黒色花

第四十話「修羅ごとくの魂ここに眠る」

相変わらず止まる気配のない警報。
だがこの警報が鳴っているのにもかかわらず、戦闘員とやら全然出てこない。
「・・・？なんかおかしいな・・・。」
「いってる場合か！さっさと脱出しないととんでもないことに・・・。」
ゴポ・・・。
排気管の中から大量の泥みたいなものが出てきた。
それは１０個に別れ、泥人形に変化した。
「・・・！」
「モクヒョウはっけん、ハイジョする！」
一斉に凄いスピードで接近してくる泥人形。
「チッ！」
バッ！
修羅は防と書かれたお札を床にたたきつけた。
すると壁が生成されていく。
「ナンだ？コノかべハ？」
動きを止める泥人形達・・・。
「今のうちに逃げろ！爆炎！」
「な、何で！？」
「大丈夫だ！あとで追いつく！」
「しかし・・・！」
「俺のタフさ、知ってるだろ？」
「・・・、わかった・・・、必ず追いつけよ！」
爆炎はその場から離れていった。
「さあて、いきますか・・・。」
ビギギ・・・、バギャン！
「ショウガイぶつハカイかんりょう、モクヒョウのハイジョにウツル。」
「さあ！きな！」
一斉に飛び掛ってきた泥人形。
果たして修羅に勝ち目はあるのだろうか・・・？
そのころ、月光は・・・。
「ウッ・・・。」
紅蓮のキツイ一撃をモロにくらい気絶していた。
「イッツ・・・、回復を・・・。」
月光は自分の顔に手を押し当てた、すると。
パアアアア・・・。
緑色の優しい光が手に集中し始めた。
やがて光は輝きを失い、消えていった。
「・・・、大丈夫のようだな。」
フラフラと立ち上がる月光。
「とにかく、兄さんの所へ・・・。」
ドゴォン！
爆発音が鳴り響く。
振動で光蒼膜が激しく揺れる。
「な、何が起こっているんだ・・・？」
とりあえず月光はヘリポートを降ろすことにした。
ガコン・・・。
ウィィィィィン・・・。
動き出したヘリポート。
だが・・・。
ガコン・・・。
キュウウウウ・・・。
「止まった？」
中途半端な位置で止まったヘリポート。
どうやら調子が悪いらしい。
「やっぱまた排気管か・・・。」
月光は排気管の金網を破ると中へ侵入した。
ズル、ズル・・・。
「動きづらいな・・・、ここ・・・。」
しばらく移動していると、排気管の出口が見えてきた。
「あ、あそこから出られる・・・。」
ガガッ・・・、ゴガ・・・！
月光は金網を外した。
そこは廊下だった。
「また廊下？今度は何処・・・。」
ダカダカダカ・・・。
足音が聞こえてくる。
「・・・！」
月光は黒い特殊部隊の格好をしたワンリキーたちに囲まれてしまった。
一斉にマシンガンの銃口を向けられる月光。
「お前か？侵入者は・・・、よくもロックシステムを解除してくれたな・・・。」
「ロックシステム・・・？」
「そーだ、お前だろ？D・M（ダーク・マリオネット）を動かしたのは。」
「D・M？」
「初めて聞いたの？」
「そうです。」
「・・・、秘密を聞かれたからには容赦はせん！射殺しろ！」
「え？ええええ！？」
ジャカ！
「くっ！」
月光はどこからか取り出した煙玉を床にたたきつけた。
モクモクと煙が立ち込める。
「なっ・・・！？」
煙がなくなるころには月光の姿はなかった。
「お、追えー！」
「イエッサー！」
ダカダカダカ・・・！
特殊部隊は去っていった。
「・・・、行ったか。」
ぺらりと白い壁がめくれると月光がでてきた。
隠れ身の術だ。
「はあ、なんとかしのいだ、さあ、兄さんを探すぞ。」
ドゴン！
「うわっ！」
「！」
次々に吹っ飛んでくるワンリキー達。
「一体何事・・・？」
足音とがだんだん近付いてくる。
「・・・！」
月光は身構えた・・・。
「あっ、月光！」
「爆炎さん！？何でここに？」
「牢獄を修羅がぶっ飛ばしてくれたんだ。」
「兄さんは？兄さんは何処ですか！？」
「あの、その・・・、今奥の方で戦っている最中・・・。」
「兄さん！」
月光は走り出した。
修羅を探しにいったのだ。
「あ、ちょっ！おい！」
爆炎も月光の後を追いかける。
「何処ですか！？兄さん！」
「待て！月光！」
「何するんですか！？離してください！」
「待てって！アイツが死ぬようなやつか！？」
「え？」
「俺はアイツが死なないと思うぜ？兄弟のお前がアイツを信じないでどうする。」
「そ、そうですね・・・。」
「な、だからまずは脱出口を探すんだ。」
「わかりました！」
「んじゃいくぜ！」
（兄さん、無事でいてください！）
月光と爆炎は走り出した。
修羅を信じて。
そのころ修羅は・・・。
「オラァァ！」
ザシュ！
修羅は３体の泥人形を同時に串刺しにした。
だが目立ったダメージはなくそれどころか、グレイブをつたって修羅に接近を試みようとしている。
「おわっ！」
ズブッ！
修羅は泥人形からグレイブを引きぬいた。
穴の開いた泥人形は倒れたが、穴がふさがりまた立ち上がる。
「くそっ、これじゃキリがねぇ！」
「ザンゾンせんりょく、１００，０ぱーせんと、セントウけいぞくニシショウなし。」
「チッ・・・。」
「モクヒョウ、スタミナしょうもう、セントウしゅうりょうまでアト３０ビョウ。」
「そう簡単にやられるかよ！」
「カウントだうんカイシ、３０・・・。」
「ふざけやがって！」
泥人形達は一斉に修羅に飛び掛った。
「ノコリ２５・・・。」
「くっ！」
修羅は飛び掛りをよけた。
攻撃をよけられた泥人形は山積みになる。
「ノコリ１３・・・。」
またもや一斉に飛び掛る泥人形。
「何度やっても同じだ！」
またもや軽くかわす修羅。
「学習しねぇヤツラだな。」
「３・・・、２・・・、１・・・。」
「ハッ！俺はピンピンしているぜ・・・！」
グバァ・・・！
ドシュ！
「・・・う！」
後ろから修羅の体を黒い大きな棘が貫通した。
「んだとぉ・・・！？」
ズッ・・・。
棘が引き抜かれるとそのまま修羅は倒れた。
「モクヒョウのせんめつカンリョウ、ツギのこうどうにうつる。」
十体の泥人形はまた溶けて、どこかにいってしまった。
続く・・・。

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