路傍に咲く華

路傍に咲く華

赤い月が昇る時-ネガイ-


  一応言っとくけど、これ・・ホラーだぞ?
  苦手な奴は見ない方が良いんじゃねーの?」
歩「まぁ怖くも何とも無いけどねーw」
悠「そーいう事だ。」




















ひた ひた ひた

誰も居ない筈なのに、
足音が聞こえるのは何故?

ぴた ぴた ぴた

惨劇は繰り返される
俺の知らない所でも

早く平和な世の中になれば良いと

叶う筈も無いのに
ひたすら願ってしまうのは何故?

ぺた ぺた ぺた

窓に照らされた赤い月

誰かが誰かを恨む事が当然の世の中
それが終わらない限り、惨劇は 永遠に。

赤い月

誰かが誰かを恨む時
日常に殺意が生まれた時

俺等の目には 赤い月が映るだろう――――


赤い月が昇る時

一つの惨劇が・・起こる・・・



赤い月が昇る時

       ―――ネガイ



―――変な夢を見る

走って走って
逃げて逃げて

俺は目の前の道をひたすら走って行く

後ろにナニカが居ると確信したから

足音だけが聞こえる
俺のものではない

誰か の足音


「・・っ・・う・・・」

最悪な目覚め。
頭も痛い。夢だって良いとは言えないモノ

石黒 悠。17歳
バスが来るのは1時間に1本という
結構な田舎町に住んでいる。

「悠ー?歩君から電話よー」
「おー」

歩・・というのは、俺のダチ。
遠藤 歩だ。

「・・何で携帯に電話しねぇんだよ・・」

ブツブツと愚痴を呟きながら、
俺は受話器を耳に当てた。

『あっ悠!!!おはよー!!!』

電話を切りたくなる程のテンションの高さ。
朝っぱらから何なんだコイツは。

「・・おい、何で電話すんなら携帯にして来ないんだよ」
『だってぇー悠の携帯に電話しても、全然通じないんだもんっ』

・・・通じない・・

ここも一応田舎町だが、
携帯はとりあえず使える。アンテナ1本くらいなら立つだろう。

まぁ繋がり難い事は確かなのだが。

「・・で、何?」
『あーうんっ悠、暇かなーって』
「・・暇だけど」

今は夏休み。
別にする事も無かったから、
歩の誘いは退屈を無くしてくれるものになりそうだ。

『じゃあ出掛けない?結構遠くまでさー』
「遠くって・・どこに」

『・・・都会?』

大まか過ぎる。
というか、都会・・って

ここはドが付くほどの田舎町だ。
この町を抜けるだけでも結構時間は掛かる。

「都会って・・どこだよ」
『んー・・さぁ?』

歩の答えには、溜息を吐く他何も無かった。

「じゃあ一応お前ん家行くから、待ってろよ」
『はーい』

電話が切れる。
俺は軽く支度をして、家を出た。

外はすごく暑く、
止む事無く響く蝉の声が、余計暑さを感じさせた。

続く


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