波と戯れるように  風に揺れるように

波と戯れるように 風に揺れるように

2013年07月23日
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テーマ: 寂寞の中で(1008)


すると後ろからくすくすと笑う声が聞こえて来た。
えっと振り返ると真後ろに玲人が立って同じようなビニール傘を持っている姿があった。

「あ えええっと あの」

「ふふ 同じですね あの日と同じ」

玲人は麻由美の傘を持つと二本分の代金を払い

「もう、お仕事は終わりですか?それなら一緒に食事でも」

麻由美の答えを聞かないで二本の傘を持ったまま歩き出した。

「あの 困ります」

「車をそこに停めてありますからさあ行きましょう」

車に強引に麻由美を乗せると玲人は自分の会社に直帰の連絡を入れて,
玲人のマンションへ直行した。
あの玲人が家だと言った部屋へ入ると

「寂しかった、麻由美さんに会いたかった、僕の事を嫌いになったのですか?
嫌ならいやと言ってください」

急に玲人は麻由美を抱きすくめながら耳元で囁くように

「彰子とは縁が切れました。もう、僕は自由になったんです。
その事はあの時分かったでしょう、これからは麻由美さんを怖がらせたり、不安にしたりすることは有りません。
ですからお願いです僕の腕の中に・・・」

「あの もし私が担当者のままだったら・・・」

麻由美は震える声で訊ねた

「その時は恐らく沙希さんは死なずに済んだでしょうね」

「え??それって・・・」

どうして沙希が死んだことを知っているの?この事は内緒のはずなのに。
玲人は麻由美を横抱きにしてベッドルームへ入り、そっとダブルベッドの上に麻由美を横たえた。

「安心してください、この家には隠しカメラなんてありませんから」

「えっと そんな事じゃなくって・・・どうしてなのか・・」

麻由美が続きを言おうとしたその唇は玲人の唇に塞がれて言葉は飲み込まれてしまった。





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最終更新日  2013年07月23日 21時01分50秒
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