波と戯れるように  風に揺れるように

波と戯れるように 風に揺れるように

2006年01月07日
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鈴虫ママのおうちの山はひのき山や杉の木山 

こならの木山だけではありません。

一番大事にしていたのは松の木山でした。

むっつり爺はきのこ山と呼んでいました。

その昔 ご先祖様たちはこの山できのこを採り 

それを生活の糧にしていました。


鈴虫ママのおうちでは松茸をきのこと呼びます。

その他のきのこはきのこではありません。

椎茸 ばったけ ねずみたけ しめじ などなど 名称で呼びます。




山に入ってもらいごうらに入れて採ってきました。

何貫目と計って駄賃を渡したそうです。

その傍らでばあ様たちが売れそうも無いきのこを焼いて皆に配ったって

だから どの人たちも盗むことをしないで お腹一杯食べて

ありがとねって また 明日ねって 帰っていったそうです。


日清 日露 第一次 第二次世界大戦と戦争が続き、

山の手入れが出来なくなり

その上 どこからともなくきのこを盗む人たちが現れ 

山が荒らされるようになりました。

むっつり爺が外戦から帰国した時には山は荒れ放題。

大爺とむっつり爺は一生懸命に手入れをしたの。



山に入り込むようになり、

盗人とのいたちごっこが始まりました。


鈴虫ママが嫁いできたときには大爺はすでに召されていましたが、

むっつり爺は鈴虫ママを連れて山を歩き回りました。

きのこの採り方やしろの具合 山の歩き方を丁寧に教え込みました。




「もう、いいよ 食べごろだよ     さあ 採っていいよ」


でも ある日 松くい虫の駆除の説明会があり 

セスナ機を使っての薬剤空中散布 

むっつり爺は反対しました。

きのこが駄目になってしまう。

でも 賛成多数でその日が来ました。

セスナ機のプロペラの音はむっつり爺や私たちの心をずたずたに

切り裂きました。

セスナ機の尾翼付近から噴射された薬剤の色が目から離れません。

真っ青な空から真っ白な霧状の薬剤が山に向かって落ちてきました。

むっつり爺は口をへの字にまげ ぐっと我慢をしていました。

でも その横顔からは大粒が零れ落ちていました


今はもう そのむっつり爺も召されていません。


彼岸花が咲くと胸がわくわくしました。

だって きのこ採りの日が近づくからです。

「彼岸花が倒れたら きのこを採りに行くぞ 

 さあ 秋がきたよ 」

むっつり爺の声がまだ耳に聞こえてきます。









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最終更新日  2006年01月09日 20時26分24秒
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