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2014年10月16日

さようなら「パソコン」 若者のネット接続はスマホが主流に



ある調査によると、10代はPCによるインターネット接続時間が大幅に減っているという。PCの使い手として残るのは、「おじさん世代」だけになるかもしれない。



2014年度のPC需要は「XP特需」の反動で落ち込み



「10代でパソコン離れが急加速。パソコンからのネット接続は、1年で約3分の2に」。


コンピューターソフト開発のジャストシステムが2014年10月10日に発表した調査結果だ。男女15〜69歳を対象に1100件の回答を得た。ネット接続に利用する機器について、対象者全体ではノートPCが61.9%と割合が最も高く、スマホは51.5%で2番目となった。ところが世代別になると違いが顕著になる。特に10代は、男女ともスマホ利用がノートPCを上回り、逆転する。



平均接触時間も似たような結果が出た。15〜19歳は、PCからのネット接続時間が88.2分なのに対してスマホからは116.2分とスマホに軍配が上がる。20〜24歳はPCが143.8分、スマホが126.0分と入れ替わるが、時間はほぼ互角と言えそうだ。これが35〜39歳になると、PCとスマホの割合は166.4分対74.3分とPCからの接続時間が倍以上。40〜44歳は130.0分対78.8分、45〜49歳も147.1分対59.0分とPCが圧倒的に多い。50代以上も同様の結果となっている。しかも、10代はPCでのネット利用が1年前に比べて大きく低下していることから、スマホへの移行が進んでいるようだ。



国内のPC需要はどうなっているだろうか。調査会社MM総研が2014年5月14日に発表した国内PC出荷概要によると、2013年度はPCで広く使われている基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」のサポート終了にともなう買い替えが起こり、前年度比9.7%増の1651万3000台となった。だが、2014年度はその反動により、通期で同16.1%減の1385万台にとどまるとした。



今後の頼みは法人向けだ。IDCジャパンが3月18日発表した2014〜18年の出荷台数予測を見ると、PCは1344万台から1351万台と微増となっている。個人向けは落ち込む半面、法人向けが812万台から847万台と伸びている。




「PC全廃、代わりにタブレット」はまだ少数派


企業の中には、PCの代わりにタブレット型端末を導入するところがある。外資系製薬大手ノバルティスファーマ日本法人は、2013年1月から医薬情報担当者(MR)2300人を対象に、PCを撤廃する代わりにタブレットを支給したと報じられた。ただこうした事例はまだ珍しく、「経営陣の鶴の一声でタブレット導入が決まったものの、十分に活用されないまま"塩漬け"になるなど失敗に直面する企業は多い」(「日経コンピュータ」2013年12月26日号)のが実情のようだ。



当面は、「ウィンドウズ」の切り替え時期のたびにPC需要が高まる予測ができるだろう。仮に「XP」のサポート終了の段階で「PCをやめてタブレットの導入を」と考えた企業が多かったのなら、「特需」は起きなかったかもしれないからだ。端末を入れ替えるための経費がかさむのは当然だが、やっとの思いでキーボード操作に慣れた会社の「おじさん世代」が、PCを捨てて別の新しい機器に対応しろと命じられれば、「勘弁してくれ」と泣きが入りそうだ。



とは言え、長期的に見て今のまま続くとは言い切れない。ツイッターを見ると、ジャストシステムの調査結果を見て「PCがなくなることはない」との意見もあるが、一方で学生とみられる投稿者からは「課題はスマホでつくってネットで提出」という書き込みがあった。スマホを自在に操り、PCから離れた10代が今後就職し、企業の中核を担う世代となれば事態が変わっていく可能性もあるだろう。PCは「おじさんツール」としてかろうじて残る、そんな時代がやってくるのだろうか。
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