波と戯れるように  風に揺れるように

波と戯れるように 風に揺れるように

2013年09月21日
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テーマ: 寂寞の中で(1008)



「ねえねえ 知ってる?」

和子が興味深々の顔で美穂の顔を覗いた。

「美穂の同室の先輩ってもしかしたら・・・」

「ん?何の話し?」

「聞いてないの?あの先輩って夏休み前から御聖堂で神父さまとメイクラブなんだって?」

「えええええ」

「あれ 美穂は知らなかったの?」

突然の話しに美穂は言葉も無いまま立ち尽くした。

「ねえ、本当に知らなかったの?毎日一緒にいたのに」

「御聖堂ってあの御聖堂なの?」

「うん それがね、補習授業の時の自主勉の時間に必ず御聖堂に行くから不思議に思った子がね、後を付けて行って御聖堂の脇にある書庫室に入るのを見たんだって」

美穂は何も言わずに和子の話しを聞いた。

「でね、その書庫室のドアの前に立って中の様子を覗き見したら・・・
あの先輩と神父さまが・・・・
それも毎日!」

美穂は毎日校舎から戻ると必ずシャワーを浴びる先輩の事を思い出した。

「それでぇ、」

和子はコホンと一つ空咳をして

「その様子を動画に撮ったのよ!!!」

ええええええ

「それがーーー これ」

そう言って見せてくれた画面に先輩と神父さまが絡み合っている様子がはっきりと映し出されていた。

「え これって 誰が?」

「うーーん 元は誰なのから分からないの、あちらこちらから届いたから」

「ええええ あちらこちらって?」

「うん 恐らく高等科全体にばら撒かれたんじゃないのかな」

「どうして 私には届かなかったのかな?」

「うーーん 美穂は同室だから遠慮したのかも?それとももう知っているから止めたのかな」

「そんな 知らない。そんなこと全く知らない」

美穂は声高に叫んだ。

「それじゃあ この動画を送るから」

和子は半分楽しそうに、半分気の毒そうに先輩に同情しながら美穂に動画を送った。

「こんなのが学校中にばら撒かれたらもう居られないよね。
美穂は全く気が付かなかったの?」

「うん 全く。先輩は毎日きちんと起床して校舎へ行って、同じ時間にきちんと戻ってきて・・・
それから夜遅くまで机に向かって勉強してたから」

「へえ そうなんだ」

美穂はあの時のシャワールームでの会話を思い出していた。





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最終更新日  2013年09月21日 10時35分55秒
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