ノストラダムスの大予言によると
1999年7月に人類が滅亡してしまうらしい…。
まことしやかに、テレビでも取り上げられ、
特集されていた。
今は、もう昔の話だけれども。
つきのふね
話の中心になるのは、
2000年に高校生になるはずの中2の少女2人と少年1人。
彼らからの依頼で船を設計する青年。
ただでさえ不安定な心を持つ思春期の子ども達。
いや、もう子どもではなくなろうとしているから、
不安定なのかもしれない…。
以下、多少ネタバレを含むかも。
ご注意ください。
人より壊れやすい心にうまれついた人間は、
それでも生きていくだけの強さも同時にうまれもっている。
物語の最後の方ででてきた一文です。
つきのふねの設計図を書き続け、
心が壊れかけた彼に
昔、彼から壊れかけた心を救う
きっかけをもらった友人の言葉です。
ズンと心に響きました。
私も生きていけるだけの強さを
持っているのでしょうか。
何度も死にたくなるけれど、
もう生きていなくていいやと思うけど、
それでも、今、ここにいるということは、
強さがあるということでしょうか。
生きていてもいいんでしょうか。
もっともっともっと早く読みたかったです。
主人公達と同じくらいの年齢で。
森絵都さんの小説、やっぱり好きだなあと思いました。
思春期の揺れる心を描いた作品です。
作品中には、万引きや売春や薬などの話、
セックスしよう…なんて過激な主人公の発言も
ほんの少し出てきます。
対象年齢は、中学生以上でしょうね。
ちょっとおませな小学生でも大丈夫かもしれませんが。
「カラフル」もですが、
「つきのふね」も文庫にもなっていますね。
そこらの少女コミック読むよりも、
絶対面白いと思います。
おすすめです。
つきのふね
お話の印象には、単行本の表紙の方が
ピッタリしっくりくるような気がします。
もう私は一応大人になってしまっているので、
スーパーの店長も、なかなかいい味出してるじゃんって、
思いました。
話の流れが大事なんですけど、ここはと思ったセリフを…。
「ただしこれだけは言っておく、
堕ちた政治家や金もちや、
はやらないスーパーの経営者なんかと
自分をくらべないほうがいい。
自分は自分で生きていかねえと、
今の時代、すぐに自分を見失っちまう」
過去に万引きしたさくらに、
万引きされた店長(心が壊れかけた彼の伯父)が言った言葉です。
もしも立ち読みしちゃおうと思うならば、
最後にひらがなの多い「つゆきくんえ」
という手紙がありますので、
それは読んでみてください。
この手紙は、心が壊れかけた「つきのふね」の設計者である彼が、
昔、心が壊れかけて不登校になってしまったクラスメイトの
つゆきくんに宛てた手紙です。
つゆきくんは、この手紙をきっかけに、
治りたい、治ろうと思えたそうです。
この手紙は、ずっとお守りにされていました。
ああ、なんだか人物関係図がないと、
わけがわからない話ですね。
気になる方は、ぜひご一読ください。(^^;
(2007/12/30)