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いちご同盟 日記
パート2*
「朝奈さん!!」
という
笹岡さんの声が聞こえた。
(いい子そうだから、一応さんづけ)
あたしは、無視するのも
酷だから立ち止まって振り返った。
そこには走った後だからか
息を切らしている
笹岡さんがいた。
「朝奈さん。途中まで話そう??帰りながら」
と彼女は言った。
あたしは
「うん」と呟いた。
…帰り道まで、いじめられっ子演じんのかよ。
はっきり言ってそう思った。
すると笹岡さんが口を開いて
こういった。
「あたしね、いじめられてたの」
と。
…ああ、なるほどだからか。
クラスの奴があたしに
暴言はいてるときに一人だけ
何も言わず心配そうにみてたのは。
笹岡さんが続ける。
「その時ね、あたしつらくてつらくて。
一時期不登校になったの。
あたし、学校から逃げちゃったの」
それから、少し間を空けて
「…なのに、朝奈さんは毎日学校に来てる。
あの子達に負けないで。
逃げないでいて。
すごいと思うんだ。
あたし。」
と彼女は続けた。
この子は本音を言ってる。
嘘はきっと何も言ってない。
…あたしは、
別に逃げるとか逃げないとか
そんなコト考えてないのに。
強いとかそんなんじゃないのに。
…ただ、
演じながら遊んでるだけなのに。
そんな尊敬されるコトしてないのに。
彼女のまっすぐなあたしに対する
想いを感じて少しだけまた
自分のしてることに罪悪感を感じた。
しばらくして
彼女はまた一言付け足した。
「…そう思ってるのに…いつも助けられなくて、
ごめんね。だけど、あたしは、
絶対朝奈さんの味方だから!!」
と。
だからあたしはこういった。
「ありがとう。
でも、助けてくれなくてもいいよ。
助けたら、
自分がまたいじめられること分かってるでしょ?
あたしのことは、気にしないで。」
…これは、あたしからの忠告。
だって、そうじゃない?
いじめられてる子の味方をした奴って
逆にいじめられるでしょ??
そんなんじゃ、
いくらあたしがいじめられるの
楽しんでても
後味悪いし。
どーせ、あたしはもうすぐ転校するんだ。
きっと。
それに、これはゲーム。
他人を巻き込むつもりはない。
あたしは
一人でゲームをプレイしてる。
そう言って
あたしはその場をあとにした。
笹岡さんは何かいいたそうだったけど、
あたしは気づかないフリをした。
…それに、あたしは思うんだよね。
最初はいじめられてる人の助けになろうと
思ってても
自分がいじめられそうになれば
自分を守りたいがために
結局いじめられてる人を再び
見放すんだ。
今まで、あたしはそんな人間たくさん
見てきた。
きっと笹岡さんだって、そうよ。
まあ、人間は自分が一番かわいいんだから、
仕方ないといえば仕方ないけど。
まあ、あたしが
言える立場なのかって言われれば
そんなことはないけどね。
そしてあたしは
一人で家に帰ってった。
その時は着々と順調に
あたしのゲームは進んでいった。
数日たったある日の朝。
あたしはいつものように
学校に向かう。
あれから笹岡さんと
話すことはなくなった。
学校の通学路を
いつもどおり学校という
戦場に向かって歩く。
いつもどおり。
学校について
靴箱に行くと
いつもどおりに
靴はなく、
靴箱の中はゴミ箱状態。
そしてあたしは
いつもどおりに
自分の教室まで歩いていく。
教室に入れば
いつもどおり暴言の嵐。
机の上もラクガキだらけ。
机の中も
ゴミだらけ。
奴らのイジメの方法は
何も変わってない。
そのまま。
もう、飽きたっつのに。
そしていつもどおりに
HR前のチャイムが鳴る。
そして、
担任が入ってくる。
そして、
担任が口を開いた。
「今日は転校生を紹介する」
その一言で
教室はどよめく。
…転校生か。
どうせ、その転校生も
あたしへのいじめに加わってくんだろうな。
「入ってこい」
担任のその言葉とともに
一人の男子生徒が入ってきた。
あたしは、その男子を見て
唖然とした。
…嘘だろ。
その言葉があたしの頭をよぎる。
そして担任が言う。
「今日からこのクラスのメンバーになる、
佐伯大輔くんだ。」
…佐伯?
何で?
何でだよ…。
完全な予想外だ。
こんなこと、あたしのゲーム上には
なかった。
まさか、佐伯がくるなんて。
あたしの過去を知る奴がくるなんて。
…だからか。
今日なぜか、あたしの机の横に
もう一つ机があった。
よりによってあたしの隣なんて。
佐伯は担任の言葉に
「へーい」
と答えてその席に歩いてきた。
クラスの女子は
かっこいい、かっこいい!!
と連呼していた。
うっは-…
かっこいいかあ…
こいつかっこいいかあ??
まあ、結構かっこいいとは
思ってたけど。
そんな歓声の中から聞こえる
「あのブスの隣なんてかわいそ-」
という声。
あ-、どうもすいませんね。
あたしも、嫌だッつの。
HRが終わり
休み時間になったとき
佐伯のまわりには
たくさんの奴が集まってきた。
男子や女子。
男子の一人が聞く。
「なあ、お前ってさ、
確かあれだよな。北野中で一番強いって
言われてる、佐伯だよな?」
すると佐伯が
「…ああ。知ってんのか。」
と答えた。
「北野高校の俺のダチが言ってたんだよ」
とその男子は言った。
…へえ。
そうなんだ-。
知らなかった。
まあ、当たり前か。
どうやら、
今日は一日ゲームは一時停止だろう。
今日は、平和なわけか。
ちょっとつまらないな。
まあ、いっか。
…と思った。
その瞬間だった。
佐伯が一言吐いた。
「なあ、朝奈って奴知らね?
朝奈裕美。」
…おおおおい!!
あたしと驚いたのと同時に奴らが驚くのが分かった。
何聞いてんだ、このア ホは。
すると女子生徒一人が言った。
「…朝奈??タメ?」
「そ」
「いるよ。」
「どこ?」
佐伯は立ち上がり聞いた。
「ここ」
とその女子生徒はあたしを指差した。
…ああ、終わった。
佐伯がこっちを見て驚く
「え…」
と佐伯は呟いた。
そりゃそうだろう。
だって、佐伯といた時とは
全然見た目もなにもかも
違うからね。
佐伯があたしに
「お前…!!」
と何かいいかかけた瞬間に
始業のチャイムが鳴った。
ちょっと、救われた…。
チャイムが鳴らなかったら
みんなの前で
あたしの正体がバレルとこだったよ。
…どうしようか…これから。
ああ-さすがのあたしも
頭大混乱。
もう、佐伯うらむぞ!!
つか、佐伯呪うぞ!!
とか、頭の中で馬鹿なことまで
考え出した。
仕方ない。
頑張って騙すしかない。
うん。
そんなこんな思ってるときに
早速佐伯が声掛けてきた。
「なあ、まじで、お前あの朝奈?」
…あたしは、何にも答えなかった。
「なあ、なあ」
佐伯はしつこかった。
…うぜえ。
…あたしは、いじめられっ子演じてんだよ。
…というわけで、
いかにもいじめられっこらしく
「…人違いじゃないですか?」
とだけ言った。
佐伯はこの喋り方で
判断したのか
それ以上は何も聞いてこなかった。
あたしは、いつもどおりに
家に帰って
いつもどおりに
自分の家の部屋の前にいった。
そんで、
いつもどおりに
「ただいま」
と玄関を開いて、
いつもどおりに
奥からお母さんの
「おかえり」
という言葉が聞こえる。
いつもどおりに、
真っ先に洗面所に行って
普段の「朝奈 裕美」に戻る。
そして、リビングに入ると
「そこに、おやつあるからね」
とお母さんがいつもどおりに言った。
そして
お母さんがいつもどおりに急いで
仕事に行く。
お母さんが出かけた後
あたしは、のんびりおやつを食べた。
その時、「ピンポーン」と
インターホンがなった。
あたしは、
のろのろと立ち上がり
玄関に歩いていった。
…油断してた。
「ガチャ」っと玄関の戸を開けると
そこには
「思いもよらない訪問者」が立っていた。
あたしと同じ年ぐらいで
制服を着てる男子。
その「訪問者」を見たまま
あたしは立ち尽くしていた。
あたしは、
驚きを隠せないまま
「…さ、佐伯…?」
と呟いた。
あたしは、
すぐに掴んでいた
ドアノブをもう一度
引き寄せドアを閉めようとした。
…けど、
閉めようとした瞬間に
佐伯が外側のドアノブを掴んだ。
「もう、逃げないでいいじゃん♪
や-っぱり、朝奈じゃんか-」
と佐伯は言う。
あたしは
「…な、何してんのよ。あんた」
と返した。
すると、佐伯は
「ん?ストーカー行為?」
とふざけたように答えた。
「…は?」
「だってさ、“うちのクラスの朝奈”が
入っていくのが見えてさ-w
つけてきたってわけ♪
まあ、朝奈は俺を騙そうとか
思ってたみたいだけど。
俺にはバレバレ♪」
…やっぱ、こいつを騙しきれなかったか。。。
「で、なんで、朝奈、学校であんな地味っ子
やってんの-?」
と、あたしの思いをよそに
馬鹿みたいな明るい声で佐伯があたしに
聞いてきた。
もう、騙すのも面倒くさくなって
「分かったよ。説明しますよ」
とあたしはぶっきらぼうに
答えてあたしは
佐伯を中に入れた。
--------詳細説明中--------
「へえ。で?今は地味っ子なわけ?」
「そ」
あたしは、あたしの今までしてきた
『キャラチェン』
のことを全部説明した。
「しっかし、アレだな。
さすがだなお前。
よく、そんなキャラになりきれるな」
佐伯は笑いながら言った。
「…まあね。」
と、あたしは答える。
暫く間をあけて
佐伯が再び口を開いた。
「でも、やっぱ、朝奈は朝奈だよな。
どんなキャラでも。
・・・そうだ!!w
お前が今いじめられっ子演じてても
俺の中ではやっぱ朝奈は
あの頃と同じ朝奈だよ。
まあ、困ったことあれば、
俺に言えよ。相談乗るぜ♪」
と、佐伯はサラっと笑顔で言った。
…何、コイツ。
いい奴すぎるよ。ひかれると思ってたのに。
…なんで、こんな嬉しいこと言ってくれちゃうんだ。
この男は。
…ていうか、
上手くおさまりすぎだよね?!
さっきまでのあたしの
苦難の数々は無駄だってことかよ!!
…そうだ、
…佐伯は、
そんな複雑な奴じゃなかったんだよな。
喧嘩っぱやいし、
なんか不良だし、
なにげに強いし、
めんどそうな奴とばかり思ってたけど。。。
実は、
純粋で、
いい奴なんだよな。
ほんと。
なんか、馬鹿らしくなって
あたしは笑ってしまった。
それを見た佐伯は
最初驚いた顔をしてたが
あたしと一緒に笑い出した。
佐伯とあたしは
お互いに長い間笑っていた。
…久しぶりだ。
こんな笑えたの。
…やっぱ、一緒に笑える奴がいるっていいな。
あたしは、そう思った。
「あ、そうだ。」
あたしいはふと思い出したように
呟いた。
「佐伯、はい。屋上の鍵。分けてやる。」
あたしは、佐伯に向かって
屋上の合鍵を投げ渡した。
「どうしたの。これ。」
「え?もちろん、職員室からぱくったんだよ。
そいで、合鍵作って
次の日また職員室に返しといたわけだよ。」
「わ-。わざわざ手の込んだことを」
「まあね。まあ、あたし、準備いいから、
なくしちゃったとき用の合鍵つくっといたの」
「へえ。さすが。頭冴えてるなあ、お前は(ワラ」
そんな会話をして少し間を空けて
あたしは
「まあ、学校の戦場にオアシスの場所を
つくるぐらい、許されるだろう?」
と呟いた。
佐伯は「ああ」と返し、
笑顔で
「じゃあな」と言って帰っていった
あたしは、
やっと学校での
本当のオアシスができたみたいで
嬉しくなった。
あたしのゲームのシステムエラーは
これで解決して
無事にまた普通に通常ゲームが
再開できると思ってた。
けど
…人生はうまくいかないもので、
システムエラーはこれだけでは
終わらなかったのだ。
そして
次の日の朝。
あたしは、今日も学校に行く。
いつもと同じ道を歩いて。
今日は、どんなことされるのか、
新しい方法で来ないか、とか
あたしは、ワクワクしながら学校に行く。
もちろん、
演技しながらねw
学校に行ってすぐに
靴箱に向かう。
今日は、上履きがちゃんとある。
…ただし、
まともな状態じゃないけど。
上履きはラクガキだらけ、
靴箱の中はゴミだらけ、
上履きには
「死 ね」
「キ モイんだよ!!」
「消えろ」
とか、いつもと同じような言葉が
書かれていた。
…変わってないねえ。
相変わらず好きだね、
こいつらは。
この言葉。
きっと、この言葉が
いじめるにあたっての素晴らしい素敵な言葉
だと勘違いしてんじゃないのかね。
ありえないね。
もう、いちいちつっこむのも疲れたよ(汗
すぐにあたしの足は
教室へ向かう。
あの、うるさい戦場に向かう。
いつものように演じながら。
…今日も来た。
1年C組の教室の前。
あたしは、
心の中で
(あいつら、成長したかな)
と呟きながらドアをあけた。
その瞬間…。
ザバアという音とともに水が
あたしに降ってきた。
…は?
あたしは、そう思った。
…また?
…またあ?!
この前もだったよね?!
しかも、今日水綺麗だよ?!
なんか、水量増えてるけど
雑巾入ってないよ?!
うわあ、レベルダウンしてる…
だめだな、こいつら。
やっぱ、レベル低いじゃん。
なんにも、変わってないね-。
笑えてくるよw
あたしは、戸惑った風に演じて
自分の席に向かう。
もう、佐伯は来ていて、
にやけながらあたしを見ていた。
そしてぼそっと言う。
「…ずぶ濡れじゃん」
「…うっせぇ、だまれ」
とあたしも、笑い混じりに小声で返す。
そして、佐伯がもう一言ぼそっといった。
「昼休み…な」
あたしは、その一言の意味はちゃんと
理解していた。
…昼休みに屋上集合。
そういうこと。
あたしは、嬉しくなった。
まあ、表情には出さなかったけど。
今日の一時間目は国語か。
白石先生だな…
頑張って隠さないと
言い訳考えるのは面倒だ。
とりあえず、あたしは教科書を
出して広げた。
…お見事。
それが、あたしの一目見たときの
感想。
ほんと見事にラクガキで埋まっていた。
わあ…
今日やるトコがまたも
びっしりラクガキされてる。
字が読めない。
今日は19日とか
19に関連する日じゃないし、
この前当てられたから当てられることは
ないだろうけど、
この教科書見られないようにしなくちゃいけないな。
どうしよう。面倒なこった。。。
そんな感じで
百面相をしていると
隣で佐伯がまたも呟く。
「…どした?」
あたしは、黙って
国語の教科書を開いたまま
そっと机に置く。
佐伯がそれを黙って覗き込む。
「…なるほど」
と佐伯は呟いた。
そして
「大丈夫かよ。授業うけれんのかよ」
と聞いてきた。
あたしは一言
「…まかせろ」
と返した。
チャイムが鳴って
しばらくして白石先生が
入ってきた。
「はい、じゃあ授業を始めます」
と先生は言った。
クラスの奴らが全員教科書を開く。
なぜか、やつらは白石先生の授業は
しっかり聞いてるんだよな。
先生が口を開いた。
「えっと、この間やった小テスト返します」
といった。
…ああ、そんなこともしたなあ。
簡単だったな、あれ。
いくらばかのあいつらでも
点数結構とれる問題だっただろ。
そう思っていたら…
「えっと、今回は少し難しかったかな-…」
白石先生がそういった。
…は??
いやいや、少しも難しいとは思わなかったですよ?
先生。
あたしは、そんな疑問を持っていた。
「えっと、このクラスのトップは-…
朝奈さん。96点でした。」
…へ?
一瞬にして教室がざわつき始めた。
…あたしだって驚いてるよ。
…トップ?
…あたしが?
…えぇ?!かなり、手ぇ抜いたよ?
…適当にウケタヨ??
なのに、トップ?
あたしは、頭が混乱していた
は-…?!
トップって。
まあ、あたしなら当然の結果だけど…
そうだけど!!
…ていうか、今はそれどころじゃなくて!!
トップって…
めんどくさいことになったな-。
また、あとで面倒な因縁つけられちゃうよ-。
だるいんだよね、
それわざわざ聞いてるの。
うざ いし。
あ-、墓穴だああああ。
もっと空欄増やせばよかった。
でも、白石先生のテストだったし、
やりすぎはヤバイかと思ったんだもんよ。
わあ、墓穴。
あとから、いろいろ面倒だわ-…。
つか、このクラスのやつらはまじめに
馬鹿
なんですね。
ああ、考えがあたしも甘かったわ-…
教室のざわつきはおさまらない。
「なんで、あいつ?」
「カンニングじゃね?」
とかこそこそ聞こえた。
…カンニングなんてしませんけどね(笑
そんな中
白石先生が続ける。
「あと、2位は笹岡さんの94点でした。
みんな、朝奈さんは頑張ったから点数
高かったのよ?
だから、そんなカンニングとか言っちゃいけない
わ。」
そういった。
教室は一気に静かになった。
そんなに白石先生が好きなのか。
正直こんなこと言ってくれるのは
白石先生ぐらい。
でも、別に言って欲しくないし。
それでも、奴らはいじめをやめる
いい子ちゃんじゃないじゃん?
そんなこと考えてると
また佐伯がぼそっと呟く。
「…すげえな。お前。96点か!!
やっぱ、頭いいな-」
「…楽勝だし」
「まじかよ…俺、15点なんだけど-」
「ちょっと、ヤバイよ。
頭空っぽすぎなんじゃない?」
「…うるせっ!!」
そう言って
みんなが気づかないように
笑った。
その時あたしは気づかなかったけど、
あたしの前に座ってた奴が
じっとあたしを睨んでいた。
話してるのが気づかれたんだと思う。
まあ、いつにもまして
静かだったからね。
そして、昼休み。
あたしは、
奴等に止められないうちに
屋上に向かった。
さすがに、まだ佐伯は
来てない。
「ん-」
あたしは、両手を伸ばして
深呼吸をする。
学校の中は息苦しくて。
外の空気はすごく新鮮に感じるんだ。
クラスの奴らは
いつも悪口ばっか。
前、何気に聞こえてきたし
落ちてた手紙も見た。
…最悪な奴ら。
嫌いなら関わらなければいいのに。
まあ、あたしも人のこと言えないけど、
ムカツクんだよね。
あたしは、そんなやつらのことが
イライラして
おもいっきり屋上の柵を蹴った。
そして叫ぶ。
「ああああああああああああ!!
まじ、うぜえええええ!!」
その瞬間うしろで声がする。
「やっぱ、本性はそうなわけね」
あたしが後ろを向くと
佐伯が笑いながら立っていた。
「…あたりまえだ。
お前といるときまでこのキャラは演じないよ」
と、あたしも笑いながら返した。
「そうか。俺もそのほうがいいしな。
でも、大声で叫ぶと外にいる奴とかに
バレるんじゃねえの??」
佐伯が苦笑いしながら言った。
「…あ、そっか。
まあ、たぶん大丈夫だよ」
まあ、地味な朝奈裕美がこんな
大声出すなんてきっと誰も思ってないんだろうしな
「それにしても、お前よく
あんないじめ黙ってられるよな」
佐伯が聞く。
「まあな。あたしも、うざいとは思ってんだよ
けど、まあ、あたしが決めたことだし。
我慢するけどな。
しかも、奴らいじめのレベル低いから…
つまんないんだよ。最近」
「そうかよ(笑)」
それからは、昼休みが終わるチャイムが
なるまで佐伯といろいろ馬鹿話をした。
ほとんどは、
小6のときのはなし。
話しながら、たくさん笑った。
こんなに笑いながら話すことは
こんなにも楽しいコトだなんて。
あたしは、ここ最近忘れていたよ。
いつのまにか、
昼休みの終わりをつげるチャイムが
なっていた。
楽しい時間は時が経つのが早い…
と昔どこかで聞いたことがある。
いまのあたしはその通りのことを
思っている。
佐伯と笑いあいながら話せた時間は
いつもと同じ昼休みなのに
すごく短く感じた。
なんて都合の悪い世界なんだろう。
まあ、いっか。
明日も話せるだろうし。
「…じゃあ、戻るか」
あたしがそういうと、佐伯も
そうだな、と言って
立ち上がった。
そして、あたしが言う。
「ここから別行動な。」
「なんで?」
「お前、今、結構女子に騒がれてるだろ?
かっこいいとかなんとかって。
しかも、男子だってお前が喧嘩強いこと知ってて
結構騒いでるし。
まあ、あれだ。今、お前結構人気者なんだよ、う
ん。
で、もし一緒にいるのばれたら、
なんか面倒じゃん?
また、女子とかに呼び出し食らっちゃうよ。
ただでさえ今日テストのコトで
放課後呼び出しされそうなのに。」
と、あたしは、一気に説明した。
佐伯は分かってるかわからないが
「あ-、う-ん。分かった。」
と言った。
あたしが、先に階段を下りていく。
すると佐伯が
「おい、朝奈。」
とあたしを呼び止めた。
「何?」
あたしは、振り返った。
佐伯が、ガッツポーズをしながら
「頑張れよ!!」
といった。
あたしは、笑いながら
「おう!まかせろっ!!
大丈夫、今、あたし、楽しんでるし」
と返した。
そして、そのまま
あたしは、階段を降りていった。
昼休みの後は、掃除という面倒な事を
しなくちゃならない。
あたしは、教室担当。
掃除時間は
奴等にとっていじめの時間。
ってゆーか、
「掃除時間」じゃなくて
「いじめのお時間」とかに
改名した方がいいんじゃないかしら。
その時間は、
先生の見回りが無いし、
20分間という休み時間よりも長い時間なわけで、
いじめは休みなく行われる。
…さあて、
今日は何をされるのかしら?
あたしは、薄ら笑いをしながら
教室に向かった。
教室に入った瞬間誰かが言う。
「あ-、来た来た。主役の登場だ♪」
辺りを見渡すと、
やつらはみんな笑ってる。
…気持ち悪っ…
こんなんでよく人に
「キ モイ」とか
いえるよね。
そんなこんな思ってたら、
上から水が降ってきた。
綺麗な水、けど、雑巾入り。
きっと、即席だな(笑
そうすると、自然と
「やあだ、ぬれちゃって-っ、
どうしたのお?!」
誰かが聞く。
…何?!その喋り方!!
もっと、まともに声掛けてくれていいからさっ
やめてよ、気持ち悪いし、ほんと。
誰かがあたしを押し倒す。
「…ぬれちゃった子は拭いてあげなきゃねっ♪」
…雑巾攻め。
教室担当の女子が全員
あたしに雑巾をこすりつけたり
雑巾でたたいたりしてくる。
…雑巾か、きついわー
そんなこと思いながら
あたしは、黙っていじめられっこっぽくしておいた。
それから、
雑巾攻めが暫く続いた。
一人の奴がいう。
「なんか、コイツくさくない?!」
すると、周りから次々と相槌がくる。
「まじ!!すっげえ、くさいんですけど!!」
「うわあ。教室にいられたくなあい!!」
「何したら、こんなに臭くなるわけぇ?!」
…いや、お前らがやったから
臭くなったんじゃないっすかねえ。
分かりきった事実ジャン?
すると周りの男子も次々言い出す。
「つか、こいつ女としてありえねえ」
「きもちわりいしー」
とかなんとかかんとか。
…男子の言うこと、弱いなあ。
このクラスは女子中心にまわってるのかしら?
まったく。
その瞬間。
ザバーという音と共に
床に倒れたままのあたしに
水が降ってきた。
そして、あたしにバケツの水を
かけた奴が言う。
「汚い子は洗ってあげなきゃね?」
すると、奴らは笑いながらいう。
「少しは、水で流されたんじゃね?」
「いや、まだ全然臭いしぃ。」
「つか、こいつ、もう、これ染み付いた体臭なんじゃ
ん?」
好き放題に言いまくっていた。
…うるっせえなあ!!
なんで、みんなで同じコトいうわけ?!
つまんないんだよ。
まあ、いいけど。
暫くして次は上から
ゴミ箱の中身だと思われる
紙くず・ほこり・消しゴムのくず
やらがたくさん落ちてきた。
その瞬間、またやつらはうるさくなる。
「やあだ!!そんなに、ゴミが好き?!」
「いやーん、変な趣味ねえ!!」
「せっかく洗ってあげたのに!!」
「まじ、教室の空気悪くなるんですけど!!」
「まっじ、キ モイ!!」
「いっそのこと、死んじゃえばー??w」
またも、奴らは好き勝手に言ってきた。
その時ガラッっと音がして
教室のドアが開いて
人が入ってきた。
あたしをいじめてたやつらは
驚いて一瞬にしてドアに目が集まる。
…そこに立っていたのは、
佐伯だった。
「…なにやってんの?お前ら」
佐伯がわざとらしく聞く。
…こいつ、わざと聞いてるな。
なんかうぜえ…。
あたしは、苦笑い気味で心の中で呟いた。
ドアに立っていたのが佐伯だったからか、
教室の奴らは安心した様子だった。
すると一人の女子が言う。
「あ、佐伯君!!あのね、うちら、
クラス全員でこのブスいじめてんの-。」
そして、もう一人が口を挟む。
「そうそう。佐伯君もやんない?」
それから男子が口々に言う。
「そうっすよ!!佐伯さん!!」
「こんな奴やっちゃいましょうよ!!」
…おい、佐伯…お前どんだけ格上なんだよ…
ささ佐伯さんて…(笑
佐伯はやつらが一通り言い終わって
一言言った。
「俺やんない。
・・・・・・・・
俺、そんなレベルの低いことしたくないし。」
佐伯は『レベルの低いこと』の部分を
強調した。
『レベルが低い』
あたしが昼休みに何度も繰り返した言葉だ。
キャラを演じてるあたしが
直接こいつらにいえない言葉を
佐伯が代わりに言ってくれたのだとあたしは
察した。
それから、佐伯はさりげなく
あたしの方を見てにやついて
すぐに教室を出て行った。
あたしは、そんな佐伯の行動が
嬉しかった。
その時の佐伯は、
きっと奴らから見れば
あたしを見てにやついたように
見えたはず。
でも、佐伯は本当はあたしに
笑顔を向けてくれたのだ。
あえて、あいつらにはそう見えないように。
…なんとなくだけど、あたしは
そう思った。
佐伯のことは、なんか
信じられるんだよね。
佐伯がここに転校してきたことは
最初はかなり嫌なことだったけど、
今となってはすごい
いいこと。
きっと、佐伯はあたしの秘密をばらしはしない。
あたしは、
迷わずそう確信してる。
佐伯が教室からいなくなったあと
あたしをいじめてたやつらは
さっさとあたしから離れていった。
もちろん、これからもあたしへの
いじめはなくならないし、
今日の国語のテストの結果と
佐伯があたしをいじめなかったことの鬱憤で
ひどくなると思う。
…あたしは、それでも構わない。
だって、少しはいじめのレベル上げてくんないと
あたしもおもしろくないしねw
さあ、頑張れ!!あたし!!
頑張れ!!朝奈裕美。
掃除時間がやっと終わり
五時間目。
五時間目は社会の時間。
社会の先生は
30代の男。
まじめそうに見えて
そうじゃない。
あたしがいじめられてても、
何にもしない。
もっと最悪なことにそれに
参加してきたりする。
まあ、あんまりいじめられてることに
心配されるのは面倒だからしないで
欲しいけど、これっぽちの心配もしない
奴ははっきしいって
気に入らない。
先生として間違ってる。
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