だって 好きなんだもん♪

だって 好きなんだもん♪

今までで一番きれい 今までで一番悲しい

めまいがするほど散りだした花は さっきまで車が止まってたその場所だけ
ぽっかりとあいてた隙間
埋めるように  降る


『めまい』By DERAMS COME TRUE





『桜』



桜が舞っていた。
始発のバス停に立ってバスを待つ
彼の肩に 髪に 桜の花びらが 降るように落ちていた
声をかける事もできずに見つめていた 私に気づいて
「おすっ」と小さく笑う

「おはよう」

うまく 笑えたかな?胸がドキドキして 息がうまくできない

「荷物 それだけ?」
「うん、あとは送ったから」
「そっか…」

なんだか お互いどんな顔をしていいのかわからなくて
まともに顔を見る事ができない

もう 最後なのに・・・


バスが来て 目の前で扉が開いた
出発まで まだ時間があるのか バスは1度エンジンを切る

「乗らなくていいの?」
「いいんだ…まだ、時間あるから」
「そっか…」

また お互い黙り込む
何を話したらいいのかも
どんな顔をしたらいいのかもわからず ただ前を見ていた
目の前の桜の並木は 今 満開の花を付けている

「あのさ・・・」

意を決したように 彼が私をまっすぐ見た
とくん と心臓が音をたててはねあがる

「俺、どうしても納得できないんだけど」

不機嫌そうな彼の声
この声がとても好きだった
この声が聞きたくてわざと怒らせたりした

もう聞けなくなるんだね・・・

「なんで いきなり 別れるって話になるわけ?
そりゃ今までみたいに会えないけど
電話もメールもあるんだし・・・
オマエに黙って決めた事 怒ってるんだったら 悪かったよ…けど…」
「違うよそんなんじゃないの」

私は顔をあげて 彼を見た

「怒ってなんかないよ・・・
安藤が決めたことだもん、応援してるよ」
「じゃあ なんで?
そばにないとダメなのか?
俺の事 信じられない?」

「好きなの・・・大好き」
「だったら離れたって・・・」
「好きだからダメなんだ」
「麻木…」

大好き・・・
入学式で 名前を呼ばれて
隣であなたが返事をするのを聞いた時から
毎日 出席をとる度 返事をする あなたの声を聞き逃さないように
いつもすごく ドキドキしてた

初めて 電話くれた時 私がどんなに驚いたか知らないでしょう?
私の大好きなあの声で 好きだって言ってくれた時
私がどんなに嬉しかったか 知らないでしょう?

あなたがそばにいて いつも 私はしあわせで
そして苦しかった

あなたが好きで
好きすぎて 苦しかった・・・
だから もう無理・・・無理なんだ・・・

離れたら 不安で不安で 毎日 声をききたくて
きっとあなたに無理をさせる
いつも あなたが何をしてるか心配で
何回も何回もメールしてしまう
あなたを疑って 嫌なひどい事をたくさん言ってしまう 

そんな風になってしまうのが嫌なんだよ

だから もう会えない
電話もしない
メールもしない
私が嫌な子になる前に あなたから離れるの

どれくらい 二人黙っていただろう

バスのエンジンがかかった
発車を告げるように 小さくクラクションがなる

「元気でね」

私が差し出した手を 彼が相変わらす憮然とした顔で にぎった

「笑ってよ、最後なんだから」

そう言ったとたん ぐいっと手を引かれ 抱きしめられる

「バカ…笑えるわけねぇだろ…俺…」

耳を擽る彼の声…
忘れない・・・きっと・・・

私は 一度彼の背中をグュッと抱きしめてから 体を離した
そして そっと背中を押す

「さよなら」

彼はバスのステップを登りながら 首だけこちらに向けて 少し笑った

「また、会えるよな?」

その言葉を 肯定も否定もできないまま
私も少し笑って 手を振った
彼が乗るのを待っていたかのように ドアがしまり バスが走り出す
1番後ろに座った彼が  ただ黙って 私を見ていた
私も黙って 今度は大きく手を振る

風が吹いた
目もあけられない位
乱れた髪を押さえて ようやく目をあけると
バスが角を曲がって見えなくなるところだった

桜が・・・
桜が舞っていた ・・・

ポッカリ空いていた 
さっきまで バスの停まっていた場所を埋めるように
花びらが降り続ける

私は顔をあげて 桜の木を見上げた
満開の桜

去年の桜は 一緒に見たね
この桜を もう一緒に見ることはないんだ
今日から 二人の時間は決して重ならない

どうしよう
彼はもう いない

胸にポッカリあいた この穴も
この桜が埋めてくれたらいいのに・・・

そんな風に思って 
そこから動くことができない 私の肩に、髪に
雪のように 桜が 降り続けた




歌詞は コチラ





ドリカムさんのアルバム『THE  LOVE ROCKS』に収録されてる『めまい』です
初めて聞いた時「なんて切ない歌・・・」と思いました
歌詞の中で すごく状況が描かれてるので 「これ以上 書きようがないかな~」と思いましたが
やっぱり アレコレ考えてるうちに なんとかまとまった気がします
ホントは『LOVE LOVE LOVE』で書きたいと思ってたエピソードっていうか モノローグを 今回使っちゃいました
なので『LOVE LOVE LOVE』と『めまい』のMIXってカンジです(笑) 
歌詞の中では 彼のマイカーですが 学生さんで書きたかったので やっぱり公共の乗りものに!
運転手さんには迷惑ですね(笑)バックミラーでみながら「若いっていいな~」と思ってたことでしょう 



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