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1352■「化粧品販売で世界一」が私の夢~トルペ原宿クエスト店・庄司麻美プロデューサー
Posted by 坂野朗子 on 2003/06/05 13:26:19:
「化粧品販売で世界一」が私の夢
トルペ原宿クエスト店・庄司麻美プロデューサー
(株)アインファーマシーズは4月28日、都市型化粧品店「トルペ」の2号店を東京・原宿に開店した。同店は、2フロア計200坪の売場で、約70ブランド・5万品目を取り扱っている。東京進出1号店となる「トルペ原宿クエスト店」を訪ね、同社の化粧品専門店を担当するプロデューサー・庄司麻美氏に現況を聞いた。(坂野)
・月商1億円突破も間近
開店から1ヶ月が経ちましたが、正直なところ、好調な部分とそれほどでもない部分があります。
原宿駅に近いクエストビルというビルの地上1階と地下1階の2層の売場なのですが、地下1階のスキンケア、ボディケア、ヘアケアなどの売上げがいま一つです。ただ、これらはトルペの主力商品なので、客数が増え、売り場が認知されていけば、軌道に乗っていくと思います。
一方、地上1階の化粧品の売上げは好調で、早くも1号店の「アインズ&トルペ地下街店」(札幌市中央区)を上回っているくらいです。店舗全体の数字も好調に推移しているので、順調な滑り出しだと思います。
札幌の1号店は月商1億円を超えたところですが、この原宿店もすぐに1億円を突破できると思います。
・札幌では保湿、東京ではひんやりが売れる
札幌と東京の消費傾向の違いは、多少地域差のようなものもあります。例えば化粧水を例に挙げますと、札幌では「保湿」関連の商品が良く売れますが、東京では、動きは少ないのが現状です。また、東京ではさっぱりとした使用感やひやっとした使用感で毛穴を引き締めるタイプのものが売れます。ただ、そのような気候の違いによる多少の誤差はありますが、売れる商品は地域を問わずヒットしています。
・チラシ以外の販促で告知
札幌ではアインズの知名度を活かした広告を打つことができましたが、東京ではアインズの知名度はゼロに近いので、同じわけにはいきません。そこで、新聞やチラシの広告は一切打ちませんでした。その代わりに、渋谷の若者が集うクラブ(ミニ・ディスコ)でチラシを配ったり、地域のFM局のラジオジャックをしたり、サンプル付きのパンフレットを近隣にポスティングするなどの広報活動を展開しました。パンフレットは単なる開店案内ではなく、読み物として面白いものを心掛けて作成しました。トルペの品揃えの豊富さ、商品自体の魅力を訴求したものです。
原宿は小売店の衰勢が激しい地域で、お客様はオープンやクローズに慣れてしまっているようです。新規オープンの店だからといってお客様が集まったり、商品が売れたりするものではありません。ですから、店自体に興味を持っていただけるような仕掛けの広報が必要でした。そこから徐々に口コミで集客が見込めれば、と考えていました。
そして実際に、開店直後の売上げは札幌店に及ばなかったものの、1ヶ月経った現在はポイントカードを利用するリピーターも順調に増え、札幌店に引けを取らないばかりか、上回るくらいの勢いの売上げを上げています。荒利益率も35%くらいを予定しています。
・Dg.Sとは競合しない
トルペのコンセプトは「ビューティに関するすべての商品を1ヶ所で買える店」。「化粧品は百貨店や専門店で、入浴用品はドラッグストアで」というようにあちこちの店を買い回る面倒やストレスをなくすのが、トルペのミッションだと思っています。客層は20代の女性が中心で、これはトルペがターゲットとしている客層と合致しています。
競合店はありません。近接しているソニープラザは化粧品よりも雑貨主体の店ですし、ドラッグストアとはまったく違います。トルペは「化粧品のセレクトショップ」という独自の立場で営業しています。
・年間3店舗出店へ
アインファーマシーズは、今後年間3店舗くらいずつトルペを増やしていきたいと考えています。地域は、札幌市内かもしれませんし、東京都内かもしれません。あるいは他の大都市になるかもしれません。ただ、新規出店の条件をすべて満たしていなければ、妥協して店舗数を増やすことはしません。条件というのは、商圏人口というよりも、「ターゲット層の女性がいる地域かどうか」「人通りの多い立地かどうか」「売場面積と店舗の形状が希望通りの物件かどうか」の3点のみです。
この原宿店の月商はすぐに1億円を突破すると思いますが、既存店で取り組んできたことのままでは新規出店の意味はないと考えていますので、常に新しい課題を見つけ、それに取り組んで、お客様にもっと楽しんでいただけるような店づくりをしていきたいと思っています。もちろん家賃も札幌よりは高いので、売上げとしても月商1億円で満足するつもりはありません。
・社員7名が札幌から
原宿店の従業員は30名で、うち正社員は7名です。7名全員を札幌から連れてまいりました。
原宿店は札幌の地下街店と違って薬の取り扱いがありません。1号店よりさらにビューティに専門特化した店です。お客様が売場を自由に往来できるように通路の幅を広く設定していますが、欲を言えばもう少し広いスペースが欲しいところです。品数を増やしたいのではなく、お客様が自由にくつろいだり遊んだりする空間を作りたいのです。
また、鏡、ティッシュ、スポンジなど、化粧品を試していただくのに必要なものは壁面に組みこみ、売場全体としての景観を損なわないようにしています。
・消費者の視点での店づくり
私は「化粧品」が大好きで、「買物」が大好きです。他の人の何百倍も色々な店に足を運び、色々な化粧品を買って使っています。そういう自分の体験の中で、嫌だと思ったこと、嬉しかったこと、「こうだったらいいのに」と思ったことを自分の店に反映させています。
店作りにおいて大切なのは、立派な理論より何より、消費者の心理・目線を持つことではないかと思います。
私の前職は化粧品専門店の店長で、その時の販売員としての経験も、お客様の気持ちを理解するのに役立っています。セルフ販売で買っていただくためにどういった仕掛けが必要なのかも知ることができました。トルペの基本はセルフ販売ですが、お客様に声をかけていただければご相談に応じます。お客様が自由に商品を選び、自由に販売員に声をかけられるような特徴ある店づくりを目指しています。
・「日本一」はすでに到達
私の夢は「化粧品の販売で世界一になること」です。今までは、「日本一になること」と思っていましたが、札幌の地下街店の売上げが月商1億を越えたので、日本一は達成しつつあると思います。「世界一」と言っても、何も大そうなことをするわけではなくて、日々の地道な積み重ねが重要だと思います。敢えて高いハードルを設定することで、慢心をなくし、お客様にとってより良い店づくりを常に意識するよう自らに言い聞かせています。売れる店は、つまり、お客様に支持される店だと思っています。
・部下の育成が今後の課題
私の現在の課題は、部下の育成です。例えば化粧水一つとってみても、ディスプレイのわずかな角度の違いで、売上げが2倍も3倍も変わります。「この商品に対して、何がベストな陳列か」ということは、教わって身につくというものでもなく、感性に負うところが大きいのです。この感性だけはどうにもできないので、人を育てるというのは難しいなと感じています。化粧品の販売は感性が勝負ですので。
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