路傍に咲く華

路傍に咲く華

-空の夢-


ふと溜息が出た。

空は広くて青くて真っ直ぐで・・・・・

正直、羨ましかったんだ。

――空の夢

「お前いい加減にしろよッ」

・・あぁ、またこの空間に居る。
目の前に居る奴が、あたしの体を思い切り蹴り上げた。

―久遠夏樹(クドオ ナツキ)14歳。

突然、友達の無視から始まった虐めの中に居る。

体中、蹴られたり殴られたりで出来た痣が、ズキズキと痛んだ。
何故あたしは、この世界に・・居るんだろう。

「何か言えよ!!!」

その途端、激しい痛みが強風と共に、あたしの前に襲い掛かってきた。

額から、生温く、赤い液体がたらり、と流れ落ちた。

・・・痛い。痛いよ。

だけど、弱音なんか吐いちゃいけない。
それだけで・・負けたことになる。

だからちゃんと、現実と向き合わなきゃ。

―あたしは負けじと強く、そいつを睨み付けた。

その時、運良く?チャイムが鳴り、あいつ等は校舎へと戻っていった。

「・・はぁ・・・・」

あたしはそれに、力が抜けて、その場で座り込んだ。

・・・どうしてあいつ等は、あたしになんか構うんだろ。

自分で言うのもアレだけど、あたしはクラスでも目立たない方。
だから特に害になる事なんて無いはずなのに。

――ザァァッ・・・

少し強い風が吹いて、木の枝を揺らし、あたしの頬をゆっくりと撫でる。

・・空を見上げた。

眩しいくらい輝いてて、真青で、悩みなんて無さそうで・・・・

「・・いいなぁ・・」

つい、声が出てしまった事に気付き、思わず口を押さえた。
まさか誰も居ない裏庭で独り言なんて。
正直可笑しい奴みたいだ。

「・・なーにがいいの?」

後ろから誰かの声がして、勢い良く後ろを向く。
・・まさか、聞かれた・・・・?

「久遠、だよね?どーしたのこんな所で。」

ニコニコと笑みを浮かべながら話し掛けて来たのは、
隣のクラスの『たらし』の大塚和馬(オオツカ カズマ)。

「・・別に。ただ暇だし。」
「授業始まってるよ―」

・・・そう。もう既に授業始まってから10分は経過している。
流石にこれは何を言っても言い訳にしかなりそうに無い。

「・・・そーいうアンタは何でここに居るのよ?」
「ん?勉強嫌いだし。ココサボるのに丁度いいんだよ」

そう言って大塚はちゃっかりあたしの隣に座り、伸びなんてしちゃってる。
・・・はぁ。
これは溜息を吐くしかないよ。

「それにさ、女の子が大変な目に遭ってるみたいだし。・・怪我、大丈夫?」

あたしの頭をそっと撫でて、1オクターブ下がった声でそう言った。
その言葉にはあたしでも、反応してしまう。

・・・・いやっ!!
ああ言う事言って、いつも女を口説いてるんだから。
こんな奴に惑わされたりなんかしたら、駄目なんだ・・!!

急に自分が恥ずかしくなり、わざと話題を逸らす事にした。

「・・空ってさぁ、綺麗だよね。」
「・・・何だよ―イキナリ。」
「羨ましいな」

あたしは空を眺めながら、軽く笑ってそう言った。

「・・・やーっと笑った。」

すると大塚はまた笑いを浮かべて、あたしの方を見た。

「ずっと久遠、俺の前で笑ってくれなかったから。」
「・・アンタがいつもヘラヘラし過ぎなの!」

・・・そんなつもりは、無かったのに。
いつもなるべく笑ってるつもりだった。

だけど君は分かっちゃったんだね。

いつもあたしがしているのは、全部偽り。

偽りの言葉並べて
偽りの笑顔浮かべて

まるで『久遠夏樹』が偽りの人物の様に。

・・だけど大塚は、分かってくれた。

「空ってさ、綺麗だけど・・たくさんの悩みとか抱えてそうだな」
「・・・え?」
「広いけど、自由が無いように見える。」

―君はいつも笑ってるけど、ちゃんと人の心を見透かして、

誰も見つけてくれなかった本当のあたしを見付けてくれた。

「・・・そうかな。あたしにはそう思えなかった。」

空は、いつも輝いてて、あたしの憧れだったんだから。

「・・・空は、いつか本当に自分を分かってくれる人を、待ってたのかもな」

・・・・・あたしも、待ってたよ。
本当のあたしを 見つけてくれる人

「じゃあ、誰かに見つけて貰うのが、空の夢・・だな。」

―空の夢―

人は夢を持つけど、空も夢を持ってるんだ

ずっとずっと、本当に自分を見つけてくれる人をずっと、待ってる・・

あたしもずっと。
本当の自分を見つけてくれる人を―――・・・・・

      ―end

+あとがき+

ここでは初小説です。
開設記念に、と思って書いたんですけど。
最後の方適当です(コラ
てか下手。スミマセンm(__)m


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: