手を差し出してきた。

「こちらこそよろしく」といって握手をかわした。

「ひとつ提案なんだが一度城にいる賢者に会ってみてはどうだろう?」

「ふむ。会えば記憶がなくなった理由もわかるかもしれない」

「んじゃきまりだな。さあ、城が見えてきたぞ」

「意外と大きいな・・・」

「当たり前だ!なにしろこのあたり一帯を治めるデ=ナン城だからな!」

ようやく城の門にたどりついた。

「この門はどうやったら開くんだ?」

「ちょっと待ってな」と言って懐から笛を取り出す。

「これを吹いて門番に知らせるんだ」

ピュ~と笛がなると門番が城壁の上から顔をのぞかせる。

「お~い。門を開けてくれ~」と彼が門番に話しかけると「承知いたしました」と門番が門を開け始めた。

重い門が開き私は彼の後をついていく。

門番が訝しげな目で私を見たが、彼が門番を睨むと視線をそらしてしまった。

「ここが城下町だ。すごい賑わいだろ?」

「さすがこの辺り一帯を治めてるだけあるな。」

「ありとあらゆるものがここにあつまる。ここで揃わないものはないぜ!」

「迷いそうだな。」と私は苦笑した。

「ところで賢者とやらはどこに?」と私は尋ねる。

「まあそう急ぐこともないだろう。」

「今夜はうちに来るといい。どうせ泊まるところないんだろ?」笑いながらこちらを向く。

「ありがたい。お言葉に甘えて泊まらせてもらうよ」

「家はあっちだ」と言って彼は歩き出す。

数分後、ついた先は大きな鍛冶屋だった・・・・


-秘められた力-
「でかい家だな」

「俺はここの鍛冶屋の親方だ、立ち話もなんだから中で話そう」とエッジは私を中に招いた。

「親分、お疲れさまです」

「こいつは客人だ、数日泊まることになるかもしれん。そのときは皆頼むぞ」

子分は「へい、わかりやした」と私に軽く会釈をした。

「さ、リビング行こうか」と私を奥へと進める。

リビングへ着くとそこに綺麗な女性が立っていた。

「あの人は、誰だい?」と尋ねる

「俺の妻だ、結構綺麗だろ」と笑いながら奥さんに微笑む。

「あら、珍しいお客さんね?」奥さんはこちらを見る

「数日泊まることになった。部屋空いてるかな?」

「あらあら、準備しないとね。すぐに用意するわね」と二階に行ってしまった

「まあ座れよ」エッジが席をすすめる

「どうも」

「何の縁でこうなったんだろうな」とエッジは苦笑いする

「すまないね」

「いや、気にしなくてもいい。こんなことはしょっちゅうだからな」

「そういえば、あそこで何をしていたんだい?」

「ああ、新しく作った武器の実戦テストだ」

「しかし、あんな強敵と戦うことになるとは思ってなかったよ」とまたも苦笑する

「あれは一体なんなんだ?」

「最近出てきた魔物だよ、最近急に増え始めた」

「しかしあんなでかいのは始めてだよ、最近どうなってんだか」

「部屋の準備ができたよ」と奥さんが2階から呼んでいる

「さ、部屋へ行こう」

「夕食になったら呼びにくるからそれまでゆっくり休むといい」と言い残し下に降りていった。


一人になった私はぼんやりと天井を見つめながら眠りに落ちた。


目が覚め気がつくとあたりは暗くなっていた


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