10月20日に日本フランチャイズチェーン協会が発表した9月の全国コンビニ既存店売上高は、前年同月比1.3%減の7377億円。じつに6か月連続のマイナスに終わった。
コンビニ苦戦の理由はなにか。ある流通業界アナリストは、「消費増税や食料品の相次ぐ値上げが家計をジワジワと圧迫し、コンビニから割安感のある地元の食品スーパーに客が流れ出している」と分析する。
飽和状態も囁かれるコンビニは、もはや店舗数の拡大だけでは勝ち続けられない時代なのか。その難題にもっとも直面しているのが、業界3位のファミリーマートである。
いま、ファミマの国内店舗数は1万1024店ある。トップのセブン-イレブンの1万7009店と比べると水を開けられている印象があるが、2位ローソンの1万1984店には肉薄している。店舗数だけ見れば逆転も十分可能なポジションだ。
しかし、先に行われた中間決算で、ファミマは今年度の出店計画を1600店から1300店に下方修正。営業利益の通気見通しも460億円から400億円に下げるなど、劣勢に追い込まれた。
思い通りの出店が果たせないのはなぜか。コンビニ業界の専門紙『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏がいう。
「ファミマの1店あたりの出店コストは、昨年度で4700万円でしたが、今期は5200万円と10%以上アップしています。特に都心部の好立地では、コンビニの出店余地がなくなりつつあり、物件の取り合いから家賃が高騰しているのです」
無理に出店を増やして不採算店をつくっても意味がない。拡大ペースをやや緩めたというのが実態のようだ。
だが、2020年に1万8000店を掲げるファミマゆえに、規模の追求を諦めたわけでは決してない。
そこで、巻き返しのカギになるのが“+ファミリーマート”戦略だろう。食品スーパーのカスミと組み、11月1日に「スーパー+コンビニ」業態の新店舗(ファミリーマートプラス)を埼玉県川口市にオープンさせるのもその一環だ。
「ファミマはこれまでも、ドラッグストアや調剤薬局(薬ヒグチ)、スーパー(イズミヤ)、JA全農(Aコープ)、カラオケ(カラオケCLUB DAM)、定食店(まいどおおきに食堂)に至るまで、業態を問わずに一体となる『融合店づくり』を積極的に行ってきました。
いずれコンビニ単体での飽和状態がきたとき、少しでも好立地であらゆる顧客ニーズを取り込んでいたほうが有利に決まっています。そのために、今から出店地域の周辺業態を巻き込んだ“次世代コンビニ”の形を模索しているのです」
フランチャイズ契約で地場の有力企業にオーナーになってもらえば、出店数に弾みがつくばかりか、顧客の利便性が高まり収益力もアップするというわけだ。
<国内のコンビニ業界はまだ成長できる。3年以内に営業利益率でセブン-イレブンやローソンに追い付きたい>(ファミリーマートの中山勇社長)
出店戦略でも「あなたとコンビに」を掲げるファミマ。異業種とのコラボでコンビニの勢力地図をどこまで塗り替えることができるか。
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