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@寺子屋食神
五行(十干)について
そして五行は孤立した存在ではなく、「生じる」「剋する」という力量的な影響が及ぶ相関関係が存在すると考えられました。
上図は、五行の「生じる」作用を模式的に表わしたものです。
木が火を生じ、火が土を生じ、土が金を生じ、金が水を生じ、そして水が木を生じることにより、五行を一巡する構成になっています。
「生じる」という作用によって、生じられるほうが強められることになります。つま
り、木が火を生じることにより、火は強められるわけです。なお当然の話とはなります が、木は生じることにより、その力量を減じることになります。
次の図は、五行の「剋する」作用を模式的に表わしたものです。
木が土を剋し、土が水を剋し、水が火を剋し、火が金を剋し、そして金が木を剋す
ことにより、相手をたたき、抑えることになり、五行を一巡する構成になっています。
「剋する」という作用によって、剋されるほうは弱められることになります。つまり、木が土を剋すことにより、土はその力量が弱められるわけです。なおこれも当然の話 になりますが、木は土を剋することにより、その力量を減じることになります。
これらの五行の相関関係は、実際の事物の関係にたとえられて説明されることがあり
ます。例えば、木が火を生じる関係は、薪木をたき火に放り込むことにたとえられます
し、水が火を剋する関係は、水で火を消すことにたとえられます。五行はあくまで抽象的な概念で、五行の木は樹木ではありません。ですから混同・混乱を避けるためにも、木火土金水の読みは、曜日の呼称と同じにすべきです。
さて、五行それぞれには、「陰」の性質を持ったものと、「陽」の性質を持ったものの 2種類が存在します。
5(五行)
×
2(陰陽)で、
10の要素があることになり、これを「十干」(じゅっかんかん)と言い、その10ある要素それぞれは「干」と言われます。
この十干こそが四柱推命において最頂要と言える要素になります。
また、「陰」と「陽」という用語が初めて出てきましたが、本書の内容を理解するために「陰陽」の概念は、それほど重要ではありません。しかし、以下少しだけ解説しておきます。
物理学では陰(マイナス)の電荷を帯びた電子(electron)に対して、陽(プラス)
の電荷を帯びた電子が存在することが知られていますが、古代シナ人のたどり着いた陰
陽という概念は、このような物性そのものではありません。そもそも陰電子、陽電子と 言われることになったのは、明治維新後に日本の物理学者が西洋の学術書を翻訳する際 に、古代シナの古典を参照し、その中から陰陽の概念を借用したからなのです。
日向に対する陰、男と女、寒と暖、燥と湿、南極と北極、未来と過去、動と静、生と死 、などといった日常的な事柄の対応関係を引き合いに出して陰陽の概念が説明されることが多いのですが、すべて、陰電子、陽電子と同類のたとえでしかありません。これらのたとえは陰陽の概念の範疇にはありますが、「陰陽」は「五行」と同様に、あくまで抽象的な概念であることを忘れないようにしなければならないのです。
なお、古来より「陽」は、力強く、頑強で、加速度がついているような状態に対応し、「陰」は弱々しく、減衰的で、柔軟性がある状態に対応すると考えられてきました。これは、「陰」と「陽」のあり方の違いを理解するうえで参考にはなります。
次に、十干について解説します。
既述のように、五行それぞれが「陰」と「陽」の「干」に分かれ、「十干」になりました。この十干という10 の要素を駆使することが、四柱推命のすべてなのです。
次は、「十干」を一覧できるようにした図です。
さて、ここで普段あまり使うことがない10の漢字が登場しました。
甲こう・乙おつ・丙へい・丁てい・戊ぼ・己き・庚こう・辛しん・壬じん・癸き
です。これらは四柱推命に必須であり、最重要と言える要素ですので、時間をかけてでも、その意味・作用と読み方を覚える必要があります。なお、右図には、音読みと訓読みが明示してありますが、とりあえず音読みだけでも覚えてください。
右図の内容を文章にまとめますと、次のようになります。
これらの十干は、五行から陰と陽に分かれたものの、五行としての性質ょそのまま引
き継いでいます。そのため、「生じる」「剋する」という関係は「五行」と同様になります。
上の図は、十干同士の「生じる」関係を示した図です。
甲木も乙木も同じ五行の「木」ですから、丙丁火を生じることになります。その他の五行も図にある通りです。
さて、十干には陰と陽の2種類がありますので、「剋する」関係は、五行だけの時よ
り、少し複雑になります。
上の2つの図は、十干の「剋する」関係を図示したものです。基本は五行の時の「剋する」関係と同じなのですが、十干になったため少し複雑に見えてしまっています。なお 、前ページ上段の図に関しては、「干合」(かんごう)という用語を使い、説明している四柱推命の本が日本には多くありますが、本書では「干合」は不用な概念として排除しています。
干合などと言う、何も役に立つことがない用語・概念を増やすことは賢明ではないと考えます。用語は1つでも少ないほうが望ましいのです。
スマホと連携『四柱推命活用法』誕生日から適性・資質を解き明かす 小山内彰著
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