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さっきカンブリア宮殿でスシローが取り上げられてましたね。過去の中でもアインと並んで研究した会社だったので、久しぶりに社長を拝見して感慨深いものがありました。08年にTOBで売るまでずっと持ち続けていました。ちょうどリーマンショックの最中で、助かったのを覚えてます。ついこの前、月次売上で日本一になったというのがニュースになっていましたよね。全国区になったということでしょうか。ユニゾンに乗っ取られてからすっかり垢ぬけた感じになって、昔の頑なに味の向上だけに注力していた時からするとさびしさも感じますが、良い意味の変化になっているようです。今でも何故か月次とか有価証券報告書を公表してるんですよね。なんと去年の7月から連続して既存店が大幅に100%を超えていて絶好調です。ただ、HPに有価証券報告書によると、前年度の営業利益は26億円で、TOB前の07年度が28億円なので売上が200億円伸びても、利益が伸びてません。短期的な利益を追求せずに、大胆な投資(経費含めて)を行っているようです。消費者にとってはこっちの方が歓迎すべきなのは言うまでもないです。今でも月に1度は食べに行ってますが、相変わらずおいしくて外食の中ではコストパフォーマンス最高ですね。これからも味の追求優先という戦略を変えずに頑張ってほしいものです。しかし、あの加藤っていうエリート、あの会社じゃあ絶対浮いてると思う(笑)
2011年02月17日
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ゲンキーの12月月次が開示されました。死神さんから、どう評価しているのか書き込みがあったので、私の見解を書いておきます。既存店は105.1%、昨年12月は95.6%だったことを考慮しても順調と言えそうです。また売上高は6ヶ月累計で138.95億円となり、2ヶ月前の私の予想とほぼ同じ、会社予想の135億円を約4億円上回り、会社予想対比でも順調と言えそうです。ちなみに経常利益は前回の10/24の試算と同じくらいの5億円前後と見ています。会社予想は5.5億円なので許容範囲です。次に坪当たり日販を計算してみます。新規出店ですが、11月はなし、12月は11/23と12/14に2店舗出店しています。12月の坪売上(推定)は3.23千円となり、過去と比較しても最低レベルであることがわかります。12月の売上全体でも23億円と今期7月以降では8月を除きほとんど伸びていません。つまり既存店に含まれない9店舗の売上が今のところ伸びていないことになります。この9店舗は新しい地域ではなくどこもドミナント地区で、一定地域のシェアを固めるための出店なので急激に売上が改善されることはあまり期待できないかもしれません。今の日販の水準では中々株価的にも評価されづらいかもしれまんせんね。私はもう少し業績の回復を待ってのんびりホールドを続けるつもりです。しかし1年半も保有していて全然報われないです。センスないだけですけど。
2006年12月28日
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昨日ハンズマンの月次が開示されました。既存店は前年比102.6%と好調なものの全店は94.5%と大不振と言える数字。実は私はハンズマンを先週買ったのですが、しっかり月次を調査せずに買ってしまいました。10月までは前年比123%と好調なのでまああまり分析しなくても大丈夫だろう、と。ところが買っていきなり悪い数字が出て、あわてて月次を再度分析してみました。以下の表は過去約2年の月次実績です。ハンズマンは毎月売上金額まで開示してくれるのでかなり詳細な分析が可能です。さらに店舗数がまだ8店舗と少なく、しかも最近2年間で新規出店は昨年11月に福岡の大野城店のみで非常に単純な構成です。月次実績から既存店の売上高と、大野城店それぞれの売上高を計算できます。1年前の売上高を今期の既存店前年比の比率で割り戻せば前年の売上高を計算できます。そして全店売上から既存店売上高を差し引けば、大野城店だけの売上高が押し出されます。このように計算したものが以下の表で、過去約2年間の月次実績です。単位は百万円です。「新店売上高」の部分が大野城店の売上です。これを見ると一目瞭然、出店したばかりの昨年11月は379と過去1年間で飛びぬけて売上高が大きいことがわかります。理由ははっきりわかりませんが、オープン記念セールでも実施したのかもしれません。また11月の大野城店の売上は261ですが、出店以降の平均月間売上高は243であり、不調どころか順調な売上であることがわかります。つまり昨年11月が良すぎただけですね。また右の囲みの青時部分「既存店前月比」と「新店前月比」は各月の前月との増減率です。これを見ると既存店と大野店の月毎の傾向がほぼ一致しています。やはり業界の特性なのか、季節性というものがあるんですね。ここで12月の売上高と中間決算を勝手に予想してみます。・既存店 直近の傾向から前期比102%(あまり根拠なし) 1356×102%=1384・大野城店 昨年の12月は11月比で前期113.6%、今期の上記予想でも112.9% となることから、11月比110%で計算。 261×110%=287・合計 1384+287=1671・上記から2Q売上高合計 4836・粗利率 前年と同じ27.2%と仮定・販管費 前期3Q以降の店舗数は同じなので販管費もほぼ同じと思われるが、 売上が今期1Q比106%なので販管費も1Q比で103%と多めに見ておく (バイト、パートの延べ労働時間など経費もある程度売上に応じて増加する) 1180×102%=1215・営業外損益 前期2Qと同じ 124上記か2QのらMy予想経常利益は223、中間合計で375となる計算です。会社予想経常利益307を20%くらい上回る計算です。これは机上の空論であくまでも12月次第ですけどね。実は投資前は中間は4~50%上方修正になると適当に計算してました(汗)最近立て続けにまぐれで当たってたので気が大きくなってました。本当に大アマな投資家です。とりあえずしばらく保有するつもりですけど。
2006年12月06日
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ようやくあきんどスシローの決算出ましたね。前期実績はギリギリ許せる範囲。今期予想は私の予想は大はずれでしたね。結局実績も今期予想もほぼ四季報どおり。前期決算内容は原価率の悪化など、将来に向けてあまり良い印象がなく、当初の会社予想を経常利益で17%も上回ったものの積極的に評価しづらいような気がします。今期予想は一応+6%ながら増益予想。よく考えれば前期決算でも業績予想は保守的で結果的に大きく上回ったので、こんなもんかも。予想PER11倍と大きなインパクトはないですが、ここまで安くなくてもいいだろう、という感じでしょうか。実績も今期予想も9月発売の四季報並ということで株価も9月の3400~3500円くらいまで戻してくれるとうれしいのですけど。
2006年11月22日
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ゲンキーの10月月次がさっそく開示されていますね。既存店は9月の▲0.9%に続いて、10月も▲0.3%と健闘しているように見えます。しかし、前回の分析と同様、坪当たり日販を計算すると、3.18千円(推定)となり、9月の3.53千円から10%ダウンとなっています。この水準は前期4月より悪く、過去1年間で下から2番目です。既存店に含まれない9店舗の売上が伸び悩んでいると思われます。 ↑こんな細かい計算なんかしなくても全店売上高は7月以降4ヶ月で最低の2204百万円しかないので10月が悪いのは一目でわかりますけどね。中間決算予想で想定した坪当たり日販3.3千円を下回ってしまっています。9月までの推移でやや業績も回復傾向かな、と判断して先週少し買い増ししたのですが、まだ早すぎたかもしれません。今の月次状況でも時価総額40億円は激安という認識はかわりませんが、こんなギャンブル的な状態の銘柄を選ばなくても上方修正確実で低PER株の方が精神衛生上良いので近いうちに買い増し分は売るつもりです。先週の暴落はこの月次が漏れたんでしょうかね。
2006年10月30日
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年初の下方修正から株価が暴落を続け、ついに時価総額40億円まで落ち込んでしまっているゲンキーですが、先週第1四半期決算が開示されました。1Q決算の中身とともに昨年からの業績低迷とその経過について検証して行きたいと思います。 今期のゲンキーの出店戦略は従来の900坪を中心とするメガドラッグストアから300坪~750坪タイプへ徐々に転換していく予定です。つまり店舗業態の種類が多くあり、1店舗あたりの売上のばらつきも大きくなるため、1店舗あたりの売上の分析では精度が低くなります。そこで売り場面積当たりの売上・経費を分析する必要があります。売場面積の単位として「坪数(3.3平方m)」を基準とします。 ゲンキーの場合は既存店に含まれていない店舗が常に全体の2~3割あるので、既存店前期比だけ見ていても経営状態を見誤る危険性があります。やはりこの会社の場合、売り場面積あたりの売上も合わせてチェックしたいです。店舗の売り場面積(坪数)をどう求めるか、ですが、小型ドラッグストアは150坪、メガドラッグの新規店舗は有価証券報告書に記載されている設備投資の欄から推測(700坪か900坪に振り分け)、メガドラッグの既存店舗は有価証券報告書の「業績の概要」の「単位当たり売上」の欄の平均売り場面積の数値から前者2つを引いて求めます。 これらから各年度の月毎の延べ売り場面積(営業坪数)は以下の表の通りとなります。この数値をグラフにして推移を追っていきたいと思います。 まず、坪当たりの日販です。 前期(2006年)の10月から急激に売上が減少していることが一目瞭然です。これは月次の既存店の低迷からも推測することかができます。前期9月までは平均して4千円前後推移してきましたが、10月にいきなり3.6千円に下がり、2月までその水準で推移、さらに3月~5月は3千円前後まで落ち込んでいます。これは福井県内でのスーパー・ユースとの価格競争の激化、及び岐阜でのドミナントエリア形成過程における自社内競合によるものです。 ただ6月以降徐々に回復傾向にあり、今期7月以降は平均して3.5千円以上を保っています。 結果的に年間平均の坪日販は2004年~2005年は4千円だったのが前期平均値は3.6千円へと10%も下がってしまいました。これほど坪売上が急激に悪化すれば利益率もかなり下がるはずですが、前期決算では必ずしもそうはなっていません。それは効率化を進め坪経費を下げていることによるものです。 次に過去3年の四半期ごとの売り場面積の推移と坪当たり・一日当たり経費の推移を確認してみます。 売り場面積の増加と反比例して坪経費が減少していることがわかります。特に05年1Qから急激に下がっています。規模の拡大と共にスケールメリットを得て、効率化を進めていることがわかります。 以下年度別平均値です。(単位:千円) 04年 0.65 05年 0.61(-6.1%) 06年 0.59(-3.3%) 本来であれば前期の効率化により営業利益率が劇的に改善するところなのですが、競争激化により売場面積あたりの売上も落ちてしまい、結果的に利益率はあまり変らない状況となっています。逆にここまで効率化を進められていなければ昨年の売上の低迷によりほとんど利益が出ない状況にあったということが言えます。 この点を検証するため、四半期毎の坪売上・坪経費の推移を比較してみます。 坪経費が06年度2Qから急激に下がっているのですが、坪売上は前期(06年度)1Qまで4千円前後で推移しているのに対して2Q以降、経費の減少と比例して売上も3.55千円に下がってしまっています。 結果的に経費効率化が進んだにもかかわらず、営業利益率は改善することができていません。 以下は坪経費と営業利益率の推移です。05年1Qまでは3%前後だった営業利益率は、坪経費が大きく減少した05年2Qから営業利益率も5%台に大きく改善しています。ところが坪売上が大きく悪化した06年3Q以降は再び3%台へ下がってしまっています。昨年の悪化がなければ今期も安定して5~6%の営業利益率で推移していたはずですが、大きく経営環境が悪化し、利益率も下がっています。つまり並みのドラッグストアに成り下がってしまいましたね。昨年私がゲンキーに強気だったのは経費効率の改善による利益率上昇期待もあったのですが、どうも営業利益率5%は当分期待できそうにありませんね。 次に過去3年の四半期ごとの売り場面積と売上高の推移です。ほぼ売り場面積の拡大と比例して売上高も増加していることがわかります。 ただ前期06年1Qから06年4Qは売り場面積は1.29倍になっているのに対して、売上高は1.08倍にしかなっておらず、前期は売り場面積の増加に売上がついていっていないことがわかります。 上記検証を踏まえて、今期中間決算の予想をしてみます。 まず今期会社計画ですが、同社IRによれば粗利率の前提は20.5%とのことです。これから逆算して販管費が求められます。営業外損益は前期実績、営業利益は経常利益から押し出しです。粗利率を若干改善させ、経常利益率も改善させる計画となっています。とにかく、利益率を改善させる計画なので決して保守的とはいえない計画だと思います。 さらに、今期1Q決算ですが、私が思っていたよりも粗利率が18.9%と悪かったです。1Qは19.5%、2Qで20.5%くらいを想定していたのですが。 今期1Q決算から中間まで会社計画通りの売上となるとすると、販管費はほぼ変らないはずなので、予想経常利益を達成するためには22.2%の粗利率が必要となります。これは過去の例からもほとんど可能性は低いです。 また過去の四半期ごとの粗利率の推移ですが、1Q、3Qが悪く、2Q、4Qは1%前後よくなる傾向にあります。これは月次で在庫ロスを保守的に引当て、中間、期末決算での棚卸にて月次の引当が戻る傾向にあるためとのことです。なので今期2Qの粗利率は20.0%程度で試算しておくのが妥当かな、と思います。良くて20.5%くらいでしょうか。 これらのことから、中間決算の経常利益は未達に終わる可能性が高く見えますが、実は2Qの営業坪数から試算すると、売上予想は保守的ではないかと思われます。<2Qでの営業坪数> 11月中旬に300坪、12月初旬に150坪の店舗を出店予定とのことです。これから、2Qの延べ営業坪数は2,098千坪となる計算です。 <2Qでの坪売上> 1Qの坪売上は3.62千円でした。上の坪売上のグラフを見ると過去の実績では2Qは1Qに対して5%~10%坪売上が減少する傾向にあります。 このことから、今期2Qの坪売上は3.62×90%=3.3千円を前提としておきます。 <2Qの売上予想> 3.3×2,098=6,923百万円 中間売上予想は14,009百万円となり会社予想を5億円上回りますが、経営環境が昨年のように急激に悪化しない限り(それがありうるのが怖いのですが)それほど強気な試算でもないと考えています。 <2Qの経常利益予想> 2Qの販管費は中間予想からの押し出しで1139となる計算です。ただ1Qの坪経費×営業坪数だと0.56×2098=1175となりますのでここまでは増える可能性はあります。仮に売上高を6,923、販管費を1139、営業外損益を+10で固定しすると粗利率によって経常利益は以下のように変化します。 粗利率は20%くらいが一番ありそうかな、と考えると中間の予想経常利益550に対しては今のところ若干未達かな、という試算になりますね。 上記試算はあくまでも机上の空論に過ぎませんので10月以降の月次で精度を高めていく必要があります。 今期12億円の経常利益を達成できるかどうかは別にして、今の時価総額40億円前後は、仮に今後の利益成長をあきらめたとしても、毎期安定して過去2年と同等の10億円前後の経常利益を稼ぐ力があると判断すれば、やはり小売企業としては激安な水準だと思います。最低でも50~60億円(株価17~21万円)はあってもいいと思います。つまり20~30%の安全域がある水準と考えています。連日かなりの出来高ですがいったい誰がどのような理由でこの水準で売ってるんでしょうね。 坪売上はもう2005年度の水準には戻らないと思いますが、前期3-5月の最悪期を脱し回復傾向にありますし、今の坪売上を維持できさえすれば、いずれ株価も評価されてくると思うんですけどねー。 今日はワッツを売却。1年半我慢して持ってたのですが、結局あんまし儲かりませんでしたね。今期予想で売上成長5%、直近の月次でも半年前から成長率は10%を切っているので私にとっては魅力が薄れました。代わりに同じPER9倍くらいのオンリーを買い増し。こちらは同じPERでも売上15%成長なのでワッツを持つ理由があまりないです。ただ少し気になるのが在庫の大幅増加ですね。このせいで営業CFがマイナスです。出店に備えた先行仕入れであればよいのですが。
2006年10月24日
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先週7/27(木)にあきんどスシローの3Q決算が開示されました。経常利益は私の事前予想より約1.8億円下回りました。どこが違っていたのか確認してみます。下記は第3四半期の事前予想と実績の比較です。 予想 実績 差異売上高 12863 12864粗利 6290 6236 -54販管費 5550 5687 +137営業利益 740 549 経常利益 755 580 -175粗利率 48.9% 48.5% -0.4%要因1)粗利率の低下-0.4% → -54百万円たった0.4%ですが、もともとの粗利率がそこそこ高いので結構利益にきいてきますね。ただこの粗利率48.5%は過去にも何度かあるレベルなので、あまり心配していません。悪く考えると前回指摘されているように原材料費高騰などかもしれません。要因2)販管費の増加→137百万円店舗数は2Q末と3Q末で184店→187店と1.6%しか増えていませんが、販管費は2Qと3Qで7%も増加しています。ここが事前予想と大きく違った点です。要因について少しIRに聞いてみましたが、パート、アルバイトなどの要因シフトがうまく管理できなかったためのようです。来客の見込みを見誤ったとのこと。経費にシビアなスシローらしからぬ要因です。一応4Qでは従来どおり厳しく管理していくつもりのようですが、4Qの販管費実績をよくチェックする必要がありますね。また今回3Q決算でのコメントで出店数は当初の40店から25店に下方修正されています。人材確保、基準内条件の立地確保が十分でなく、無理な出店は避けるべきとの判断ということです。このあたり、無理な出店がたたってすっかり落ちぶれたカッパとは大きく違いますね。というか、反面教師にしているのかもしれませんが。ついでに7月の状況を聞いてみましたが、週末の悪天候が続いて、6月より悪くなりそうとのことです。7月、8月は1年でも一番売上が高い季節なので、ここでコケると年間の売上、利益に大きく影響してしまうのでちょっと残念ですが、すでに売上・利益との会社計画を大きく超過することは確実なので、来期の増益率確保のためにはちょうど良いかも、と楽観的に考えましょう。のこり4Qでは大雑把に見積もって経常利益8億円前後は確保するだろうと考えているので(前回は10億と予想でしたが・・・)通期経常利益27億円前後にはなる計算で、今日の時価総額は197億円、実質PERは14.6倍ですね。そうなると来期を織り込む展開になってきますが、保守的に10%増益として経常利益30億円、PER13倍前後です。今年以降、人材確保、賃料高騰など、外食産業をはじめ小売業には厳しい条件が重なります。ここをうまくクリアできるかどうかが今期以降も業績を伸ばし続けられる条件でしょう。厳しくチェックしていく必要があると思います。先週のオンリーの3Q決算でもも同様の壁にぶつかっているようでしたしね。しかし、今日は全面高の中、スシローの株価だけ下がってるし(泣)。成長鈍化懸念で悲観されても仕方ない状況ではあるのでしばらく我慢です。先週は会社の研修でした。なぜかファイナンス。1年半も株をやっていながらしっかりファイナンスを勉強したことなかったので、ちょうど良い機会でした。しかし、期間も短かったからかもしれませんが、どうもしっくりこない部分も多かったです。今更ブログに書くのも恥ずかしいのですが、NPVだとか、WACCだとかを勉強しました。しかしリスクを計算するのに過去の株価データのβを使ったり、マーケットリスクプレミアムは正確には測れないらしく一般的に4~6%を使うんだとか。これら講師につっこんだところ、これがコンセンサスなので深く考える必要なし、といってた。本当?もう少し自分で勉強を続ける必要性を実感しました。ちなみにこの講師、自分の本をやたらと宣伝しまくっていました。本は面白そうなのでそのうち読んでみようと思います。『企業価値を創造する会計指標入門』結構投資に役立ちそうです。しかし、10日近くもブログ更新をしないとおっくうで復帰できなくなりそうですね。でもこのタイミングで更新やめると色々言われそうでそれもくやしいのでもう少し続けようかと思います(笑)。
2006年07月31日
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今日もう一度試算してみたのですが、前々回の試算はかなり乱暴な計算であることがわかりました。前期の1Qの経費を中間の52%としたところが無理がありますね。1店舗あたりの経費を算出したほうがいいです。前期の4Qの経費から1店舗あたりの経費を試算してみます。前期4Qの販管費 1384百万円前期4Qの延べ営業日数 6735日1384百万円/6735日=205,493円 ・・・1店舗の1日あたりの経費今期1Q延べ営業日数 6967日6967日×205,493=1432百万円 ・・・今期1Qの予想販管費前回の試算では1560百万円という数字を出してしまいましたが1.3億円も差があります。う~ん、どう考えてもこっちの方が近そうですよね。ちなみに前期1Qの販管費は前期中間の1店舗あたりの経費が210,658円なので5648日×210,658円=1190百万円1Qを再度試算してみると(売上は中間の52%、粗利率は23.5%と勝手に仮定) 前期1Q 今期1Q 売上 6652 7763粗利 1563 1824経費 1190 1432利益 373 392 (+5%)キャイ~ン!増益となってしまいました。バカバカバカ!夜しんどい時に考えるものではありませんね。そういえばはっしゃんさんもこのように試算していたような気がします。いつもブログみているのに身になっていないっす。仮にですが、この営業利益だと経常利益は4.2~3億円となり中間予想経常利益688百万円に対して63%の進捗となりますね。予想利益は保守的なのでしょうか。とりあえず1Q決算を楽しみにしようと思います。
2006年07月08日
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アインファーマシーズ06年4月決算が開示されました。焦点は今期予想の中身であり、詳細は恐らく1ヵ月後あたりにHPに説明資料がアップされると思うので、今までの様な詳細な分析は書きません。というかブログに書くモチベーションが上がらないだけですが(笑)。■前期実績通期実績ですが、中間時の修正計画に対して売上高は△6億円、経常利益は△1.2億円とどちらも未達に終わりました。その要因ですが、セグメントを見るとわかりますが、ほとんど物販事業、つまり「アインズ&トルペ」の赤字幅拡大によるものです。経常利益は修正計画△1.8億円に対して△2.7億円とさらに悪化。客数が伸びていないようです。調剤事業はほぼ計画通りに着地、引き続き好調を持続していると言えます。B/Sには前期買収した山形の子会社分の連結調整勘定が加わり、残高は58億円と大きく増加しています。これは20年償却ですが、前期の償却額2.5億円から今期は3億円に増加、売上高に対して約0.4%の利益圧縮要因となります。連結調整勘定に対する子会社、リジョイス、リジョイス薬局、ダムファールマ、メディカルハートランドの経常利益は買収前でそれぞれ1億円、1億円、0.3億円、0.2億円、合計で2.5億円なので、連調償却額の負担は大きいです。ただ買収効果により、少なくともリジョイス、リジョイス薬局は前期の経常利益を1.5倍にする計画をたてており、調剤事業の実績が予想通りとなったことからほぼ達成圏と考えられ、それからすれば、減益要因にはならないとも考えられます。■今期予想来期予想は売上高は9%のプラスに対して経常利益はなんと△17%に減益を予想しています。 06年実績 07年予想売上高 763億円 833億円 +9%経常利益 30億円 25億円 △17%1年前までの中期計画では07年度は売上高は900億円、経常利益は46億円となっていました。これは薬価改定、診療報酬改定をある程度織り込んだ数値です。つまり中期計画から大幅な下方修正となっています。ここまでではないとしても増益予想は出すと思っていたんですけどね。ちなみに同業他社はアインメディカル以外は全て増益予想を出しています。経営環境はアインファーマシーズだけ劣っているという事はないので、アインファーマシーズの今期予想はかなり保守的な予想ではないかと考えられます。前期は下方修正していますので、保守的にならざるを得ないということも考えられると思います。ただこれは推測であり、実績が出てこないとわかりません。私はもともと利益成長を期待して投資していたのですが、中期計画から大幅下方修正しているということもあり、一旦ポジションを少し下げようと思います。今は主力のポジションなのですが、不確実性の高い会社に大きく賭けることはできません。
2006年06月16日
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ゲンキーの月次の悪化が始まって既に半年以上経ちます。会社の説明では福井でのユースとの競合、さらに一番大きいのが自社競合の影響とのことでした。しかし特に3月、4月の月次があまりにも悪すぎるため、それ以外の要因がないのか、再度IRに確認しました。既存店が悪化しだしたのは7月以降ですが、その時の主な要因は自社競合、さらに今年に入っての悪化は東海地区でのバローとの競合とのことです。以前もブログに書いた事がありますが、中部圏の流通業界の巨人、バローは昨年から赤字覚悟で安売り攻勢を仕掛けており、地場のスーパーの息の根を止めにかかっているようです。昨年12/1にゲンキーの岐阜ドミナントエリアに出店したバロー本巣文殊店の食品の安売り攻勢には全く歯が立たず、真正店、糸貫店が大きな打撃を受けている、とのこと。客が根こそぎ取られているようです。北陸では競争優位性を保っていた「メガドラッグストア」という業態は東海地区では競争優位性が全く生きていないということになります。岐阜だけでなく、東海地区全般でバローの力が強く、ゲンキーは今後現在のメガドラッグストアの出店は止める方向のようです。対応策として、来期以降、以下のような全く今のメガドラッグとは別の業態での出店を計画しているようです。(既に仮契約している土地については現在のメガドラッグを出店する方向)・売場面積を縮小・商品点数を絞り込み・商品構成は現在のメガドラッグと近い・立地は田舎地域ではなくもう少し都心部に近い郊外、この業態の1号店は名古屋に予定 している・イメージとしてはコスモス薬品と今のメガドラッグの中間・店舗面積が小さいので出店立地は今のメガドラッグより多くあり、成長志向を持続可能やはり商圏の大きさは致命的です。大きな幹線道路沿いの出店は多くの客が来店しやすいかわりに、競合も多く発生してしまいます。小さい商圏で店舗を成り立たせるのということは少ない客に繰り返し買ってもらう必要があるため、商品構成が非常に難しいです。逆に小商圏の業態を確執できれば立地的に競合のない状態で出店を続ける事ができます。現状ではゲンキーは短期的には完全に経営に行き詰っており、東海地区では一から出直しです。メガドラッグストアの業態開発には相当の時間をかけており、苦労の末現在の業態を作り上げています。それを壊してやり直し、ということですので、業績が改善するまでかなりの時間がかかることが予想されます。私が投資している理由がメガドラッグストアが小売業の中では競争力を持っている、ゆえに大量出店が可能、高い成長率が持続、という点が前提でしたので、これが崩れた事になります。新しい業態がすぐに成功するとは限りません。もちろん、すぐにうまくいくかもしれませんが、結果が出ていない状態では大きく投資は出来ません。また、4月までの月次から計算して前年比減益は確実です。はっしゃんさんが言っていたように、PLANT化してきましたねー(笑)。実はここ1ヶ月で買いさがりしてきたのですが、少なくともその分は損きりして、年初のポジションまで減らそうと思います。はっきり言ってかなりの大損害ですが、自分の判断力の甘さからきたものなので、素直に受け止めて反省し、今後の投資に生かしていこうと思います。一方で今の時価総額は60億円、昨年の純利益が5.6億円なので、昨年ベースでもPER10.7倍と今後数年の低迷を考えても安すぎる水準だとは思いますし、ここで売るのは底値で売るようなもで、悔しいですが、仕方ないです。1企業の変遷を勉強するためにも、一部は残すつもりです。どこのドラッグストアもこのように躓きながら成長を続けてきています。基本的には食品ディスカウンターは立地さえ選べば競争力があるということは、他の企業でも証明されていますので、ゲンキーもここさえ外さなければ数年待てば回復するのではないかとは思うのですけどね。ゲンキーとは逆に小商圏立地で成功しつつある薬王堂、既存店が絶好チムニー、既存店が回復したスシローにシフトしようと思います。ゲンキーも出直しかもしれませんが、私も出直しです・・・ はあ~・・・
2006年05月26日
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G-7ホールディングス(旧オートセブン)の決算が発表されています。実績はほぼ会社予想通りとなっています。 05年 06年 07年予想売上高 43,933 54,273(+23.5%) 60,000(+10.6%)営業利益 1,042 1,484(+42.4%) 1,700(+14.5%) ※営業利益予想はIR確認経常利益 1,122 1,540(+37.3%) 1,800(+16.9%)当期利益 358 480 800 今期の会社予想も前期ほどの伸びではないもののまずまずの水準です。個人的には利益で+20%は期待していたのですが、それでも悪くはないですね。経常利益に対して当期利益が少ないですが、これは特に特損等を見込んでいるわけではなく、バッファを見ているようです。実際には900~1000は見込んでいいと思われ、今日の時価総額が約137億円なので実質予想PER15.2倍~13.7倍ですね。かなり安いです。税効果会計の対象とならない税金(住民税の均等割、同族会社の留保金課税)の割合が多いためです。(platinumさんのご指摘により修正しました。ワッツの時といい、いつも助けていただいてばかりです)バッファ分はわずかですね。PER17倍程度となります。ただ四季報予想を以下の通り下回っているので、明日は売られてしまうのでしょうか?株価自体は四季報が出た後も全然反応していないので影響はないと思いたいです。 売上高 営業利 経常利 純利益 1株利益 連07. 3四季報予想 70,000 1,800 1,900 1,000 75連07. 3 会社予想 60,000 1,700 1,800 800 60 今期予想のうち私が注目している、子会社サンセブンが行う食品事業、つまり業務スーパーの予想は売上高29,000・営業利益320となっています。オートバックス事業の予想は26,000とのことなので完全にスーパーが主力の会社になってしまいます。食品事業の業績推移は以下の通り。 売上高 営業利益 出店数 店舗数03年 3,159 -155 14 1404年 8,572(+171.4%) 1 18 32(+128.6%) 05年 17,189(+100.5%) 84 19 51( +59.4%)06年 25,599(+ 48.9%) 202 17 67( +31.4%)07年予 29,000(+ 13.3%) 320 14 81( +20.9%)今期予想で売上高は+13%、出店数は+21%と成長率が鈍化傾向にあります。ただ今期計画の14店は保守的な予想とのことなので、過去の出店数から考えてもあと数店舗は上乗せの可能性はありそうです。また単純平均の店舗あたり売上高も05年3.4億円(17,189/51)、06年3.8億円(25,599/67)に対して、07年は3.6億円(29,000/81)と控えめなので、売上高も上乗せの可能性が考えられます。ちなみにフランチャイズ本部である神戸物産がついに上場を果たします。上場日は6月8日のようですので大いに注目したいと思います。小売業にまたひとつ注目の成長株が登場といったところでしょうか。ただもう少し早く上場してほしかったですね。4/27現在で店舗数400店舗なのですが、当面の目標が1000店とのことなので、規模的には2.5倍くらいにしかなりませんね。これであれば、現在は出店経費で利益の出ていないG-7を長期保有し、出店数の伸び+認知度向上・既存店売上高の上昇に伴う利益率の改善+PER水準の訂正を待つ方がリターンがはるかに大きそうです。4月末現在で69店、業務スーパーFC全体の17.3%を占めている状況で、今後同業フランチャイジーの競争の中、どれだけ出店を確保できるかがカギですね。近年はスーパーマーケット業界の低迷を横目に「食品ディスカウント業界」の企業の伸びが顕著です。個人的には上場企業では以下の企業が食品ディスカウント業だと考えています。大黒天物産コスモス薬品ゲンキーカワチ薬品G-7ミホウジャパンPLANT MR.MAXオリンピックカウボーイ九九プラス大黒天、コスモス、G-7、九九など、いづれも独自のビジネスモデルを構築したことにより急成長しています。共通点としてはローコスト経営、低粗利(エブリデーロープライス)が特徴でしょうか。従来の食品スーパーの市場を寝食していると考えられ、どの企業も規模を拡大し続けています。しばらく注目していきたいと思います。
2006年05月10日
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ゲンキーの既存店の昨夏以降の急激な悪化が本当にドミナント化による自社競合なのか、少し検証してみようと思います。以下はゲンキーのメガドラッグの出店時期と場所です。今期の新規出店店舗が既存店舗のどれに隣接するのかを横に示しています。<2000年6月月期>2000年4月 1号店 福井南店(福井県福井市)<2001年6月期>2000年11月 2号店 福井大和田店(福井県福井市)2000年11月 3号店 富山上飯野店(富山県富山市)2001年5月 4号店 岐阜糸貫店(岐阜県糸貫町)<2002年6月期>2001年10月 5号店 真正店(岐阜県真正町)2002年5月 6号店 近岡店(石川県金沢市)<2003年6月期>2002年8月 7号店 可児店(岐阜県可児市)2002年11月 8号店 東浦店(愛知県東浦町)2003年5月 9号店 岐阜真正店(岐阜県真正町)<2004年6月期>2003年10月 10号店 東鯖江店(福井県鯖江市)2004年2月 11号店 野々市店(石川県野々市町)2004年2月 12号店 NEW三国店(福井県三国町)<2005年6月期>2004年6月 13号店 武生西店(福井県武生市)2004年7月 14号店 田上店(石川県金沢市)2004年8月 15号店 鯖江西店(福井県鯖江市)2004年12月 16号店 阿久比店(愛知県阿久比町)2004年12月 17号店 若杉店(福井県福井市)<2006年6月期>2005年7月 18号店 太田店(岐阜県美濃加茂市) ・・・7号店 2005年7月 19号店 春江店(福井県春江町) ・・・12号店2005年9月 20号店 畝田店(石川県金沢市) ・・・6号店2005年10月 21号店 大野店(福井県大野市)・・・単独2005年12月 22号店 岐阜大野店(岐阜県大野町) ・・・4号店・5号店2005年12月 23号店 多治見西店(岐阜県多治見市) ・・・7号店(以下予定)2006年4月 24号店 柳橋店(石川県金沢市) ・・・14号店2006年5月 25号店 丸岡店(福井県丸岡町) ・・・2号店2006年6月 26号店 可児インター店 ・・・7号店今期出店の6店中5店が既存店と隣接するため、自社競合が発生、客を食い合い既存店は落ち、新規店舗も従来ほどは伸びないという現象です。ゲンキーも当初は既存店悪化の原因を自社競合だと結論付けるのに時間がかかったようです。最初は天候や他業態との競合だと言っていましたから。既存店売上は2005年6月期の平均が111%、今期7月も109%と高いレベルを維持していたのですが、7月以降大量に新規出店を重ねたとたんに、既存店は急落してしまいます。 7月 109.0% 2店出店 8月 102.7% 9月 104.6% 1店出店10月 105.7%11月 100.4%12月 97.2% 2店出店 1月 99.7% 2月 98.0% 3月 97.5%この月次既存店売上からも分かるとおり、長期的な成長の転換点に差し掛かっています。正念場を迎えているといってもいいでしょう。 このままではドミナント化する毎に次々に既存店が新規店舗に食われて、既存店がいつまでも伸び悩むことになってしまいます。ゲンキーの店舗戦略で致命的なのが実は商圏人口です。現在5万人と比較的大きな商圏をターゲットにしているため、自社競合、さらに他の業態との競合も今後避けられなくなってきます。そこで早速対応策を打ち出しています。ドミナントを形成しつつ自社競合しない、そして他業態とも競合しないフォーマットを今後の主力に据えて出店を重ねていく計画です。 つまり以下の通り、商圏・売場面積の変更です。商圏5万人・900坪・月商1億円 ↓ 商圏3万人・750坪・月商8千万円 しかし、商圏ターゲットを変更するということはより購入頻度の高い品揃えに変更する必要が あります。商品構成が変れば利益率も変わるので、従来成功していたやり方を 見直し、変更を加える必要があります。ここでさらに試行錯誤をすることになるので、新しいフォーマットがある程度成功し、定着するまでにしばらく時間がかかる可能性もあると思います。 メガドラッグの出店の推移は上記の通りで、一昨年までは少ない出店数だったのが 今期から大量出店攻勢へと転換しています。ところがいきなりそこで壁にぶつかってしまったわけです。 ただそれに対してすぐに対応を打ち出して実行できるところが小さい企業の利点でも あります。 効果が表れてくるのを気長に待つしかないですね。・・・と書いていたところ、今日第3四半期決算が開示されていました。経常利益の進捗率が60%弱と低いです。きっと月曜日は投売りが出るのでしょうかね。とりあえず次回今日の第3四半期決算の検証をしてみます。
2006年04月14日
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ゲンキーの3月の月次の検証です。下の段の3月の欄をご覧下さい。以前の予想では3月の売上を1,975百万円、前年比+22%と予想していたのですが、実際は1,816百万円、前年比+12.5%でした。何を読み違えたかと言うと、新店の売上です。前回は1店舗当たり84百万円で計算していましたが、実際は推定55百万円です。ちなみに2月までは平均して80~90百万円で推移していました。少し気になります。通期の予想ですが、メガドラッグの通期既存店を会社前提の100.3%として計算すると、249億円となり会社予想の250億円を少し下回ります。新規出店は3店舗、既存店以外の新店の売上は1店舗あたり81百万円としています(7月~3月の平均)下期の出店予定ですが、以下の通りで2店舗は予定通り、1店舗は日程が未定とのことです。24号店 4/20 柳橋店(石川県)25号店 5/11 丸岡店(福井県)26号店 未定 可児インター店(岐阜県)そして最も重要なメガドラッグの既存店売上ですが、3月も97.5%と地を張っています。ゲンキーの既存店の悪さは【はっしゃん】先生にも酷評されていますが、99プラスと決定的に違うのはメガドラッグの既存店はまだたったの17店舗しかなく、ゲンキーは未だに試行錯誤を繰り返しながら業態の確立を模索している段階であるということです。まだこれからの会社だと言うことですね。既存店が悪い要因は何度か書いてきたように、主に以下の点です。1.既存店の近くに新規出店したことによる自社競合。今期の6店舗はほとんど既存店の近くであり、その影響が大きいと考えられる(byIR)2.福井のスーパーが安売りを仕掛けていることによる競争激化特にゲンキーとしては1.を最も重要視しているようです。今後の対応策が中間決算の説明資料にも触れられています。私としてはゲンキーはビジネスモデルの方向転換を図ろうとしていると考えています。簡単に言えばこのままでは近い将来行き詰るであろうということです。・・・次回に続く
2006年04月13日
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薬王堂の18年2月期決算が開示されました。実績及び今期予想は以下の通りです。 前期実績 前年比 今期予想売上高 26,431 +18.0% 32,934 +24.6%経常利益 1,153 +16.4% 1,450 +25.8%純利益 639 +22.1% 781 +22.2%前期実績は会社予想に対して売上高は△2.0%の未達、経常利益は△4%の未達となりましたが、これらは月次を分析する事により予想できたことで、想定内の結果となりました。それよりも今期予想がかなり強気で、経常利益で売上高、経常利益ともに+25%増加の予想です。前期の出店数は以下の通りで、店舗数だけ見れば15/60で25%増加となっています。<店舗数> 期首 60店中間 66店 +6店3Q 74店 +8店4Q 75店 +1店店舗数の増加率25%より売上高の増加率が18%と低いのは出店が下期にかたよったためでしょうか。出店地域は地元の岩手以外の地域への進出を強めています。岩手 +4店青森 +3店秋田 +2店宮城 +6店これらの地域にはツルハ、横浜ファーマシーなど強敵がすでにある程度のシェアを取っています。特にツルハは近年地元北海道よりも東北への出店に力を入れていますので、薬王堂の出店も容易にはいかないだろうと思います。今期の出店計画は17店とのことです。17店/75店で+22.7%の店舗増加率です。(IR確認)既存店売上の前提は何故か教えてもらえなかったのですが、前期は101.5%だったので今期も同程度と考えていいのではないかと思います。前期9月に200店舗まで対応できる物流センターを設置しており、いよいよ大量出店攻勢に出始めたのでしょうか?業界内の売上高増収率は現在コスモス薬品に次いで2番目に高いレベルとなっています。予想EPSが2.6万円、今日の終値47.9万円でPER18.4倍と成長率に対してかなり割安な水準だと思います。成長性が市場で認知されればPER25倍程度まで評価される場面があるかもしれませんね。今日同時に開示された3月の月次は全店で116.3%と会社予想より低いレベルです。来月以降の月次に注目したいと思います。
2006年04月10日
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先週キリン堂が通期決算の上方修正をしました。実は半年以上保有していたのですが、月次の悪化から下方修正を予想し、先週一旦売ってしまいました(泣)。代わりに月次が良いアオキを買ったのですが、3Q決算がイマイチで株価は下がるしまつです。今後同じヘマをしないように何を間違えたか反省しようと思います。前回の日記で私は月次情報からキリン堂が下方修正するのではないかと分析しました。全社売上の累計値から売上高の未達は明らかであり、既存店が以下の通り悪化していたからです。既存店の悪化により粗利額が減少すると読みました。(既存店前年比)12月 -2.0% 1月 -3.2% 2月 -6.8%ところが売上高は13億円の未達ながら経常利益は79百万円の上方修正です。いったい何を読み違えたのでしょうか?開示資料には経営改善の取り組みとして以下の点が挙げられています。1.既存店の回復2.ヘルス&ビューティーケア商品の販売強化3.チラシ等の販促策の見直しまた売上高が計画を下回った要因として大雪の影響による出店の遅れを挙げています。以下は四半期ごとの出店及び閉店数ですが、比較的各四半期ごとに平均して出店しています。前期の出店数は20店舗とのことでしたので、遅れは1店舗になるのでしょうか。確認していないのでわかりません。1Q +4 -22Q +5 -13Q +6 -54Q +4 -1私としては出店の遅れによる利益の未達額よりも1年前から取り組んできた経営改善の施策が実を結んできたことによる利益改善が影響したのではないかと考えています。以下の表は前期の四半期毎のP/Lの推移です。第4四半期に通期経常利益の43%にあたる677百万円をを稼いでいます。経常利益率は通期平均の2.4%に対してなんと3.9%!です。まさかここまで利益改善するとは思いもよりませんでした。ここで注目すべきは粗利率です。第4四半期では年間平均の24.7%に対して25.8%と1.1%も高いです。ちなみに前々期の粗利率は23.6%ですので、2年間で+2.2%も上昇しており劇的な改善と言っていいのではないかと思います。これは上記の経営改善の取り組み3点が効果を挙げている事によるものなのではないかと思います。粗利率が変化するということは値段を変えたか、商品構成が変化したか、いづれかですが、1年前より同社はヘルス&ビューティーケア、つまり医薬品と化粧品の強化策を取っています。以下の表は過去3年間の半期ごとの商品構成の推移ですが、化粧品の構成比率が1年前の23.9%から26.4%へ2.5%も上昇しており、1年間でかなり変化していることがわかります。つまり収益構造が大きく変化しているといえるのではないかと思います。はたしてこの第4四半期の利益改善は一過性のもので終わるのか、それとも継続されるのか、仮に継続されるとすれば、昨年ののミドリ薬品、セイジョーと同様に今年のキリン堂はブレイクするかもしれません。今期の会社予想の売上高は+11.4%ながら経常利益率は前期の2.4%から2.7%へ改善する計画となっており、利益成長率は27.3%と高水準です。さらに経常利益率が2.7%の予想ですが、第4四半期を見る限り上方修正余地がありそうです。とりあえず次の第1四半期決算に注目ですね。 前期 今期 売上高 66,690 74,291 +11.3% 経常利益 1,575 2,008 +27.3%(経常利益率 2.4% 2.7%) 当期利益 753 781株価は上方修正を受けて金曜日に8.7%上昇していますが、実質的な予想PERは14~15倍程度と比較的割安水準です。それにしても売った事が悔やまれます。時期を見て買い戻そうと思います。
2006年04月01日
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先週3/23はアインメディカルシステムズの18年1月期決算発表でした。実績ですが、売上高は+9.6%増収、経常利益は△3.9%の減益となっています。経常利益は会社予想を+10%上回る結果となりました。減益の要因は既に下方修正時に説明されている通り、新規出店店舗が当初予定通りに伸びなかったことによるのものです。アインメディカルの決算で注目すべきはやはり今期予想です。業界の中で最も早く決算を迎えますので、今後発表される調剤薬局会社の来期予想の一つの基準になるのではないかと思います。先日アインファーマシーズと同様の今期の試算をアインメディカルでもやってみます。(あくまでも大雑把にです)表の左から2番目「改定後試算」の欄は06年1月期実績を薬価・調剤報酬改定に当てはめた場合です。(本来は改定の影響は4月以降の9ヶ月間なのですが、あえて1年間に当てはめています)経常利益は591→526へと△11%となる計算です。左から3番目、オレンジ色の欄が「改定後試算」から単純に売上高の実質伸び率+18.5%を全項目に当てはめた場合の今期の試算です。つまりアインFと同様の独自の試算です。この試算では経常利益は591→616と若干の増益となります。ところが実際の会社予想(薄青色の欄)では経常利益は591→555と36百万円、△6%の減益予想です。独自試算とは61百万円の差です。この差は何か?ということになります。ということで会社IRに確認してみました。変化要因は以下の通りです。1.まず、薬価改定の下げ幅であるが、平均値は△6.7%であるが、実際はそこまで下がらず、△5%前後と見ている。(ここはプラス要因)2.処方箋の長期化がさらに進む可能性があり、保守的に計画している。3.医薬卸との価格交渉はこれからであり、従来より値引きが得れず、薬価差益が小さくなる可能性があり、保守的に計画している。特に厚生労働省から医薬卸に調剤薬局は利益を取りすぎなので差益を出さないように、と指導されているらしく価格交渉が厳しくなることが予想される。4.西新宿店の合理化による人件費削減は、当初ゴールデンウィークに設備導入を予定していたが、予定が遅れ、年末になる予定。(私がかなり期待していたことなので少々がっかりです)マイナス要因は主に上記2.、3.ですが、考えうる限りの保守的な予想としたようです。やはり儲かっていると思われると今後の医薬卸との価格交渉が不利になることが考えられますし、薬価改定も厳しくされてしまうことを危惧しているようです。このアインメディカルの今期予想から考えると、親会社のアインファーマシーズの来期予想ももしかしたら減益予想を出す可能性もあるのではないかと思います。来週あたりに2月決算のメディカル一光の決算発表がありそうなので、引き続き注目したいと思います。ちなみにメディカル一光は今週上方修正翌日に一旦売りました。・・・それにしてもこんなに投資家心理を悲観させる要素に満ちた業界にあえて投資する必要があるんでしょうか(笑)。少なくとも5年くらい保有するつもりでなければとても保有は勧められないですね。私も既に投資してから1年たっているのですが、1年で+10%程度でパフォーマンス悪すぎです。あまり考えずに買った会社の方が余程パフォーマンス良いです。でも私のアインFへの投資は信念の様なものになりつつありますので引き続き放置し続けます。
2006年03月31日
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アインファーマシーズホルダーならすでにご存知だと思いますが、調剤薬局業務のマニュアル本が1/18に日経BP社から出版されています。なんと19,800円もします。ただ紹介文に『調剤過誤防止に代表される「安全」と、好感度の高い応対がもたらす「心地良さ」を追求するアインファーマシーズが、長年の経験で培ったノウハウを惜しみなく公開しています。』とあることからも相応の内容なのかもしれません。もちろん私は買いませんけど。しかし何故わざわざ「長年培ったノウハウ」を惜しみなく公開してしまうのでしょうか?敵に塩を送るようなものではないのでしょうか?私の勝手な想像ですが、一つには出店立地確保を有利にするための戦略なのではないかと思います。「初の本格的な運営マニュアル」とありますので他にこれ以上の内容のものはないのでしょう。つまり業界最高水準の業務品質であることを業界内にアピールするものであるということです。院外処方化を検討している病院の一番立地は当然獲得競争が激しくなります。アインファーマシーズはすでに過誤防止システムなど独自の設備を店舗に導入しており、安全性をアピールし、出店競争を有利にしているようなのですが、この業務の安全性が高いというアピールポイントを今回のマニュアルによってさらに強固なものにする戦略ではないかと考えられます。なので商売上は売れても売れなくてもいいんじゃないかと思います。なので2万円という破格の値段を付けて、わざと気軽に購入できないようにしているのかもしれません。ただネット上で薬剤師の方のいくつかのブログを拝見する限り購入したという方が結構いるようですので、かなり業界でも注目を集めているマニュアルのようです。ここにもアインズ&トルペ同様「競合を避けるための戦略」を読み取れるのではないでしょうか?今回の記事も前回同様勝手な誇大妄想ですので十分ご注意下さい(笑)。
2006年03月26日
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すでに昨年末新聞で報道されていますが、18年度診療報酬改定率はマイナス3.1%となっています。これは過去最大の下げ幅となったようです。このうち、調剤薬局に係わる改定は以下の通りです。薬価 マイナス1.6%(薬価ベースマイナス6.7%)調剤報酬 マイナス0.6%<過去の改定推移> 薬価 調剤報酬94年 -6.6% +2.0%95年96年 -6.8% +1.3%97年 -4.4% +1.2%98年 -9.7% +0.7%99年00年 -7.0% +0.8%01年02年 -6.3% -1.3%03年04年 -4.2% ±0.0%05年06年 -6.7% -0.6%調剤薬局に係わる部分については薬価引下げ幅は過去の平均値、調剤報酬は02年に続くマイナス改定とはなっているものの、下げ幅は少なくなっています。つまり02年よりは若干ですが、緩い改定と言えそうです。とは言え、絶対的には非常に厳しい改定であることは間違いありません。経営が苦しくなり、廃業する薬局も多く出てくることと思います。それでは、この改定がアインファーマシーズに与える影響について簡単に試算してみようと思います。これはあくまでも平均的な理論値であり、実際と異なる事、さらに私がこの業界のド素人であり正確性には責任をもてないこと、をご了承ください。まず、これは中間決算の説明資料に記載されている「調剤事業」のP/Lから流用して計算してみます。「06/4期計画」の欄は調剤事業の修正後の通期の計画です。これに対して「改定後」の欄は今期の計画値に来期の改定をそのまま当てはめた場合どうなるか、を計算しています。売上高、原価をそれぞれ開示資料から内訳を分解しています。・薬価の引下げ-6.7%により売上の中の「薬剤」が6.7%減少します・同じく薬価引下げ-6.7%により原価の中の「材料費」が6.7%減少します。 →薬価引下げにより医薬卸の仕入れ値も同率引き下げられるのが業界の慣例・調剤報酬ー0.6%により売上の中の「技術料」が0.6%減少します。これらを単純に当てはめた場合、営業利益は-4.8億円、-11.3%の減益となります。営業利益率は6.9%から6.5%へ下がります。つまり何も対策を施さないとこれだけの減益となってしまうという事です。普通に考えれば非常に大きな影響でしょう。次にこの状態から単純に20%成長した場合の営業利益の影響を計算してみます。中期計画では07年度は売上高で136億円の増収計画ですので、私は調剤で20%前後の成長を予想しています。表の「改定後+20%」の欄がその数値です。売上、原価、及び販管費も一律20%増加としています。とすると、売上は06/4期計画に対して+13.5%増収、営業利益は+6.4%増益となります。売上の増加に対して営業利益の伸び率が鈍化してしまっています。一方で実際には以下の要因により増益ファクターも考えられます。1.薬価引下げはあくまでも既存製品に対してであり、薬剤の新製品により実際の下げ 幅は縮小する2.今期は買収に伴う合併により(合同の研修会、会議などの費用)あるいは、合理化の ための設備投資などによりにより販管費が膨らんでいる。調剤事業では売上の増加率 +38%に対して販管費の増加率は+74%となっており、単純に差し引き+36%、 4.5億円は一時的な要因とも考えられる。3.薬剤師の平均年齢を下げており、07年の薬剤師の平均給与は約3.4%下げる 計画である。原価の内13%が薬剤師の人件費であるので(05年のアインF単体実績) 「改定後+20%」の原価は62,271なので、単純計算では 62272×13%×3.4%=275 つまり2.5億円前後は削減できる計算になる2.と3.を単純に足し合わせても7億円となり16%の増益要因です。もちろん計算通りに行かない事も十分考えられますが、その半分としても15%前後の増収は確保できると考えています。※何度も言いますが、ド素人の勝手な予想であることをご了承下さい。これが多いか少ないかはそれぞれのスタンスによって違うと思いますが、私の場合は数年先の小規模薬局の淘汰後の処方箋占有を考えていますので引き続き放置予定です。業界の中で経営改善に本気で取り組んでいて、一時的な苦境を克服できるよう優秀な企業を買い、あとは細かい利益の変動にはにこだわらず、根本的な経営不振にでもならないかぎり、長期で放置しておく、というのがこのような業界への投資には合っているのではないでしょうか? そして私はアインFにはその資格が十分あると考えています。
2006年03月23日
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スシローに投資して1年以上になるのですが、近くに店がなく恥ずかしながら今まで1度も食べに行ったことがありませんでした。しかし、数ヶ月前、わが街にもスシローが進出してきまして(これがサンドラッグ本社やドンキ1号店のすぐそばなのですが)、今日ようやくその噂の回転寿司に行くことができました。今まで私のブログには数多くのスシロー情報が寄せられており、またokenzumoさんも度々ブログで書かれていますが、そのどれもがスシローの寿司の美味しさについてのものでした。そしてその真偽を確かめるべく早速食べてみました。ビントロ、本カンパチ、トロサーモン、ハマチ、トロ鰹、ヤリイカなどを注文しました。はっきり言ってかなり感動しました。1皿105円でこのネタの質はあり得ない・・・いつも行っている府中駅前の個人でやっている回転寿司があり、1皿126円で結構美味しいのですが、それと比べてももしかしたら上回っているかもしれません。手で握っていないのでネタとシャリの一体感はなく、うまく箸でつかまないとバラけてしまうところが難点ですが、そんなわがまま言ったらバチが当たります。少なくとも、この味と値段で不満がある客は皆無じゃないですかね?スシローは既存店が前年割れが続いていますが、きっと、出店当初は客があまりにも感動して必要以上に通いすぎてしまうんじゃないかと思います(笑)。本当によくこれで利益が出ているなあ、と感心します。あとはこのレベルをどれだけ保てるか、ですかね。味が落ちたら、すぐわかりますからね、あっと言う間に客が離れていくでしょう。とにかく、これでスシローをさらに自信を持って保有し続けられます。行って良かった。スシローは、数字だけを見て投資判断したのですが、実際店に調査に行くのも悪くないですね。舌で数字の裏づけが取れますからね。どうでもいいですが、自分が保有している企業の店に行って仕事振りがイマイチな店員を見ると、「おらおら、しっかり働かんかい」と心の中で注意したくなりませんかね?もちろん、これはトンでもない勘違いで、従業員が働いてくれてるお陰で株主も利益を得ることができるのですけどね。
2006年03月21日
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2月はドラッグストア各社の月次既存店がかなり悪いですね。でも想定どおりです。昨年はインフルエンザと花粉症が近年まれに見る大流行で、特需的な売上でしたからね。多分3、4月もあまり良くないでしょう。私の保有株の一つ、キリン堂も悪いです。下方修正の可能性もありますね。計画達成のためには第4四半期で全店売上が前年比で+12.4%必要なのですが、結局6.0%だけしかないです。▲6%に相当する売上は約10億円です。粗利率が24%あるので、理論上2億円は利益が下回りそうです。予想経常利益が15億円なので15%前後下回る計算ですね。下方修正出すかどうか微妙な水準ですが。長期保有をめざして今まで放置していたのですが、決算前に一度売って買いなおしてもいいかもしれません。私とカンガエルさん以外だれも持って無さそうですが。キリン堂は最近1、2年で増やしているスーパードラッグタイプの店舗が来期収益貢献しそうなので、もうしばらく持ってても良さそうです。ただ業界の中でもかなりのダメダメ企業であるということにはかわりありません。
2006年03月15日
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チムニーの2月の既存店105.7%、と好調でした。ただし昨年が89.8%と最悪だったのでその分は割り引く必要はあると思います。(ただ一昨年がうるう年であり、この点も合わせて計算する必要はあります)さらに全店売上は+42%と会社予想の+18.9%を大幅に上回っています。この点について少し検証してみようと思います。■チムニーの強み(会社資料を簡単に見た程度)1.客単価が2800円前後 ・・・ この価格帯には競合チェーンがない2.産地直売システムによる食材供給体制と店内加工による品質向上。店内での調理の 手間を他社より多くかけているようです。3.フランチャイズの成功 FC:163 直営:141 建売システム、つまり直営店の払い下げ。 FCオーナーにとっては立地のリスクがないのでは。 競合他社の三光マーケはFCが1店舗しかないです。 4.女性店長の採用(全店の30%)・・・などでしょうか。■店舗の大型化2月全店売上の+42%は客単価(106.6%)の上昇という要因もありますが、注目すべきは店舗の大型化です。毎年平均面積が拡大しています。つまり1年前の2月の平均店舗面積より今期の2月の平均面積が大きいです。店舗数は116/143で+23.3%ですが、客数が+33.3%と店舗数の増加を上回っています。どの程度面積が大きくなっているかを試算してみます。まず単純に既存店の客数が変わらないとします。123.3%(店舗数の増加率)×106.6%(客単価)×面積=142%(全店増収率) 面積=108%2月の既存店の客数が103.1%なので108%/103.1%=104.8%つまり+4.8%は全店の平均面積(席数)が増加している計算になります。ここがチムニーの高い成長率の特徴です。ただし、今期のこの平均店舗面積が会社計画通り前期と変わらないと、毎月全店売上の前年比は下がっていく計算になります。なのでチムニーの現在の成長率が続くためには既存店とともに面積の平均値の上昇が必要です。※参考前期上半期 100坪以上店舗 4/27 平均77.0坪前期下半期 100坪以上店舗 11/36 平均92.7坪前期は下期に大型店の出店が多いので、前期の下期の大型化の流れが1年間続けば会社予想の88坪を上回り、通期での大幅増収が期待できる計算になります。・年間で前期と同じ程度の面積、且つ既存店が100%で推移した場合会社前提の既存店が95%、予想増収率が118.9%なので 100%/95%=1.0521.189×1.052=1.25つまり通期で25%増収となります。・客単価の上昇全店の客単価が前期は+2.9%と大幅UPしています。今期は2ヶ月で+5.9%です。上記の25%増収に加えて客単価が仮に前期と同程度の3%上昇したとすると、1.25×1.03=1.288つまり+28.8%増収となります。(ただし会社前提が客単価100%と仮定)・店舗面積が5%拡大した場合1.288×1.05=1.344つまり+34.4%増収の計算です。今のところ既存店、店舗面積、客単価と会社計画を大きく上回って推移しているファクターが多いので来月以降も楽しみです。かなりの保守的な会社予想PERで23倍なのですが、会社予想の+18.9%に対して月次累計で+40%であり、実際はもっと割安な水準です。
2006年03月12日
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昨日の私のワッツに関する検証は勘違いしてました。質問してくださったtomotomoさんすみません(汗)。platinumさんの指摘で気づきました。さすがはplatinumさんです。私のチェックが甘かったです。「月次に入っていない売上がある」という認識は同じですが、月次に入っていないのは9/1付で買収した会社の方ですね。私は分社化した子会社の方と勘違いしていました。ちょっと確認すればわかることでした。ああ恥ずかしいです。ワッツは前期の3月に分社化しています。親会社と子会社の役割分担は以下の通りです。 事業 売上高100円ショップ事業 13257 → 子会社100円ショップ卸売 2147 → 子会社ディスカウントショップ 846 → 親会社直営つまり100円ショップの売上は全て子会社へ引き継がれているので、月次の前年比も地域販売子会社含めた連結ベースと考えられます。ただし、platinumさんの言うとおり買収した三栄商事とシーエムケー・トレーディングの売上が入っていないと思われます。シーエムケーは輸入会社の様なので、連結売上には入っていない可能性高いのでとりあえず計算から除いておきます。では、昨日と同じように第1四半期決算と中間決算を検証してみます。前期の三栄商事の売上高は1354百万円なので3ヶ月ではおおよそ次の様な計算と仮定します。1354/4=339百万円今期第一四半期決算の売上高から三栄商事の売上を引きます4635 - 339 = 4296前期第一四半期売上高:3686*三栄を除く実質的な増収率4296/3686=116.5% つまり月次の3ヶ月の平均116.4%とほぼ一致です。昨日の私の計算も一致していたのは偶然です。ああ恐ろしい。次に、中間決算の進捗率を計算してみます。会社予想 9400三栄商事分 1354/2=677三栄を除く売上高 9400-677=8723前期中間売上高 7624実質的な増収率 8723/7624=114.4%つまり前半6ヶ月で月次が114.4%前後であれば会社予想の達成となります。これも昨日と同じような値になってしまいましたが、偶然です。ということで出てきた数字は偶然にも同じなのですが、昨日の私の記事は全くの勘違いと思われます。恥ずかしいので消したいくらいですが、よい教訓となるのでそのままにしておきます。このように自分の勘違いを心の広い親切な方が指摘してくださることがあるというのもブログをやっているメリットですね(笑)。これからも間違いを恐れず積極的に分析を書いていこうと思います。ちなみに買収額は以下の通りで、platinumさんの言うとおりPBR1倍以下のバリュー投資です。 純資産 取得価格三栄商事 313百万円 235百万円シーエムケー 70百万円 31百万円
2006年03月08日
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ワッツの月次の既存店について質問いただきました。コメント欄では書ききれませんのでこちらに書かせていただきます。初めましてtomoと申します。ここ最近既存店ベースでは対前年売上比がマイナスですが、合計ではプラスです。どちらを重視して見ればいいのでしょうか?既存店がマイナスであれば下方修正をする気もするし、合計がプラスであれば順調な気もしますし素人の私ではわかりません。お教え願えませんか?こんにちは。書き込みありがとうございます。まず、私もド素人ですので、同じ立場である事をご承知おきください。全店と既存店、どちらを重視すべきか、ですが、これはそれぞれ投資する方のスタンスによると思います。どこまで基準を厳しくするかだと思います。既存店が前年を大きく下回る事が続けば、経営の悪化を疑う必要があると思います。数ヶ月程度であれば私はあまり気にしません。また、全店売上は出店数にもよりますので、出店が遅れていれば会社予想に届かないケースも出てきます。基本的には会社計画の売上高前年比と月次全店売上の前年比を比べて大きく下回っていなければ下方修正の心配もないと思います。そこで、ワッツのケースですが、中間決算の会社予想売上高は前期比+23%なのに月次では+15%と大きく乖離しています。これだけ見ると不安になるかもしれませんが、これは前期が単独決算だったのに対して今期から連結決算を始めたからです。まず、今期第一四半期決算と月次を比較して検証してみます。前期 第一四半期決算の売上高 3686百万円今期 〃 4635百万円 (+25.7%)前半3ヶ月平均の月次前年比 116.4%これを見ると売上高と月次で前年比が違う事に気づくと思います。これは先ほど書いたように今期から連結決算を開始しているためです。そこで、月次に合わせて前期が連結決算だった場合の売上を簡単に試算する必要があります。前期の単独決算と連結決算の売上高の比率を計算します。前期 通期 単独売上高 15032百万円前期 通期 連結売上高 16251百万円 → 連単倍率108.1%*前期の第一四半期決算が連結決算だった場合の売上高 3686×108.1%=3985実質的な今期第一四半期決算の増収率4635/3985=116.3%この116.3%は月次(前半3ヶ月)の前年比116.4%とほぼ同じ値ですね。つまり月次開示は連結ベースではなく前期の単独ベースだと思われます。しかし、あくまでも前期の単独であり、今期の単独ではないです。今期の単独決算の会社予想は12800で減収予想です。これは会社分割を行っているためです。次に今期中間決算を達成するためには月次でどの程度プラスであればよいかを試算してみます。今期中間決算会社予想 9400 前期中間決算 7624これが連結だった場合の試算 7624×108.1%=8242実質的な増収率9400/8242=114.0%つまり前半6ヶ月平均で114%前後あれば中間決算の予想を達成できる計算になります。しかしこれはあくまでも私個人の勝手な試算であり、実際どうなるのかは全くわかりません。前半3ヶ月の116%より増収率が落ちるのは推測ですが、不採算のディスカウント店を閉鎖するためではないでしょうか。以上の様な試算により、今のところワッツについてはあまり気にしていません。1月は100円ショップ既存店だけ見ても95.8%と確かに悪いです。ただ、たった1ヶ月のことですので、これが半年とか続けばさすがに考えますが、数ヶ月くらいなら少々の下方修正であろうが気にしません。今の株価では下値が知れてますからね。ワッツのケースは月次から進捗率を読む場合に少々ややこしい試算が必要なので良くわからなければ止めればよいと思います。他にも投資先は沢山ありますからね。
2006年03月07日
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ゲンキーの事業報告書が届きました。アインファーマシーズ以上に手抜きですね。これ以上省きようがない、必要最低限です。中間ということもあるのでしょうが、ここまでするか、という感じです。コスト削減意識が隅々まで徹底されていることが改めて判明しました。粗利率20%という超安売りに係わらず5%近い高利益率を実現しているのが、業界2位のローコストオペレーションなのですが、これを維持するのは容易ではないと思います。同業他社19社中販管費が16%を切るのはサンドラッグ、ゲンキー、カワチ薬品のみです。この事業報告書を見てゲンキーの経営に対して信頼感が増しました。業績が悪くなって始めてコスト削減を始める会社が良くありますが、これじゃだめです。こういう会社ってちょっと回復すると元に戻るケースも多いと思います。本当の競争力のある会社はコスト削減が経営の根底にあるはずです。常にコスト意識を持っている。無駄を徹底的に省き、本当に必要な部分へ集中投資する必要があります。ゲンキーは経費削減により捻出したキャッシュを食品類の値引きと新規出店投資へ回しています。今の利益率が維持できなくなればメガドラッグの30%~40%成長も実現できなくなります。粗利が少ない分気を抜けないし、徹底したローコストの仕組みを作り上げる必要があります。その仕組みの一端がこの事業報告書なのですね。今日はたかが事業報告書でちょっと大袈裟ですが、お許しください(笑)。どうもゲンキーばかり書いてしまいますね。別に大きくはっているわけじゃありませんが。※参考:生活用品小売業の販管費・粗利率の比較(販管費比率19%未満の会社) 粗利率 販管費比率 経常利益率 1.サンドラッグ 22.0% 14.8% 7.4%2.ゲンキー 20.1% 15.3% 5.0%3.カワチ薬品 21.9% 15.4% 6.5%(ドラッグストア 3社/19社) 1.PLANT 16.4% 15.7% 0.9%2.大黒天物産 22.4% 16.0% 6.3%2.アオキスーパー 19.0% 16.4% 2.6%3.オオゼキ 23.6% 16.8% 7.8%4.タイヨー 20.7% 17.6% 3.1%(スーパー 4社/41社中)1.ギガスケーズ 15.8% 13.3% 2.4%2.ノジマ 15.9% 13.8% 2.5%3.ラオックス 14.8% 15.6% -0.4%4.ピーシーデポ 16.4% 15.6% 1.4%5.ソフマップ 16.3% 16.6% -0.6%6.コジマ 16.4% 17.2% 1.2%7.上新電機 19.2% 17.9% 1.1%8.ヤマダ電機 21.0% 18.4% 4.4%(家電量販店 8社/16社)1.サンクスジャパン 14.1% 12.3% 1.8%2.やまや 15.4% 13.9% 1.6%3.ジャパン 18.4% 15.9% 2.6%4.ドン・キホーテ 23.0% 18.4% 5.5%5.カウボーイ 19.6% 18.6% 0.1%(ディスカウントストア 5社/8社)コメ兵 24.1% 17.1% 6.6%(リサイクル 1社/8社)家電量販店、ディスカウントは価格以外の差別化が難しい業態なので経費を抑えるしかないです。やはりスーパー4社、ドラッグストア3社は同業の中でも突出しており、この業界でのローコスト経営は簡単に真似できる事ではないと考えられます。ドラッグストアの3社とスーパーの大黒天、オオゼキは利益率も非常に高いですね。これだけ見ても経営の良さがわかるのではないでしょうか。
2006年03月06日
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前回AKIさんから「ドラッグストアの24時間営業は採算がとれるのか?」との意見をいただきました。私なりに少し考察してみたいと思います。前回書いたとおり上場企業の中ではウェルシア関東が深夜営業を実施しています。ただ24時間営業ではなく、深夜の24時までの営業です。ウェルシア関東の過去業績の推移が今後のドラッグストア業界における深夜営業の事例の一つとなると思います。まず過去の推移です。■店舗数と深夜営業比率 全店舗数 深夜営業店舗数 深夜比率H13 65店舗 33店舗 50.8% H14 81店舗 51店舗 63.0%H15 95店舗 65店舗 68.4%H16 115店舗 ?H17 151店舗 ? (株)ナカヤを子会社化H18 220店舗 119店舗 54.1% (株)いいのと合併■経営指標の推移 粗利率 販管費比率 経常利益率H13 ? 19.4% ?H14 23.9% 21.0% 2.9%H15 24.3% 21.4% 2.9%H16 25.0% 21.1% 4.1%H17 25.8% 22.1% 3.8%■既存店売上高の推移H13 104.0%H14 101.7%H15 107.1%H16 110.2%H17 104.9%H18 102.1% (1月まで)H13以降販管費比率は上昇傾向にありますが、経常利益率も上昇傾向にあります。これはPB商品比率を高め粗利率も上昇していることによるものです。 H17は販管費比率が1%も上昇し利益率を若干落としています。これは子会社化したナカヤが要因か、既存店売上が計画より減少したか、でしょうか。以上からわかることはウェルシア関東は深夜営業の拡大によるものかどうかはわかりませんが、販管費比率は上昇しているものの、商品構成の見直し等の取り組みにより経常利益率も改善させていることです。この間、既存店売上は大幅に増加しています。特にH15、H16は現在のコスモス薬品並みの伸び率ですね。おそらく深夜営業の効果だろうと思われます。この深夜営業による営業時間の拡大分だけ単純に売上・利益ともに増加しますので、ウェルシアのように経営が良い会社は深夜営業を業績の向上につなげることができます。規制緩和は深夜営業のノウハウがあるウェルシア関東にとってはかなりの追い風になるだろうと思います。少なくとも薬剤師の比率を減らし人件費比率が下がる事により利益率の改善が見込めます。以上の事例よりドラッグストアは少なくとも24時までの深夜営業であるならやり方によっては十分採算が取れるということは言えるのではないかと思います。ウェルシア関東はあくまでも事例の一つです。今後同業他社がどのような経営戦略を立ててくるのかはとても興味あります。深夜営業といっても24時までのところもあるでしょうし、コンビニ同様採算さえ合えば24時間営業をする会社も出てくると思います。ただ規制緩和実施は2年後のようですのでまだまだ先の話ですけどね。深夜営業のスーパーが何故少ないか、という問題は別に考える必要があると思います。当然採算が取れないので深夜営業をしていないのでしょう。それは何故か?私の思いつきですが、需要が少ない、要は夜中に野菜や卵や魚や豆腐を買おうという人自体が少ないのだと思います。スーパーの主要顧客って主婦ですよね。主婦が夜中に買い物する事自体おかしいです。なので夜中のスーパーの客は少なく、経費に見合うだけの客数が見込めないということです。ちなみに私の家の近くのライフは駅前に立地し、25時まで営業しています。夜中も結構人が入っています。恐らく単身赴任など、一人暮らしの客だろうと思います。このような経費以上の客数が見込める地域はスーパーの深夜営業も成り立つと思います。ドラッグストアが深夜営業をしたとして、主要顧客は今夜中にコンビニを利用している人になると思います。コンビニは夜中でも人が入っていますよね。夜中にコンビニで売れる商品って、弁当、飲み物、菓子、酒ですかね。このうち、弁当以外のアイテムは奪えるのではないでしょうか?つまり十分ドラッグストアの深夜時間帯の需要はあるだろうと言う事です。この様なことを考えると以外にドラッグストアの深夜営業のハードルは案外高くないのかな、と思います。あくまでも私の想像の域を出ませんけどね。
2006年03月04日
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前回サッポロドラッグストアーの増資について書いたのですが、非常にあり難いことにかまぽんさん、SATOSYさん、hiro110-8さんなど多くの方からコメントをいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。私の理解がかなり間違っていた事がわかりまして、全くの恥さらしでした。私のレベルはこんなもんです。改めて株式投資のことは何もわかっていないことがわかりましたので一から勉強しなおしたいと思います。今回の事で改めてわかったこと。聞くは一時の恥。聞いたら・・・一生の恥!!!「聞かぬは一生の恥」はうそだと思います(笑)。ところでhiro110-8さんからいただきました書き込みは、コメント欄に置いておくのがもったいないくらいとてもわかりやすく説明して下さっておりますので、改めて本文に転載させていただきます。もしかしたら私と同じように理解不足の方も稀におられるかもしれないので、ためになると思います。hiro110-8さん、勝手にすみません。割り当て株数の修正の有無によらず、行使価額が修正されるものが、MSCBだと私は思っています。株数の修正を伴わない場合、行使価額により調達金額が変動してしまいます。株数修正により調達金額を確定できるメリットがあります。ただしその場合、行使する人にとっては株価を下げたいという誘因が働く場合がありますので、既存株主にとっては特に危険です。行使価額の調整の方は、発行済み株式数の変化に伴う理論的な調整であり、MSCBとは関係ありません。例えば1:2の株式分割をしたら、行使価額が2分の1になるといった事です。増資を引き受ける立場から考えると、2種類の目的があると思います。1.長期安定株主として企業価値の向上を求める 会社が増資で得たお金で事業を成長させることを求めます。望ま しいパターンです。2.利鞘を稼ぐ 有利発行分の利鞘を稼ぐことを目的とします。貸し株条項がついて いる場合は、こちらの目的だと推測します。利鞘を稼ぐためには、 権利行使で得た株を売却する必要があります。株数が多いと自分の 売り注文で株価を下げてしまい、利益の保証はありません。貸し株 条項があれば、それを事前に空売りして利益を確定できます。空売り によって株価が下がっても、その分行使価額も下がれば、利鞘は確保 できます。すなわち貸し株条項を要求する場合、短期売買で利鞘を稼 ぐことが目的だと解釈しています。長期的な株価の上昇を期待してい るわけではないでしょう。この場合、最終的に増資を引き受けるのは 一般の市場参加者となり、公募と同じことになります。有利発行の10% は、公募引き受け手数料とみなせばよいのではないでしょうか。hiro110-8さん、ありがとうございます。
2006年03月02日
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先週2月15日にサッポロドラッグストアーが増資を発表しました。しかも「新株予約権の発行」という稀なケースです。先週これはMSCBでは?という質問があり、自分なりに開示資料を検討してみました。まず、新株予約権とは商法上以下のように規定されています。「新株予約権」とは、「これを有する者(新株予約権者)が会社に対してこの権利を行使したときに、会社が新株予約権者に対して、その新株を発行し、または、これに代えて会社の有する自己株式を移転する義務を負うもの」です。中央青山監査法人のHPには新株予約権の活用方法として以下のケースが挙げられています。2) 法人に対する新株予約権の付与 商法上規定する新株予約権付社債以外に次の活用方法が考えられます。a.新株予約権付融資アーリーステージで財務基盤が比較的弱いベンチャー企業が、金融機関に新株予約権を付与することによって、融資を引き出す一方、金融機関は貸出リスクに見合う収益の確保を目指します。 b.新株予約権付株式ベンチャーキャピタル(VC)から投資をしてもらう際に、VCに新株予約権を付与することによって、早期に増資を引き受けるインセンティブを与え、投資を促します。 つまり、信用リスクの大きいベンチャー企業向けのファイナンスと言うことのようです。サッポロドラッグってそんなに信用が低いのでしょうか??? 会社の信用が高ければ普通に公募増資すればいいです。しないということは増資の引き受け手がいないと言うことですよね。サッポロドラッグの業績が改善し、株価が上がると思われていれば、普通の増資をするはずですが、しないということはよほどダメ企業と認識されているのでしょうか。開示資料にはこの資金調達方法は「比較的低コストでの資本増強を図れる可能性がある」と書かれています。いったいどの程度低コストなのかは不明です。次に開示資料から今回の新株予約権発行のスキームについて考察してみたいと思います。■新株予約権の総数 200個 1個あたり割当株式数は10株■募集方法 第3社割当の方法により、全ての予約権を三菱UFJ証券に割当■新株予約権の行使の際の払い込み額行使価格(株式1株当たりの払込金額)に割当株式数を乗じた額■行使価格の修正行使価格は以下の条件下で修正されます毎月第3金曜日の翌取引日以降、価格決定日までの5連続取引日の終値の平均値の90%つまり有利発行ということでしょうか。MSCBの場合は確か社債の転換時の株価が低いほど転換株数が増加し、希薄化が増大することになっていたと思いますが、今回の場合はそうではないようです。■行使価格の調整ここが今日ブログにとりあげたポイントなのですが、以下の条件下では行使価格の調整が行われ、割当株式数が増加することになっていますつまり希薄化が大きくなるということです。「調整後の行使価格」の適用時期:払込期日の翌日以降「調整」を行う条件:『「調整後の行使価格適用日」に先立つ45取引日目に始まる30取引日の終値の平均値』を下回る発行価格をもって当社普通株式を新たに発行する場合つまり三菱UFJ証券が予約権を行使し払い込みをした後、さらに増資することがなければ、行使価格の調整も行われず、当初以上の希薄化は起こらないことになります。行使価格の調整が行われ、希薄化が大きくなる可能性は低いのではないでしょうか?いずれしても市場価格の90%で株式を入手でき、引き受け先の三菱UFJに有利な条件での増資である事は間違いないです。そんなにせっぱつまってるのでしょうか・・・開示資料をここまで理解するのに1時間以上かかりました(笑)。頭の回転の鈍い私には表現が難しすぎます。しかも理解があっているかどうかも怪しいです。どなたか、私の間違いに気づき、指摘してあげてもいいよ、という親切な方がおられましたら、コメントお待ちしております。ちなみに投資判断は変わりません、初めからダメ企業への投資というスタンスですから。
2006年02月28日
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先週金曜新規でチムニーを買いました。カンガエルさんのパクリで、しかもいまさらですが・・・2005年12月期の決算は以下の通りになりました。 増加率売上高 210億円 +36%経常利益 17.5億円 +70.5%当期利益 8.6億円 +64.3%今期2006年度の会社予想は以下のようになっています。 増加率会社予想売上高 250億円 +18.9% 経常利益 20億円 +14.5% 当期利益 10.4億円 EPS 125円 予想PER 約23倍前期に比べて成長率が大幅に鈍化してしまう計画になっています。ただ1月の月次で全店売上高(直営店)の前年比は+37.4%と大幅増収です。店舗数は113/141で+24.8%です。店舗数の増加率を売上高の増加率が上回っています。売上高増加率+37.4%の内訳は次のようになっています。客数 +30.8%単価 + 5.1%単価の上昇のほかに客数も+30.8%と店舗数の+24.8%を上回っています。何故かと言うと、出店を重ねるごとに店舗面積を大きくしているからです。直営店平均坪数03年 74.904年 84.905年 88.7つまり1店舗当りの売上高が毎年増加しています。これがチムニーの高い成長率の要因の一つとなっています。ところで今期2006年度の会社計画の前提は出店数 60 (+19.7%)坪数 88坪既存店売上 95%となっています。店舗坪数88坪とほぼ前期と同じなので仮に既存店が100%となった場合は、期末の売上高増加率は出店数とイコールになります。つまり毎月売上高増加率が逓減していく計算になります。月次全店売上高は恐らく以下の様な推移のイメージになると思われます。(年間の店舗増加率+20%として毎月平均的に出店していくと仮定)1月 +37% ↓3月 +35% ↓6月 +30% ↓9月 +25%12月 +20%つまり会社前提の店舗面積88坪の場合昨年ほどの高い成長率は見込めないことになります。しかし、既存店売上高の前提がなんと95%と超保守的です。ちなみに1月の既存店前年比は100.8%です。このまま年間平均が100%で推移した場合、5%の増収分×粗利率が理論上は増益に効きます。昨年の直営店売上高は120億円でした。+5%だと6億円となります。直営店の粗利率は70%なので4.2億円が理論上増益となります。会社予想経常利益は20億円ですが、これが24.2億円となった場合増益率は+38%、EPSは約150円、株価2955円では実質的なPERは19.7倍となる計算です。もちろんこれはあくまでも理論上の話なので、実際はどう推移するかはわかりません。ただ会社予想がかなり保守的であることは間違い無さそうです。ここ1~2週間でドラッグストアを整理したのですが、今度は外食が増えてきつつあります。スシロー、なか卯、チムニーと3社目です。昨年は薬局ばかりに投資していました。自分の得意分野を作るためでもあります。今年は幅を広げるために外食も少しずつ調べていきたいと思います。銘柄が多いのはこれはこれで楽しいので良いのですけど。分散すればパフォーマンスが落ちるので悩みどころです。
2006年02月26日
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カンガエルさんから以下のコメントをいただきました。 ・下方修正後も20%増収予想で強気である ・ゲンキーは1月前年比が16.8%で、下方修正の不安がある これはもっともだと思います。会社予想の増収率より月次が下回っていますからね。恐らく多 くの方が同じ考えだと思います。 しかし計算してみると分かるのですが、今期全社+20%予想はかなり保守的と言えます。 私はゲンキーに関してはメガドラッグストアしか評価していないので、少なくともメガドラッグが 20%を割れなければまあいいかなと考えて保有しています。今のところ今期累計で+35% で高成長を保っています。 このあたりがゲンキーの評価の分かれるところだと思います。小ドラッグも含めて全店で評価 するか、メガドラッグの高い成長率を評価するか、ですね。 ◆下方修正の内訳 まずゲンキーの下方修正の内容ですが、以下の点を修正しています。 ・3月中旬に計画していた丸岡店を5月初旬に変更、4月に予定していた可児インター店を6月に変更。 ・既存店売上の前提を全店で通期で-1.48%に修正。メガドラッグの既存店売上見込みは 105.5%から100.3%に下方修正した。これは当初 予想していたより自社競合の影響が大きいから。(下期だけでは97.3%の計算になります) また小ドラッグは90%の予定。 また下期の出店予定をまとめます。 ・4月下旬 愛知 あるいは 金沢の居抜き物件 ・5月初 丸岡店 ・6月初 可児インター店 ◆通期の見通し 以前載せたゲンキーの売上試算表を上記の内容を加味して再度試算してみます。上下に分かれていますが、上が前期、下が今期の試算です。あまり真剣に見る必要ないです。メガドラッグは通期で既存店100.3%の予定なので2月以降の既存店は96.8%となります。これはかなり保守的ではないでしょうか?今後少なくとも既存店の悪化で下方修正する可能性は非常に低いです。 ちなみに会社前提の既存店売上だと今月2月は前年比+10%になってしまいますね。 ◆既存店前年割れについて ただ既存店96.8%をどう評価するのかはまた別問題だと思います。客観的に考えれば決して楽観できるものではないと思います。自社競合は過去の福井県の出店においても発生するはずですが、過去メガドラッグで既存店が100%を割ったことはありません。この点は今後も注意していく必要はあると見ています。既存店の減収が続けば利益成長にかなりの影響があるからです。 ただもし既存店前年割れが自社競合の影響である要因が大きいのであれば、その影響は一時的です。該当の店舗は1年後には回復しているはずです。ただこればかりは開示されていないのでわかりません。メガドラッグの売上の1%は約12百万円/月前後になります。既存店を8.2%下方修正したということは98百万円/月の影響になります。下期で590百万円です。結構大きな額です。 以下は過去のメガドラッグの年間の既存店前年比です。 2004年 +13.7% 2005年 +10.9% 2006年 + 0.3% (下期 -2.7%) 04年、05年ともにかなり急激な伸びであることがわかります。つまり前期までの急激な伸びが今期はひと段落したということも考えられると思います。また期初時点では今期も大きく伸びることを想定していたが、予想外の安売りスーパーと自社競合の影響があったのではないかとも考えられます。 既存店についてはかなり意見が分かれるところだと思います。人によっては疑わしきは切る、という人もいると思いますし、私のように数字だけ見ればメガドラッグで20%成長を続けていて今の株価ならまあ安いかな、と考える人もいると思います。スタンスの違いなのでどっちでもいいと思います。 ◆メガドラッグストアの評価 ちなみにメガドラッグと小ドラッグの利益の内訳ですが、IRに以前聞いたところ予想経常利益12億円のうち10.5億円がメガドラッグ、1.5億円が小ドラッグとのことです。(本社費配賦後) 仮にメガドラッグだけで評価すると純利益=経常利益(10.5)×55%=5.8億円です。 30%以上の成長なのでPER25倍の評価でも良いと思っていますが、その場合時価総額145億円です。今日の時価総額は94億円なので、少なくとも私にとっては3割以上割安という判断です。PER20倍とすれば、時価総額116億円、株価約39.5万円ですね。保守的に考えればこのあたりが妥当なのでしょうか。 短期的な値上がりは期待しづらいと思いますが、月次で成長が確認できるかぎりは気長に待つスタンスです。ただいつ評価されるかは分からない。 ただ株価の短期的な予想をすることは難しいです。こればかりはひたすら待つしかないです。割安株投資の宿命だと思います。 色々理屈っぽいことを書きましたが、以上を総合して考えて今の株価は割安であり、割安である理由は 市場の誤認であるという判断をしています。 ちなみに私はいつもこんなマニアックな表を作っているわけじゃないです。ゲンキーに関しては月次で会社予想を下回ることが続いたので、自分である程度試算することにより不安を消すためです。これも予想が簡単にできる会社だからこそできることです。毎月の売上の内訳まで開示していますからね。 それとなんだかいつもゲンキーばかり取り上げていますが、特に集中投資しているわけでもないです。必要以上に悲観されている気がするのでこんな考え方もあるのではないか、と思って書いています。 会社予想を基準にするかどうかも様々な考えがあると思います。私の場合だとゲンキーなど月次のある会社に長期的な成長を期待して保有する場合は会社予想はあまり気にせず月次で絶対的な成長率を見ていますし、逆に前期のライフォートは月次で上方修正を予想していますし、TBKやなか卯なんかも完全に会社予想に対する進捗率を基準にした投資です。長期的な成長を期待している場合は会社予想よりもPER水準とのバランスで自分 でどの程度の成長を期待するか、を考えています。
2006年02月23日
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今日は珍しく昼休みの更新。先週の進捗率調査からTBKとなか卯を新規購入しました。TBKは全然自信ないのですが、販売先の自動車業界の業績が好調なので少し安心感があります。これは深く考えずに買ってしまい少々後悔しています(笑)。MSCB発行しているんですよね。まあ失敗しても実験だと思って次につなげます。なか卯はnemoさんのブログもきっかけです。ゼンショーによる買収後、利益率が大きく改善しており、特に3Qでは人件費コントロールがうまく行っているようです。好調がいつまでつづくのかは完全に確信がないですが、月次及び次の通期決算を見ながら保有を続けていきたいと思います。上方修正後暴騰していますが、まだ割安だと思います。先週ミドリ薬品とダヴィンチを一部売ってキャッシュができたので、昨日コスモス薬品とオートセブンを買い増し。でもゲンキーが激下げだったんですね。こっちにすりゃ良かったよ。一昨日と昨日の昼時点で年収の半分以上も減っていた。こういう時は職場の先輩にグチを言って発散させています。一人で悶々としているより良いです。以前いた職場の後輩で株をやっている奴から昨日午前10時ころに「参りました」とメールが。結局その時が底でした。一度撤退して再戦するようです。がんばれ!hanchoさん。昨日の午前中の下げは投資家にとっては相当精神的にきつかったのでは。ダヴィンチが60万円台でしょ。でも指値で仕込んだ方も結構いますね。takoさんのブログをいつも拝見させていただいますが、その売買は芸術的な美しさです。いつもただ感動してしまいます。最近どうもブログのモチベーションが上がらず更新が少なくてすみません。熱しやすく冷めやすい性格なんです。
2006年02月15日
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本日阪神調剤薬局の第3四半期決算が開示されました。先日の下方修正の要因ですが、IRに確認したところ、経常利益△290のうち、粗利で△220、人件費で△70とのことです。計画時に調剤技術料収入の減少を甘く見積もっていたとの事です。さらにインフルエンザ、花粉症で好調だった昨年と同レベルに今期の技術料収入の計画を立てたとの事。ちょっとさすがに頭にきました。アインファーマシーズは今期の調剤事業の技術料収入に関しては昨年は特需ということで今期は堅く計画を立てているようです。ドラッグストアは甘かったのですが。HPに出ている会社説明会VTRでもわかりますが、中間での下方修正のほぼ100%がドラッグストア事業が要因です。調剤事業はかなりの高収益をキープしています。また後日気が向いたら分析を載せます。結局経常利益率4.3%の計画が3.1%になってしまいました。やはり固定費の重い調剤薬局は厳しいです。アインファーマシーズやクラフトのようにギリギリまで経費を切り詰め、さらに合理化努力をしている企業だけが生き残りには有利です。ということで阪神調剤はしばらく様子見しようと思います。そう言えばメディカル一光も固定費比率が高い会社だったんですよね。2ヵ月後に決算が出ますがまさか再度下方修正なんてことはないでしょうね。今年度はアインメディカルに続きメディカル一光、アインファーマシーズ、メディカルシステムネットワーク、阪神調剤薬局と業界7社中、5社も下方修正です。先月末の日本調剤は無事3Qを切り抜けましたが、最後の砦、クラフトはいかに???クラフトまで下方修正だったらさすがにしばらく投資止めますよ(笑)。
2006年02月10日
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今日はゲンキーの中間期及び通期の業績予想下方修正が発表されました。売上高は月次で既に周知の事実ですが、経常利益も想定の範囲内でした。恐らく月曜日もそれほど下げないのではないでしょうか。以下開示内容です。<中間期> 会社予想 修正後 売上高 12800 11944 -6.7%経常利益 650 521 -19.8% 利益率 5.1% 4.4% 前期 修正後売上高 9903 11944 +20.6%経常利益 460 521 +13.3%利益率 4.6% 4.4%売上のマイナス要因として一番大きいのはやはり月次資料でもわかるとおり小規模ドラッグストアの不振ではないかと思います。ただ、下方修正とは言え、売上高は前期比で+20%、経常利益は前期比で+13.3%と伸びています。<下期> 会社予想 修正後 売上高 14200 13056 -8.1%経常利益 750 679 -9.5%利益率 5.3% 5.2% 前期 修正後売上高 10844 13056 +20.4%経常利益 574 679 +18.3%利益率 5.3% 5.2%下期も下方修正していますね。出店が予定より遅れるのでしょうか?ちょっと確認を怠りました。後日聞いてみようと思います。利益率がほぼ変わらないので、既存店は計画並みで見ていると考えられます。<通期> 会社予想 修正後 売上高 27000 25000 -7.4%経常利益 1400 1200 -14.3%利益率 5.2% 4.8% 前期 修正後売上高 20747 25000 +20.5%経常利益 1034 1200 +16.1%利益率 4.6% 4.8%売上高下方修正の理由として、「秋の天候不順」「12月の大雪」を挙げています。大雪はわかりますね。「秋の天候不順」というのは、昨年秋の週末は雨が良く降ったようで客足が鈍ったようです。そして経常利益の修正理由として「粗利率の低下」を挙げています。私としては天候不順はまあそれほど気にする必要ないとしても、粗利率低下は見逃すわけには行きません。IRに事情を聞いてみました。直接の要因は食品において利益率の低い商品の売上構成比が高くなったことにあるということです。そしてその原因は、福井県NO.1のスーパーマーケット「ユース」の仕掛ける安売りに引っ張られ、県内の2番手、3番手も安売りで応戦し、ゲンキーもその影響を受けたということです。北陸の経済ニュースにあるように北陸ではアルビスとバローがスーパー業界の主導権争いを繰り広げているようなのですが、バローは昨年4月に福井県トップの「ユース」を買収し、北陸でのシェアはトップになったようです。そしてより集客を高めるために安売りへ戦略転換を図っているようなのです。こちらのニュースによれば昨年3月の時点で福井県に28店舗を展開しているようで、地域独占状態ですね。福井で幸せになるために大切な事こちらのブログでも紹介されていますが、かなりの安売りに走っているようです。「経営革新のタネ」というブログでもバローとゲンキーの熱い競合が紹介されています。今のところどちらも譲らず、と言ったところでしょうか。ただ、ゲンキーとしては、このような安売りもスーパーの収益構造的にも長く続くはずがないと予想しているようでして、実際、1月以降は県内スーパーの安売りも弱まりつつあるとのことです。また同時に開示された月次においてメガドラッグストアの既存店が12月に続いてマイナスになっています。12月は大雪という理由があるので気にしていませんでしたが、1月は例年雪が降るはずなので、マイナスというのは少々気がかりです。IRの説明では12月に新規出店した2店舗、大野店と多治見西店ともにドミナント化のために既存店舗の傍に出店しており、既存店の方が新店の方に客が取られているという要因もあると見ているようです。これは商圏が大きい店舗形態ですので、一般的に見られる現象です。そのかわり地域のシェアを大幅に向上させ、認知度も高められ、結果として将来の増収に繋がっていきます。今回の下方修正も減益というわけではなく、一応順調に成長していますので、引き続き放置予定です。
2006年01月27日
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月次情報を集めたサイト、会社WEBにドラッグストア業界で唯一月次情報の開示がなかったマツモトキヨシが新規で加わりました。会社のHPには月次情報は掲載されていません。これでドラッグストア19社全社の月次情報を入手することができるようになりました。これを見ると、過去2年間、24ヶ月のうち既存店売上がプラスなのはたったの6回しかなく、あとは全て前年割れなんですよね。マツキヨは業界の中でも売上高も1位、業界再編においても積極的であり、勝ち組と言われていると思うのですが、以外にも既存店は不調だったということが判明しました。これはやはり集中出店している首都圏ではかなり市場が飽和状態になってきていると考えられるのではないでしょうか。特にショッピングセンター内など市街地に出店する都市型DSが多いですので、競争がかなり激しいのでしょう。今期も新規出店している55店舗のうち、33店舗が都市型となっています。一方で同じ首都圏を中心に出店しているサンドラッグは既存店は絶好調、会社WEBで確認できる昨年4月以降前年割れがありません。近年は地方への出店、また首都圏でも郊外型を中心に出店していると思われるので、このあたりがこの差に表れているのかもしれないです。両者の実力の差は株価にも反映されており、時価総額はマツキヨの1950億円に対してサンドラッグは2310億円と高く評価されています。マツキヨは都市型DSが主力の会社ですが、今後はいかに差別化された店舗をつくれるかがカギとなります。TVCFでブランドイメージを浸透させる戦略のようですが、なかなか思い通りにはいかないようですね。
2006年01月15日
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今日は通販業界の株価の比較です。参考:通販会社の比較■前提・業績データは全て四季報です。・実質PERは経常利益×55%/株数で計算。・12月末 6月末 12月末 と並んでいる欄は左から2004年12月、2005年 6月、2005年12月にそれぞれ発売された四季報の経常利益を使用、つまり半年 毎の四季報の経常利益とその当時の株価でPER計算しています。業界平均の株価上昇率は31.1%とTOPIXを下回っています。業界全体の売上高成長率も低く、厳しい業界の状況を反映しているのではないでしょうか。1位は千趣会で1.7倍になっています。これは先日発表された業績の上方修正によるものです。修正理由は経費削減による利益増とのことで必ずしも本業が順調なわけではないようです。2位はおなじみベルーナで1.5倍になっています。10月以降急激に割安水準が見直されましたね。業績は業界で最も順調だったにもかかわらず、株価は長い間低迷していましたので、ホルダーは嬉しさもひとしおと言ったところではないでしょうか。3位は業界一の成長企業、JIMOSです。成長性に比べて割安だったPERが見直されたものです。下期は株価が低迷しています。このほか、セシールは最下位です。8月に大幅下方修正しています。ただ10月にライブドアによる買収が報道されてから株価は急騰しています。業界全体のPER水準を見て今期の業績では既に割安と言える企業はなくなってしまいましたね。今期不調なニッセン、セシールなどが来期回復するのかどうかですね。ジモスも今の30%成長が持続するなら今の水準でも許せる範囲かもしれません。昨年末から連続投稿してきましたが、ちょっと息切れしてきました。ただ去年の振り返りをいつまでもひっぱってもしょうがないのでしばらく頑張ります。
2006年01月09日
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前回の投げやりの日記に多くの励まし&叱咤激励のコメントをいただき有り難いやら恥ずかしいやらです。まさかこんなに反響があるとは予想していなかったのでビビっています(汗)。本当は文句の一つでも言いたいところでしょうが、逆に温かいコメントをいただき心から感謝しております。これで懲りずに長い目で見ていただければと思います。■連結決算まずは中間決算のレビューを簡単にしてみます。1.前期比較ですが、売上高は50%増収、営業利益は45.9%増益、経常利益は26.6%増益です。素晴らしい伸び率です。まず、営業利益と経常利益の伸び率に大きな差がありますが、これは前期行ったM&Aによるものです。現在子会社となっているアインメディカルは前期中間までは持分法適用関連会社でしたのでその利益は「経常利益」に「持分法による投資利益」として52百万円計上されていましたが、今期は連結子会社となり営業利益に合算されています。アインメディカルの中間営業利益は258百万円ですので、これが持分法(持分比率33%)のままであれば、営業利益は1228百万円、経常利益は1310百万円となり、増益率はそれぞれ20.6%、12.6%となります。アインメディカルの子会社化によりこれだけの影響があるとういうことです。また今期はリジョイス、リジョイス薬局も買収・子会社化しています。この2社の前期の営業利益は通期で332百万円ですので、中間では大雑把に見て160百万円程度と想定されます。仮にアインメディカルとリジョイス、リジョイス薬局の影響を除くと営業利益は1068百万円、増益率は4.9%となります。今期中間に限って言えば増益はM&A効果が大きいと言えます。今期から税引き後利益の後に「少数株主利益」という科目が登場しています。これは前期中間以降子会社化したアインメディカルの利益のうちアインファーマシーズに帰属しない利益を除外しているものです。これについてはplatinumさんと議論していますので参照ください。「アインは」2.次に会社予想との比較ですが、売上は17億円、約5%の増収と好調です。経常利益は△4.5%とやや未達。これはドラッグストア事業の伸び悩みによるものでしょう。次にセグメントの前期比較です。<前期中間> 医薬事業 物販事業売上高 19076 6144営業利益 1320 4 (6.9%) (0.2%)<今期中間>売上高 30210 7656営業利益 2041 -103 (6.8%) (-1.3%) 物販事業、つまりドラッグストアの収益が悪化しています。これは当期において既存店(アインズ)3店舗の改装費用、新規出店(アインズ&トルペ)2店舗の費用を売上利益でカバーできなかったことによるものです。さらに当初の見込みより既存店が伸び悩んでいるようです。特に前期出店した名古屋、大阪の4店がなかなか軌道に乗らないようです。物販事業の通期会社計画の営業利益が187百万円ですので、中間で50百万円前後は見込んでいたと思います。つまり150百万円前後は計画比で減収と言う事です。前々回の日記にも書きましたが来期に期待しましょう。次に前期と今期の第2四半期を比較してみます。3.まあ傾向的には中間と変わりませんね。粗利率が1.4%下がっているのが気になりますが、これは現状の情報では分析しようがありません。一方で一般管比率が0.3%下がっていますね。一応良い傾向です。4.次に今期の第一四半期と第2四半期の推移です。特別損益が違うだけで経常利益段階ではほぼ変化なしです。それでは会社予想の修正前と修正後を比較します。5.&6.売上で16億円、2%の減収、経常利益で4.1億円、11.6%の減益としています。また下期だけの比較では33億円、7.9%の減収としています。かなり大きいです。経常利益では3.4億円、17%もの減益予想です。この業績下方修正の理由についてまずは、決算短信に記載されている内容について考えてみようと思います。・処方日数の長期化の影響による利益率の低下 処方日数制限の撤廃により例えば、従来30日だった処方箋が60日になるということです。これは処方箋単価の内訳のうち、薬剤比率は高まり、調剤報酬の割合が低くなると言うことです。ただこれはアインファーマシーズに限った話ではなく、他の調剤薬局も同様の影響がありますし、下方修正の理由にはならないはずだと思います。数年前よりこの傾向にあり、当初よりわかっていることですからね。つまり単に予想を保守的にしただけとも読めると思います。・薬価改定等の動向を見据えた院外処方化鈍化これは表現が悪いのですが、要は当初予想していたよりも病院側の薬価差益が大きく、院外化が遅れている傾向にあるということです。前回の薬価改定から2年たち、卸からの仕入れ値が下がっているようです。出店計画の減少は出店の断念ではなく、院外化を待っている状況です。裏を返せば来年の厳しい薬価改定により再び分業化が加速するということですね。これだけでは下方修正の理由が釈然としませんね。もっと確かな理由があるはずだと考え、IRに聞いてみました。まず売上高の下方修正の理由です。・出店計画の減少 通期で29店舗出店の計画が現状では23店舗前後の見込みとなった。この要因は上記に書いた院外処方化の鈍化が5店舗、出店の取りやめ(アインメディカル)が1店舗のようです。これでアインメディカルを分を除いた5店舗分で売上5億円前後となると思われます。・子会社アインメディカルの下方修正通期で5億円下方修正しているのはご存知だと思います。これは新規出店1店舗の取りやめ(出店競争激化による賃料高騰)、新規出店先の病院の患者数が見込みより減少していることなどが要因です。・ドラッグストア「アインズ&トルペ」のうち前期出店した大阪、名古屋の4店舗の伸び悩みこの分で5億円前後と思われます。やはりまだまだ認知度が低いようです。ただし、ポイントカード会員数は確実に伸びている事により将来の固定客の増加が見込まれること、また3年前に出店した原宿店も当初1年は赤字が続いていたことにより、悲観はしていないようです。ただ今後も十分チェックしていく必要はあります。一方で前期末出店の宇都宮店、今期の川口店、三宮店は順調に推移しているようです。やはり大阪、名古屋のような路面店はなかなか客が何の店なのかがわかりづらいのでしょう。・来期診療報酬改定の影響アインファーマシーズは4月決算ですので4月の一ヶ月分を保守的に算定しなおしたようです。まあ減収があったとしても1ヶ月当りの売上50億円の5%もないでしょうから、多くても3億円の影響でしょう。・前期合併したリジョイス、リジョイス薬局の不採算店の切り離し具体的に何店舗かはわからないのですが、売上影響額はせいぜい1~2億円とのことです。以上のような内訳となっています。これらを全部足しても20億円にもなりません。つまり、通期の下方修正額17億円にはほぼ合致するのですが、下期修正額33億円とは10億円以上も開きがあります。これはいったい何なのか?ということになりますが、ひとつはもともと下期を強くみすぎていた事、また更なる下方修正を恐れて保守的に見すぎていることが挙げられます。ただ上期の売上高が380億円、修正後の下半期が389億円ですので、新規出店があることを考えれば下期の売上はかなり保守的な予想だと言う事がわかると思います。次に経常利益ですが、通期で4.1億円、下期で3.3億円下方修正しています。これは「アインズ&トルペ」の売上伸び悩みによる粗利減が大きいと考えられます。アインズ&トルペは30%前後の粗利率と考えられるので1.5億円前後でしょうか。他の要因としては・出店の減少分・処方箋の長期化による粗利減(ただかなり保守的に見直しているようです。)・合併に伴う一般管理費の増加、改装費用の増加などのようです。次に修正後と修正前の前期比較です。7.売上で37.5%増収が34.7%増収に、経常利益で14.9%増益が1.6%増益とほぼ伸びがなくなっています。ただこれは前期の経常利益が異常に良かっただけと言う事もあり、伸び率が低く見えてしまっています。前期の後半はインフルエンザと花粉症の大流行により会社計画経常利益が25.5億円だったのが30.8億円に終わっています。仮に前期が会社計画通りだとすれば22.7%増益となるわけで、それほど悲観する必要はないと思います。次に続きます・・・
2005年12月17日
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今日アインファーマシーズの中間決算短信が開示されました。数字の検証は次回やろうと思います。みなさんご存知の通り通期予想を下方修正しています。今回の売上高の修正理由はまさに前回の日記のainzloveさんへのコメントに書いた理由、出店の遅れか新規病院の立ち上がりの遅れという理由に当てはまるものです。これに追加してドラッグストアの売上伸び悩みですが、これらいずれも想定内です。この業界へ投資する以上は出店のずれはある程度覚悟が必要だと思っています。根本的な経営不振とは違いますし、私は少なくとも3~5年先を想定して保有しているので、このまま継続保有したいと思います。ただ、正直かなりガックリです。これでしばらく株価は低迷するでしょうね。今年の私のパフォーマンスがさえなくなると思うとやる気なくします。結局4月に買ってから全く株価が変化なしということです。このとりあえず買っとけば何でも上がるお祭り相場の中でひとり下げ相場を体験しているダメダメ投資家です。今年一年何やってたんだろうと思うとホントいやになりますね。これだけ時間を掛けて調べてこの結果ですから、むなしいです。しかも私のブログ見て買った方も多くおられて、申し訳ないやら情けないやら、ほんと皆さんすみません。穴があったら入りたいくらいです。okenzumoさんなんか2万7千株とか買ってませんでしたっけ?今頃落ち込んでるだろうな、こんなことならクラフト奨めておけば良かったです。今日のアインの出来高が2万株とかなのでokenzumoさんが売っただけでストップ安しそう・・カンガエルさんじゃないですが、とことん調べた銘柄に限って不調です。ムトー精工もそうでした。逆にさらっと資料を見た程度の阪神調剤は2倍になるし、同様のクラフトも買って1ヶ月で+30%です。もう自分の能力の低さを今更ながらに思い知りました。色んな人に褒められるようになって知らない内に調子に乗っていたのかもしれません。確かに私のブログにかけた労力は自分でもすごいと思いますが、投資法が優れているわけでもなんでもないんですよね。自分の投資法をもう一度根本から見直す必要があります。少なくとも今の手法では来年も良い成績は残せそうにありません。今年の結果を見る限り半機械的分散投資が最もパフォーマンス高いです。ある程度調べて集中投資しても無駄な労力を掛けているだけです。小さい労力で最大の効果という方針に反する行為になっています。不幸中の幸いはある雑誌へのブログ掲載をお断りさせていただいたことですね。恥の上塗りをするところでした。間一髪セーフです。はあ・・・眠いのでもう寝よ。
2005年12月16日
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北海道のドラッグストアとしては売上4位のアインファーマシーズが新たな業態として取り組んでいる「アインズ&トルペ」について紹介します。02年11月に新たなドラッグストア業態として札幌にオープンした「アインズ&トルペ」はそれまでの「アインズ」が北海道では圧倒的な独占企業であるツルハとの競合に苦戦する中、なんとか従来のドラッグストアとは競合しない、差別化・あるいは区別化された店舗にしようと、試行錯誤を繰り返しながら完成させた業態です。コンセプトは「ビューティに関するすべての商品を1ヶ所で買える店」洗練された空間と徹底した化粧品関連商品の品揃えが特徴ですが、外からは一見何を売っている店なのかがわかりにくいです。参考までに店舗のリンクを載せておきます。アインズ&トルペ HPアインズトルペ原宿クエスト店以前見学に行った事があるのですが、女の子でいっぱいでした。ただ、正直私には店舗の良さはわかりませんでした・・・だって、化粧品なんて興味ないもんね。あったらコワイし。アインズ&トルペ ララスクエア宇都宮店川口キャスティ店このアインズ&トルペを語る上で欠かせないのが「コスメ女王」庄司麻美さん です。2000年の「TVチャンピオン」化粧品女王選手権で優勝し2代目のチャンピオンとなり、その後アインファーマシーズが新業態の開発においてプロデューサーとして起用しています。店舗開発にあたっては全面的に意見を取り入れているようです。コスメ界のオピニオンリーダーといったところでしょうか。私は全く知りませんが。庄司さんが「TVチャンピオン」で優勝した時の様子です。「渋谷の洋服店からは、ハンカチについた化粧の跡をヒントに、本人を店内から連れてくるという難問に挑戦。選手は使用された化粧品のブランド名まで、正確に答えてみせる。」だそうです。ここに出場した人たちはマニアを超えたまさに超人でしょう。庄司麻美さんのブログです。お忙しいのか、4/15で更新が途絶えています・・・頑張れ!庄司さん。宇都宮店などが紹介されていますね。ミナミトピックス心斎橋店オープン時の記事です。庄司さんのプロフィールが紹介されています。子供の頃から化粧品が大好きだったようで、メークアップの専門学校で学んだ後、化粧品専門店に勤めたそうです。そこでは自分で実際に化粧品を試すために毎月12、3万円も使ったとか・・・。徹底振りがすごいです!これも心斎橋店オープンに絡んだブログ記事です。リン・リン「庄司さんが雑誌等でオススメする商品は、すぐ完売してしまうというカリスマぶり。」とのことなのですが、本当ですかね?原宿店オープン時の庄司さんのインタビュー記事です。HCIデイリー・リポート(フリーページに転載しました)競合店は存在しない事、あくまでもターゲットである20代女性の視点に立った店作りにこだわっていることが良くわかります。アインズ&トルペの1号店である札幌店は2002年11月にオープンして以来、既存店売上は毎年大幅に上昇しており、会社説明会ビデオでデータが出ていますが、売上高は04年は12.7億円に対し、05年は14.2億円となり、既存店売上は+12%と大幅に増収となっています。1店舗で14億円の売上自体もドラッグストアとしては全国でも1、2を争う売上規模です。日販も開店当初の2.5百万円から前期末では4.5百万円近くになっているようです。まさに最近で言えばコスモス薬品並みの伸びです。この既存店売上の推移はまさに競合がないオンリーワンの業態に共通する傾向であると考えています。つまりオープン当初は従来にない業態のために認知度が低く、客が少ないので売上は低く推移しますが、時間がたつにつれ認知度が上がり、また店舗コンセプト自体も客の視点でつくられているなど魅力が高くリピート性があり、徐々に固定客が増えていき、それにつれて既存店売上も毎年増加していくという傾向であると考えられます。私が知っている範囲ではヴィレッジ・ヴァンガード、ドン・キホーテ、さらにはコスモス薬品、ゲンキーなどの独自業態の企業は全て同じような既存店売上の推移をたどっています。次はアインファーマシーズ単体の物販事業のP/Lです。04年も05年も営業赤字ですが、特に05年は赤字幅が広がっています。これは前期新規出店した名古屋の3店舗、及び大阪心斎橋店の売上が当初の予想を大きく下回ったことによるものです。 04年 05年 売上高 9598 9767 +169売上総利益 2365 2479 +114販管費 2387 2605 +218営業利益 -21 -126 -105期末店舗数 27 31 +4期末延床面積 9196 11407 +2211(平方m)客単価(円) 1415 1442 +27客数(千人) 6783 6802 +19私が特に注目するのが売場面積当りの売上高です。04年は1.04百万円/平方mだったのが、05年は0.86百万円/平方mと17%ダウンです。つまり新規出店店舗の売上が少ない事が足を引っ張った形ですが、これは札幌店と同じ傾向であり、逆に今期以降の既存店の大幅な増収及び増益の余地が残されていると言えます。仮に05年の売り場面積当りの売上が04年と同等にまで増加すれば、売上高は118.6億円、+22.7億円の増収、営業利益は粗利率が25%なので販管費が変わらないと仮定すれば営業利益は+5.7億円の4.4億円となる計算です。営業利益率3.6%となり、平均的なドラッグストアと同等レベルとなります。ただ、「アインズ&トルペ」に限れば、札幌店、原宿店の店舗営業利益率は10%を超えているとのこと(IRに確認)ですのでアインズ&トルペの出店数が増加する毎に物販事業の利益率も向上していくと思われます。最近では初のインショップ出店となった宇都宮店も当初計画の月商45百万円を上回る59百万円で推移しているようで、今までの路面店と違い、インショップ展開はそのファッションビル自体の魅力が高く、客数が確保できていれば、オープン当初から売上がある程度見込めるのかもしれません。現在「アインズ&トルペ」は北海道に4店舗、関東に3店舗、名古屋に3店舗、大阪に1店舗と合計11店舗出店しています。しかしながらアインファーマシーズとしては今のところ「アインズ&トルペ」は大量出店する予定はないようです。一時期だけのはやりになるのを避け、地道にノウハウを重ねながら、基準に合う土地にだけ慎重に出店をしていく方針です。恐らく出店資金も調剤薬局に向けられるので、限られていることもあるのでしょう。ただ私はこのアインズ&トルペは今後、ファッションビルや現在急成長している郊外の大型ショッピングモールのテナントとして将来的には大量出店できるポテンシャルがあるのではないかと思っています。(あくまでも想像です)懸念すべき点はやはり人材だと思います。庄司さんも部下を育てるのが難しいと言っています。陳列などセンスによる部分も大きいとの事なので、教えるのに苦労しているようですね。この事も年に3、4店舗しか出店しない要因の一つではないかと思います。既存店はまだまだ伸び続けており、現在は赤字である同社の物販事業の利益率は損益分岐点を越えれば急激に変化していきます。来期以降が非常に楽しみです。この物販事業の今後の成長性・収益性を考えても同社の中期計画は非常に保守的であると思っています。
2005年12月11日
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一昨日の日経新聞の「地方の実力派」というコラムにアインファーマシーズが紹介されていましたね。同じ職場の先輩はこのブログをたまに見てくれているようで、気を利かせて新聞を真っ先に見せてくれました。今月のオール投資にも紹介されていましたし、段々と注目をされつつあるのかな、と淡い期待を抱いています。ヒルコさんも買ったみたいだし。記事自体には新たな情報はなく、HPの開示情報を見ればわかることばかりでしたが、なかなかよくまとまっており、気分良く読み進んだのですが、最後でオチが。・連結PERは18倍前後と業界水準並み・医薬分業は5割に達しており、M証券シニアアナリストは「業界全体の成長 は折込済み」として上値は重いとしている。PER18倍って、今期は減損あるんですけど。業界水準並みって、一番成長率高いのに平均並みのPERじゃ、割安でしょ?そもそも業界の成長と個別企業の成長は別でしょ?なにを見てんだよ!!!(怒)上値が重いって・・・dsanさまではないですが、「悪質な世論誘導ありがとうございます」(←お気に入りのフレーズ)って感じですかね。今年はもうあきらめておりますので、その分来年頑張ってくれれば結構です。今日アクセスがついに20万を越えてしまいました。始めた頃には考えられませんでした。10月16日の日記で10万アクセス越えたと書いてますので、それから2ヶ月弱です。最近はすっかりマニアック記事ばかりで(okenzumoさんにはヤクチュウとか言われるし)、恐らくかなりの変人だと思われていると思います。確かにその通りです(笑)。にもかかわらず毎日ご訪問くださっている方々には本当に心から感謝申し上げます。そう言えば、明日はボーナス支給日です。多分okenzumoさんと同じくらいです。(泣)よそが業績回復でボーナスアップの中、低迷中です・・・あっ、でも姉歯さんのおかげでフージャースは買い増しできそう・・・
2005年12月08日
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ゲンキーの今期の売上高の予測を計算してみました。非常に難しかったです(笑 上の表は前期2005年度の推移、下の表が今期2006年度の推移で、11月以降が予測となっています。 既存店は14ヶ月を超えてからカウントされるために、頭を整理しやすいように3つのカテゴリーに色分けしました。 ・15ヶ月超の店舗 (オレンジ色)・13ヶ月目、14ヶ月目の店舗 (紫色)・出店12ヶ月以下の店舗 (ベージュ)表の下の囲みをみていただければわかりますが、いくつかの前提条件があります。 ・新規出店時期はIRに確認しました。 ・メガドラッグストアの既存店増収率は前年比105.5%とのことです。(IRに確認済み) ・既存店売上は15ヶ月目からをカウントするため、前年の売上に増収率を掛けてから、13ヶ月、14ヶ月目の店舗の売上を除く必要があります。 そこでこれを1店あたり91百万円と仮定しています。 ・新規店舗の売上高は83百万円と仮定しています。 ・既存の小規模ドラッグストアを厳しく試算しています。残りの月は前年比90%と仮定しています。店舗数は前期期首が21店舗、期末が17店舗なので、 昨年の年間平均を19店舗とし、これを現在の15店舗に換算して今期のDSの売上を試算しています。 ・新規出店数は会社計画は9店ですが、1店舗は未定とのことなので、1店は保守的に計算に入れていません。 ・新規出店の店舗数は実際の営業稼動日相当分だけ計算にいれています。例えばつき半ばの出店であれば0.5店ということです。 この条件で試算すると通期の売上高は会社予想270億円に対して265.8億円となります。達成率98.4%です。 既存DSと新規出店数をある程度保守的に計算しています。 あくまでも机上の計算に過ぎませんので、今後毎月補正をかけていこうと思います。 本当は利益の予想をしたいのですが、メガドラッグストアと既存の小規模ドラッグストアの利益率がよく分からないので、思案中です。 IRに聞けば教えてくれるのかな? 基本的には既存店増収率が会社計画の105.5%を下回らなければ少なくとも利益率は維持できるはずです。 この表を検証しようというヒマな人はいないでしょう・・・ 確か明日か明後日がゲンキーの11月度の月次開示日だったと思います。メガドラッグの既存店が会社計画通りなら11月は前年比+30%となる計算ですが、さてどうなるんでしょ。大きく外れたら笑ってください。
2005年11月27日
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今日は今月初めての買売。薬王堂・クラフト・アスティを新規購入。保有銘柄は18社に。ちょっと多すぎだなー、と思いますが。しかもこの相場で買うか?調剤薬局3社、ドラッグストアは5社・・・これでいいんかいな?私のポートフォリオはすっかり薬漬け。ドラッグファンドと化しています(笑)。よく言えば個性的なポートフォリオ、悪く言えばセクター集中買いでリスクが高いのかもしれません。まあいいんですよ、楽しいんですから。薬王堂は9月の上場以来買おうかどうか迷っていました。同じPERならゲンキーの方が好みなんですよね。まあゲンキーの方が詳細に調べているという先入観もあったのですが。決め手になったのは私が勝手に師と仰ぐ(笑)【はっしゃん】先生の分析を見たこと(ありがとうございます!!)、それと今月の『販売革新』の西郷社長のインタビューを読んで確信が強くなったからですね。インタビューを読む限りは非常に効率性を重視した緻密な店舗マネジメントを推進しているようです。薬王堂は岩手県が本社です。そう言えば先週カンガエルさんがご出張されていましたね。薬王堂は見かけたんでしょうか?多分郊外型なので無理だったとは思いますが。いつも紹介している『ドラッグマガジン』に掲載されていますが、東北での年商100億円以上のドラッグストアチェーンは6社あり、薬王堂は4位です。順位は以下の通りです。■東北地区ドラッグストアチェーンシェア 年商 シェア 1位 ツルハ 511 20% 北海道2位 カワチ薬品 434 17% 栃木3位 横浜ファーマシー 389 15% 青森4位 薬王堂 223 9% 岩手5位 ダルマ薬局 148 6% 宮城6位 くすりのマルト 124 5% 福島7位 ヤマザワ薬品 91 4% 山形8位 丸大サクラヰ薬局 90 4% ?9位 マツモトキヨシ 55 2% 千葉10位 寺島薬局 29 1% 茨城東北地盤のドラッグストアとしては横浜ファーマシーがトップとなっており、薬王堂は2位ですね。店舗規模ですが、300坪を中心に450坪の店舗も今後は注力していくようです。この店舗規模は「スーパードラッグストア」と呼ばれる業態に入ります。(カワチ薬品HPを参照)ちなみにヤマザワ薬品は山形のスーパー「ヤマザワ」の子会社です。スーパーのヤマザワはもともと薬局から始まったそうなんですね。それでは【はっしゃん】さんと同様に東北に展開している上場企業4社を比較してみます。薬王堂は売上高は最も小さいですが、増収率、増益率ともに飛びぬけています。経常利益率は最も低いですね。ただ直近の中間決算では5.1%と高い水準となっています。原価率ですが、カワチ薬品はメガドラッグストアで業態が異なります。他の3社との比較では若干安売り系です。これは商品構成のうち食品の割合が多いことによります。ドラッグストアにとっての食品部門は通常安売りする集客商材となっています。その分粗利率の高い医薬品で稼いでいます。在庫ですが、カワチ薬品を除いた3社ではほぼ同じ水準ですね。薬王堂が一応一番好調のようです。直近の9月は107%となっています。■商品構成各社完全にタイプが違いますね。直接競合にはならないのかもしれません。薬王堂は食品の比率が高いとともに、医薬品もしっかり売っている所が特徴です。食品比率が高いドラッグストアは他に、カワチ薬品、コスモス薬品、ゲンキーがあります。他はどこもメガドラッグストア業態で、医薬品の比率が20%を切っています。今日11/15終値と前回の10/28の終値でのPERを比較しています。今月はドラッグストアはどこも株価が好調ですが、この4社とも値上がりをしています。特に最も優等生タイプのツルハが18.5%もの上昇!前回の比較では「適正水準でしょうか」とか書いていましたが、とんでもありませんでしたね。マツキヨはもともとPERが高かったのか、ほとんど株価が動いていません。カワチ薬品はどっかのアナリストが「買い」にしたか何かで急騰しているようです。そして薬王堂ですが、マツキヨ同様、値上がり率が低いです。また明らかに成長率と比較して割安水準ですね。ツルハがPER21倍まで評価されているのですから薬王堂もそれ以上に評価されても全然おかしくないですね。この比較では出遅れているのかもしれません。時価総額もたった100億円ですので、まだまだこれからです。それと中間決算の経常利益率が計画の4.5%に対して5.1%であること、月次が好調であることから、通期で利益が計画を上回る可能性が大きいと思います。しかし、今日久々にPFの株価を見ましたが、アインファーマシーズ、これって何ですか(笑)?私が4月に購入したときの株価にほぼ近くなってるじゃないですか!この半年何やってたんだろう???さすがに鬱になりますね(笑)。まあ去年も全く同じ展開で9月の高値2350円から11月には1700円まで27%も下落しています。ということは今年は9月に2855円を付けていますので、2100円付近までは覚悟しておいた方が良いかも知れませんね。アインのおかげで私の今年のパフォーマンスは散々です・・・
2005年11月15日
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先週はムトー精工の決算発表でした。多分保有されている方は少数になってしまったと思います。かつてはブログを賑わせたのですが、すっかり見向きもされなくなってしまいましたね。私も今は保有していませんが、かつての主力銘柄でしたので、少し確認してみます。 5月予想 7月予想 9月実績売上高 9400 9100 9460 +360経常利益 850 550 649 +99当期利益 500 340 329 -11連結で経常利益を上方修正していますが、これは第一四半期決算時の下方修正がやや保守的だったためだと思います。上方修正理由として海外子会社が順調だということのようですが、単体と連結を分けてみると、実態が見えてきます。 連結 単体 子会社売上高 9400 8700経常利益 850 480 370 連結 単体 子会社売上高 9100 8700経常利益 550 300 250 連結 単体 子会社売上高 9461 8749営業利益 586 206 379経常利益 649 471 232子会社の経常利益は5月予想では370、実績では232ですが、配当支払い164を除けば実質的には396で、当初の予想を少し上回っています。問題は単体です。決算前に出た業績修正では単体の経常利益も上方修正されていますが、これは子会社からの配当収入によるものです。上記の9月実績・単体にあるとおり、営業利益は7月下方修正の経常利益(ここではとりあえず営業利益と経常利益をほぼイコールと考えます)300に対して206と大幅に下回っています。単体の売上高自体は計画通りですので、この営業利益の減益要因として考えられるのは国内での生産を海外にシフトしたか、ソニーに対して大幅に値引きしているか、でしょうか。(注:誤解を与える記事がありましたので削除いたしました。申し訳ありません 2005.11.14)ちなみに通期予想は据え置いてますので、下期分は実質的に下方修正ですが、まあ今のところは保守的に見ているのでしょう。ソニーのデジタルカメラですが、クリスマス商戦に向けての主力モデルのT9が今週発売となります。ムトー精工の下期はこの売行き次第ですね。フォローしていきたいです。
2005年11月13日
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高成長を続けている小売企業の一つにドン・キホーテがあります。私が最も気に入っている小売店の一つです。私の家の近くのドンキは1号店なのですが、今開店以来初の改装中で、少し寂しい思いをしています。ドンキの売上高、営業利益はともにここ10年で20倍になっています。まさに急成長を続けてきています。さすがに最近は規模が大きくなり今期の売上成長率は10%台に落ちてきていますが。この事実だけでもオンリーワン企業であることの証明になるのではないでしょうか。何故ここまでの急成長が可能だったのか?どのような要因があるのか?最近出版された創業者の著書「ドン・キホーテ 闘魂経営」にその答えがありました。本屋の目立つところに置いてあるので、読まれた方も多いと思います。ドンキの強みとしてよく言われるのが「圧縮陳列」と「深夜営業」です。しかし、これは結果論に過ぎなかったことがわかりました。■経営哲学・手法常識を疑う従来の手法の否定小売・流通業の経験はなく全くの素人から始めた。仕入れ方法から陳列方法まで全て自分で考えた。知識ゼロ、経験ゼロ。小売業にとっての最良の教師は客であり、現場は最高の教室である。■マーケティング従来のマーケティングは無視、全て自分で「どうすれば売れるか」を考えた。客の反応を見逃さず、その本質を考え抜く。従来のチェーンストア理論は完全無視。商圏何キロとか考えない。「在庫回転率」「坪効率」「労働生産性」などチェーンストア理論は店側の都合で生まれたものであり、今の時代では効率優先では同質化を招き店の魅力がなくなる。コンビには便利の追求、ドンキは楽しさの追及。いかに客に楽しんでもらえるか。時間消費型小売という今までに無い概念を作り上げた。カラオケやバーと同じでそこで過ごす事自体が楽しいという店である。流通心理学が重要。日本の小売業にはそのような概念がない。■圧縮陳列圧縮陳列は倉庫を持てなかったので苦肉の策で始めた。しかしただ箱を積み上げるだけでは何を売っているのかわからないので手書きのPOPを全ての棚に貼った。これが圧縮陳列とPOP洪水の始まりである。これを逆に客が面白がっている事に気づき、意図的に行うようになった。■深夜営業深夜営業は閉店後に明かりを付けて片付けをしている時に客が入ってきて深夜の買い物需要に気づいた。それまでは深夜に営業しても客はこないという固定観念が業界の中にはあった。偶然と客の勘違いにより「ナイトマーケット」という巨大市場を掘り当てた。■権限委譲府中店が89年に開店。1年目は5億の売上で惨敗。従業員に圧縮陳列を教えても理解してもらえなかった。やけくそで全て任せたらやる気を出し陳列、POPを工夫しだし、4年目に当初の目標近くの14億円まで売上が伸びた。98年の最盛期には40億円の売上となった。これが経営の要、「権限委譲」の始まりとなった。完全な権限委譲。仕入れ担当者に全てを任せ、店長も口出しできない。全て自己責任なので自分で考える能力が付く。この権限委譲こそが未だに2番手が出てこない、ドンキの一番高い参入障壁と考えている。あくまでも個人商店の集まりの結果としての企業というスタンスだからこそ、これができる。通常の小売業は仕入れはベテラン社員の業務であるが、ドンキでは若い感性を持った現場の売場担当者である。圧縮陳列など店舗運営についてのマニュアルは無い。全て担当者の工夫により売り場が作り上げられている。なのでマネしようが無くいまだに競合がいない、オンリーワン企業である。前回紹介したヴィレッジ・ヴァンガードと非常に共通点が多くありますね。流通業の素人であること、従来の常識の否定、従来のマーケティングの否定、効率の否定独自性の追求、現場への権限委譲、楽しい空間の提供など。これらの結果としてオンリーワン企業になっています。そして競合がないのでいくらでも出店可能=急成長が可能ということです。このような共通点をもった企業を常に探していきたいです。なかなか表れないでしょうけどね。私の持ち株の中で一番長く保有しているのがこのドン・キホーテになってしまいました。最近株価が急騰しており、一時、買値の2倍近くになりましたが、まだPER22、3倍です。全国に出店余地はまだ残されておりまだしばらくは保有できそうですね。
2005年11月12日
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同業比較シリーズをやっていて、初めて知った会社が沢山あるのですが、その中でも小売業としては超高成長を続けている「ヴィレッジヴァンガード」にとても興味を持ちました。その主な特徴は次の点です1.年率25%の高成長2.10%前後の高い営業利益率3.H.13年5月以来4年以上連続既存店100%超え 何故このような超一流の実績を長い間続けられるのか、その秘密を探ろうとしましたが、決算書を読んだだけでは全くわからなかったため、実際に店舗に見学に行ってみました。その後、さらに創業者菊池敬一氏の著書「ヴィレッジヴァンガードで休日を」を買って読んでみました。そしてようやくその強さの秘密がわかってきました。何も知らないで店に入ったら、雑貨屋がついでに本を売っていると思うでしょう。客は20才前後が多かったです。これはルミネという立地も関係していると思います。・本の品揃え 映画・絵画・音楽・料理・マイナーコミック・・・だけ。こんな本屋 は見たことありません。よく商売できてるな、と。・ジョークのきいた雑貨、おもちゃ・レトロな駄菓子、ジュース以下は店舗見学と著書からわかる会社の特徴点です。うまく纏められなかったので、適当に書き散らしています。■経営方針・全てにおいてとにかくオリジナリティーを追求・アコースティック、サブカルチャー、ノスタルジーが店の基本コンセプト・特殊なセンスを持った創業者と店のコンセプトに共感している、これも特殊なセンスを持った従業員とバイト・効率を重視した企業ではない・そもそもPOSを導入していない・店舗ごとに違うコンセプト■経営理念・よい本屋より楽しい本屋を・金太郎飴のアンチテーゼ・新刊、ベストセラーの呪縛からの開放・沢山売ろうとするのはもうやめよう・オーナー、店長のパーソナリティ、バックボーンを店に反映させよう・人事生産性、粗利率、交差比率を高めよう・少数精鋭・初期投資を極力抑えよう・ローコストオペレーション・B級の矜持を持とう・本屋の仕事とそれに係わる事務を愛そう■マーケティング・既存のマーケティング理論を一切無視。売場の客の反応を見て戦略を立てる・開店を任せる社員に必ず言う事がある「とりあえず売上は気にするな。客の反応を注意深く見ていろ。 客の会話をじっと聞いているのもいいだろう。(中略)売上を上げる全ての鍵がそこにある」・コンビニで本を買うようなセンスの無いヤツは相手にするな■人事評価・店長の評価基準は「売上高前年比」のみ。・そのせいで5年以上経った店舗でも既存店は伸び続けている。既存店の売り上げ増は最重要 経営課題となっている。■品揃えの特徴・新刊を扱わない、店のコンセプトに合わせた品揃え・CDも新譜を扱わない・輸入雑貨、どれも強い個性を主張している。そしてPBではないが他の店にはない商品。・売る技術を持ったベンチャー企業、 新刊、ベストセラーは売る技術がいらない■POP・POPが売上を左右すると言ってもよい、重要なプレゼンアイテム・センスがありヒネリを入れたPOP。全ての本・雑貨・CDにPOPをつけることが目標。 このPOPも個人のセンスが問われる・ヴィレッジ・ヴァンガードPOP3原則 1.ひねりを入れる 2.明るくおおらかに 3.的をつく■その他・マニュアルはない・初期のターゲットは私大大学生■高成長を続ける要因・全く新しい市場を作り上げている→競合店がない、何故なら特殊な才能とセンスを持った 創業者と従業員がいるから。特殊な才能を持った社員のセンスを生かした店舗なので他の会社が 真似しようが無い。これはドンキとも共通している。・競合店がないので、どこにでも出店できる。なのでキャッシュフローさえ間に合えばいくらでも 出店可能。・仕入れは全て現場に権限がある(これもドンキと共通)■高利益率の要因ヴィレッジ・ヴァンガードの財務数値は以前の比較「生活雑貨専門店の比較」http://plaza.rakuten.co.jp/yuya913/diary/200509050000/「書店・複合店の比較」http://plaza.rakuten.co.jp/yuya913/diary/200509160000/を参照ください。特徴の一つは経常利益率がだんだん上昇しています。 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年経常利益率 5.3% 5.6% 9.6% 8.5% 8.2% 8.9% 11.3%粗利率 38.7% 37.7% 37.2% 39.1%販売費 29.1% 28.7% 27.6% 27.4%利益率の向上は一見販管費比率の低下によるものと言えそうです。ただ、これは既存店売上の継続的な上昇とワンセットだと思います。損益分岐点を越えてからの粗利増は経常利益増に直結するので相対的に販管費比率の低下に繋がっているのではないかと考えています。売上のうち雑貨類の占める割合が上昇しています。本屋というより雑貨屋になりつつあります。H.11 41% H.15 65%H.16 67%H.17 70%本の粗利率は平均23%。会社全体で40%の粗利があるのは、売上の7割を占めるこの雑貨類によるものと思われます。販管費比率の比較 V.V トップカルチャー 雑貨屋ブルドッグ人件費 12.3% 10.4% 14.2%減価償却 1.3% 0.7% 3.2%賃借料 8.2% 5.4% 10.0%複合書店としてみるとトップカルチャーに劣りますが、雑貨屋として比較すると雑貨屋の中でも特に販管費比率の低いブルドッグよりさらに低いです。やはりローコスト経営を徹底していると考えられます。■店名の由来ちなみに「ヴィレッジヴァンガード」という店名はニューヨークののジャズクラブからとっているようです。結論としてはどこから見ても他がマネの出来ない、かつ強烈な魅力を持ったまさにオンリーワンなのだと思います。店舗数は現在170数店のようですから、まだまだ出店余地は数多く残されているのではないでしょうか。以前私のブログの比較で取り上げたときは株価が140万円前後でしたが、今はすでに180万円ですよ。PERも30倍を軽く超えてしまいました。創業は1986年、上場は2003年ですが、株価は上場以来2年半で約5倍に。私が勉強不足だったということでしょう。しかし、今買っても数年のスパンでは十分リターンはあるような気がしますね。あ~疲れた・・・最高に疲れた・・・眠いっすこのような文章は超苦手なんですよね。
2005年11月10日
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私はいつの間にか調剤薬局友の会の副会長ということになっているみたいです。ということでたまには調剤薬局ネタを書いてみます。今週は調剤薬局の1社メディカル一光を新規に購入しました。調剤薬局業界では売上高16位の中堅会社です。この会社、今期予想PERが高いので始めは全く検討外だったのですが、その後会社説明資料をよく読むと、今期は大型店舗の出店費用が先行して多く発生することにより利益率が低く抑えられていることにより見かけのEPSが低くなっていることがわかりました。1月に関西医科大学病院前の基幹店を出店予定で、その費用を予算化しているようです。先週の中間決算短信を確認してから買おうと思っていましたところ、大学病院前の出店も予定通り進捗しているようなので、1単元だけ買ってみました。予想EPSは15,153円ですが、退職給付関連の特損47百万円に加えて先行出店費用59百万とのことなので、仮にこの先行費用をを除けば実質的なEPSは2.1万円~2.3万円、現在の株価395,0000円では実質予想PER17~19倍となります。 会社予想 仮予想売上高 10,620 10,620経常利益 324 383 +59 当期利益 136 192 (=383×50%) EPS 1.5万円 2.1万円 (=383×50%) 2.3万円 (=383×55%)加えて来期の計画も説明資料に記載されていますが、来期は大型店舗(枚方店)の出店により利益率の改善を見込み、営業利益率は今期の3.1%から来期は5%を計画しています。普通はこのような会社の目標はあまり信じないのですが、来期はこの関西医大前の大型店が本格的に稼動します。メディカル一光の調剤薬局(大中型病院)1店舗あたりの平均売上高は約2億円なのですが、この大学病院前の店舗は10億円、つまりまとめて5店舗分に相当しますが、これがかなり利益率の改善に貢献すると考えています。来期の経常利は650百万円と倍増を計画していてEPS3.6万円ほど、予想PER11倍になります。私はこの計画の実現性は比較的可能性が高いのではないかと判断しました。PBRでは1倍台で、調剤薬局7社中最も割安、時価総額もたった34億円で一番小さいです。収益性は以前の比較をみればわかりますが最も利益率が低いです。ということはそれだけ規模の拡大に伴い改善の余地もあります。財務面では中間決算で自己資本比率29.9%と、毎期改善傾向であり、調剤各社の中でも良い方です。気に入らないのは店舗数61店舗中採算の悪い開業医前の店舗が25店舗もあるところですが、今後は大病院前に絞って出店をしていく戦略のようです。これで調剤薬局を手がけて3社目となってしまいました。阪神が下がってきたので買い戻してもいいのですが、未だにPERは20倍超、1単元が100万円以上で買いづらいです。メディカル一光は来期予想PERが最も安くなると思われる会社なので、試しに1単元買ってみました。本当は複数買いたかったのですが、買った翌日急に値上がりしたので、しばらく様子を見てみようと思います。
2005年10月29日
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4畳半2間さんのブログで私の保有銘柄であるキリン堂の上方修正が「ビックリ」で「Yasuaki氏すげえ」とのコメントをいただきました。ご本人は全然修行が足りなくてこのような銘柄が見抜けないと仰っていますが、 今回の上方修正はビックリなこともなければ、このような銘柄を見つけることに何も 修行もいらないということを参考までに解説させていただきます。恐らく小売を中心 に投資されている方にとっては当たり前の内容だと思います。 要は月次情報をみれば簡単にわかるということです。■前期実績と今期予想の比較 売上高 経常利益 前期中間期実績 27,193 350 今期中間期予想 32,672 605 →売上高は前期比+20.1%の計画です ■キリン堂月次 8月までの累計で売上高は前年比+23.4%です。 つまり月次累計売上高が会社予想より3.3%上回っている事がわかります。 ■今期開示内容 売上高 経常利益上方修正(9/26)後中間予想 33,570 783 (+2.7%) (+29.4%) (第1四半期決算 16,125 255) 参考 ■売上増加に伴う利益額の増加の推測売上が増加したらいくら利益が増加するかは売上増加分から売上に伴って 増加する費用(=原価+変動費)を除けば大体計算できます。 その割合は前期決算から計算してみます。<前期決算> 売上高 58,165 原価 44,425 ※ 固定費 9,294 変動費 3,701 ※ 営業利益 745 売上増加に伴う利益率・・・1-(原価+変動費/売上高)=17.3% 月次では会社計画より8月累計で3%上回っていますので、「今期予想売上高×3%×17.3%」 が上方修正が期待できる利益額であると予想できます。 今期予想売上高(32,672)×3%×17.3%=169 今回の中間期経常利益の上方修正額は783-605=178 なのでそこそこ近い値です。 計算通りであり、何のサプライズも無いですね。会社予想の増収率と月次累計の前年比増減を比べるだけなので、何の修行も勉強も 努力も要らないことが分かると思います。10分もあれば判断できます。 私のようなイマイチな投資家はこのような単純・簡単・低リスクな投資がまずはいいのではないかな、と思っています。 ちなみに私の6/3の日記で上方修正もあると判断しています。キリン堂>四畳半2間さんへ この内容で理解できましたでしょうか?
2005年09月28日
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今日、AKIさんからアインファーマシーズの買収基準に関してご質問がありました。AKIさんありがとうございます。長くなったのでここで回答させていただきます。■AKIさんからの質問記事を読んでいて【同社は買収にあたり「門前薬局」を展開し1店あたり月商1700万円以上、営業利益率10%以上、投資回収期間3年という非常に厳しい基準を設定しています。】が気になってのですが、これは1億円で買収したら3年で1億円を回収するということですよね。アインのROA、ROE、総資産経常利益率を見る限り、そのような高収益をあげているとは思えないのですが、間違いないのでしょうか?3年で回収できるような金額で売却する人がいるとは思えないもので。 ■回答この基準は同社の決算説明ビデオで説明されていますので間違いないです(会社がうそついてたら知りません)。この場合の投資額ですが、1店舗あたりの純粋な資産価値(土地、建物)のことを指していると思われます。ビジネス自体の価値ではなく、あくまでもその店舗を新規に購入した場合、いくらなのか、ということを基準にしているという事です。この「回収期間3年」は買収に限った話ではなく、新規出店の基準でもあります。当然、こんな収益性の高い事業を土地、建物の価値だけで売却する経営者がいるわけはなく、昨年のリジョイス、リジョイス薬局の買収に際してはかなりのプレミアムを支払っています。前期のB/Sを見ると分かりますが、総資産389億円に対して連結調整勘定45億円が計上されていますが、これがそのプレミアムにあたります。そしてこのプレミアムはあまりにも過大で、翌期以降の利益を圧迫することもあり、同社は前期、連結調整勘定の償却期間を従来の5年から20年へ変更しています。またアインファーマシーズはROE、ROAが同業他社に比べて低いです。しかしこれはドラッグストア事業の収益性が低い事によるもので、子会社で純粋な調剤薬局事業のアインメディカルはROE22%、ROA7%で、ROEは2位ROAは1位と調剤薬局各社の中でも抜き出た効率性です。これはやはり厳しい出店基準が数字に現れているのだと思います。
2005年09月23日
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アインファーマシーズの四半期決算についてnemo2010さんが非常に詳細な考察をされております。同じ株主として心強い限りです。 nemoさんが分析されている営業利益の増益+349百万円の内訳を 私なりに考察してみようと思います。今日は超超マニアックな日記です(笑)。 すみません。増益の主要因は昨年のM&Aです。昨年のM&Aの動きはnemoさんのブログ「アインファーマシーズ」を参照ください。 そのM&Aの影響で一番大きいのはアインメディカルの子会社化です。 昨年中間決算までは持分法適用会社、中間以降は子会社の扱いとなっています。 持分法というのは株式の持分に応じて純利益を連結決算に取り込む手続きです(簡単に言うと)。 その持分利益は営業外収益に計上されます。なので子会社化した以後はその子会社の営業利益の全額が連結営業利益に効いてきます。 つまりアインメディカル分は持分法適用会社だった前期中間決算までが今期の営業利益の増益に寄与することとなります。またリジョイス、リジョイス薬局の昨年の営業利益は1/17のプレスリリースに記載されています。 昨年度のリジョイスの営業利益 122 昨年度のリジョイス薬局の営業利益 210 これらより、今年度アインファーマシーズ連結1Q決算へのM&Aの影響額を推定してみます。 ・アインメディカルの1Qの営業利益 131 ・リジョイスの営業利益(昨年の1/4と仮定) 122/4=31 ・リジョイス薬局の営業利益(昨年の1/4と仮定) 210/4=53 合計 215 つまり3社の連結決算への取り込みの影響額は215百万円ということになります。営業利益の増収分+349と上記+215の差額は+134となりますが、これはいったい何でしょうか?その内訳は以下の様に考えられると思います。 (1)新規出店による純増 調剤:193店→196店(+6%) DS:44店→46店(+5%) 単純に全体で+6%と考えてこの増収分の利益を大雑把に計算します。1店舗あたりの 利益率を平均4%と仮定します。 18770×6%×4%=45 (2)般管理費比率の低下(-0.5%)による増益 18770×0.5%=94 (3)既存店の好調による増益 5、6月の既存店売上高前年比の平均は+4.6%、営業利益率を4%と仮定 前年の売上高 12592×4.6%×4%=23 (1)+(2)+(3)=162 まあだいたいこんな感じでしょうか?あくまでも机上の大雑把な計算に過ぎません。 これ以外にも仕入値の低減とか様々な要因は考えられます。 okenzumoさんに言わせれば妄想の範囲内かもしれません(笑)もうひとつの見方として昨年の1Qが悪すぎたとも言えます。 昨年と今年の1Qと2Qの営業利益は以下の通りで、昨年の1Qの利益額が2Qより悪いことが 分かります。 1Q 2Q 昨年 377 641 今年 721 (829) 要因は良く分かりませんが、新規出店が少なかった事などでしょうか。 あと一般管理費比率が高いこともありますね。・・・これでまたまた3日連続でアインの日記になってしまいました(笑)。 次回は生活雑貨専門店の比較(の予定)です。
2005年09月15日
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今日はアインファーマシーズの第一四半期決算発表でした。まあ、何も問題なしではないでしょうか。私の予想より若干上回ってました。■中間決算予想対する1Q決算の進捗率 17年4月期1Q 18年4月期1Q 売上高 49.7% 51.8%経常利益 38.9% 46.8%中間に対する進捗では昨年を大きく上回っています。■各比率の比較 17年4月期1Q 18年4月期1Q 売上利益率 13.0% 13.3% +0.3%一般管比率 10.0% 9.5% -0.5%営業利益率 3.0% 3.9% +0.9%それぞれ昨年を上回っていていい感じです(笑)。昨年買収した会社の店舗運営の共通化・合理化を進めているとのこと。数字に表れていますから、まさに規模のメリットを生かしていると言えます。一つ誤算があったと言えば、減損の金額が当初IRに聞いていた金額より少なかったということですね。5億だと言ってましたが、実際は3億円でしたね。まあ業績には何も関係ありません。とりあえずひと安心。さすがに大きく投資してるものですから。・・・しかしアインばっかしやなァ(笑)さすがにどうやろか。
2005年09月14日
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昨日の日記にも書きましたが昨日アインメディカル西新宿店に実地見学に行ってきました。店内の壁に薬剤師の氏名が貼ってあるのですが、人数を数えたら45人でした。ここからこの薬局の年間売り上げを推定してみます。アインファーマシーズ(アインメディカルは開示されていない)の一人当たりの処方箋処理枚数が平均25.7枚/日なので1日合計で25.7×45人=1157枚となります。処方箋平均単価が9023円なので10.4百万円/日の売上高。年間実働250日として約26億円の年間売上高という計算になりますね。アインメディカルは昨年93億円の売上高でしたので28%を占めてしまう事になります。まあこれはあくまでも机上の計算にすぎないのですが、大きくははずれてないと思います。アインメディカルにとって、そしてアインファーマシーズグループにとってもドル箱薬局の一つと考えても良さそうですね。同じビルへの本社の移転もカンガエルさんの推理が当たっていそうですね。26億円(推定)はやっぱり多いですよね。アインファーマシーズの1店舗辺りの平均売上高は3億円弱ですからね。カンガエルさんのコメントにもありましたが、このような立地を押さえるためにはよほど早い段階での病院新設の情報を得る必要がありますね。実際何社かで競合となるのでしょうが、最終的に何が決め手となって選ばれるのか、この辺りは内部の者にしか分からない情報ですね。さすがに。今日はそれと今日はヴィレッジヴァンガードにも行って見ました。seyzさんも言っておられましたが、ある意味ドンキと同じですね。全く独自の業態をつくり上げています。競合する事のない、消費者独占企業と言えるかもしれません。また後日まとめて見ようと思います。
2005年09月13日
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昨日結構反響があったので調子に乗って今日も調剤薬局について書きます。ホントに今日で最後なので許してください(笑)。今回はアインファーマシーズの経営戦略について紹介したいと思います。幼稚な文章で申し訳ないです・・・。キーワードは「脱競争」です。■調剤事業アインファーマシーズは以下のような積極的なM&Aにより成長が加速しています。2002年 今川薬局と合併(調剤44店、DS12店)2004年 ナイスドラッグを買収、子会社化(調剤10店、DS12店)2005年 リジョイス買収(調剤16店) リジョイス薬局買収(調剤14店)同社は買収にあたり「門前薬局」を展開し1店あたり月商1700万円以上、営業利益率10%以上、投資回収期間3年という非常に厳しい基準を設定しています。つまり規模の拡大ありきではなく、徹底した採算重視です。昨日までの日記でわかる通り、調剤薬局市場は小売でも数少ない成長市場ですが、門前薬局には他の小売業にはない特殊性があります。それは有力病院前の一等地を押さえた企業がその病院の処方箋を独占でき、逆に他の企業は全く追随しようがないということです。つまり、有力病院の門前薬局を多く持つ企業は無用な競合がなく、経営基盤がより強くなるということです。また大手有力病院の信頼を得て一等地を確保できる提案力を増しているのが、調剤過誤防止システムへの設備投資です。PDAにより処方箋と棚の薬とが違う場合警告がなる仕組みです。これにより安全性が格段に高まるほか、薬剤師の調剤ミスによるストレスが大幅に軽減されているという利点もあります。今のところ競合他社でこのようなシステムを開発している会社はないようです。また、同社は将来の薬価引き下げに対応するために徹底した経費削減策を実行しています。その施策の一環として新卒の採用による平均年齢の引き下げにより人件費の圧縮を実行しています。これは下記のように着実に数字に表れています。それにしてもこんな大胆な・・・。 02年 06年 08年(計画)平均年齢 31.9歳 29.6歳 27.7歳新卒採用数 44人 100人 150人年収 100 94.6 90.3 (02年を100とした場合)さらに私が同社の経費削減に対する執念を感じたのが送られてきた事業報告書です。あまりの手抜きに感動しました。内容は召集通知の簡略版で召集通知に記載されていること以外は一切載せていない上、全頁白黒印刷、社長の写真も載っていないのです。今まで見た事業報告書でシンプルだったのがムトー精工でしたが、2色刷りで一応社長の写真も載せていたのですが。余計な経費は一切使わないという徹底振りが表れていると思います。私の会社の総務に見せてやりたいですね(笑)。■物販事業もうひとつの重要な戦略が新業態のドラッグストア「アインズ&トルペ」です。現在売上高の2割を占める事業となっています。将来の収益の第2の柱としてじっくりと育てています。この「アインズ&トルペ」が東京で出店したのが原宿です。通常雑然とした陳列のためこのようなファッション街へのドラッグストアの出店は断られるケースが多いのです。しかし「アインズ&トルペ」は若い女性にターゲットを絞りヘルス&ビューティーに特化した幅広い品揃えをし、ファッション性の高い店舗デザインを採用しています。つまり既存のDSとは全く競合しない業態です。これはDSとしては後発である同社がツルハなど競合が多い北海道で試行錯誤を繰り返しながら完成させた業態です。この業態であれば他のDSと全く競合することのない立地に出店できます。ここでも「いかに競争を避けるか」という戦略が表れています。1号店の札幌店では開店以来10%以上の前年比を続けているようであり、ドラッグストア事業全体の既存店前期比は122%と大きく伸びています。ただこの業態は認知に時間がかかり、昨年新規出店した名古屋3店、大阪心斎橋店では当初計画した売上から大きく乖離しています。しかし札幌店の例もあり、同社では今後の伸びを確信しているようです。このような収益性の高い新業態のDSへ集中するために毎年旧業態のDSを切り離しています。■過去の失敗これらから調剤事業とドラグストアに共通する戦略が「他社との差別化ではなく全く競争しない区別化を目指している」(社長)ということです。この慎重すぎる経営戦略は過去の失敗を教訓としています。同社の前身は1969年設立の第一臨床検査センターです。その後、薬剤師の資格を持つ社長は医薬分業の流れを読み、ドラッグストア事業と調剤事業へ移行したのですが、さらに家電量販店とホームセンターへと進出しています。しかし、これが大失敗に終わり、97年、98年には-14億円、-12億円と大幅営業赤字に陥りました。ここで「自分の良く知らない世界に手を出す事の無謀さ」を悟り、臨床検査事業、ホームセンター事業、家電量販事業を売却し、「自分が良く知るビジネス」に集中させたのです。この過去の地獄を教訓に超堅実経営へ転換したということです。アインファーマシーズは今年度にはアークス、ポスフール、ホーマック、ツルハ、ニトリに続き6番目の北海道小売東証1部上場を目指しているという情報もあり、今後も非常に楽しみな会社です。今日のレポートは決算説明会資料、業界専門紙、インターネットで調べた情報を元に書いています。これらは定性的な分析であり、私の投資判断においてはあくまでも補助的な役割となっています。私は定性的な分析で投資できるほど賢くありませんので。初めて個別企業のレポートらしきものを書きましたが、読み返してみましたが全然説得力ねー。わたしにゃ無理だね。
2005年09月01日
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