ソニーは30日、スマートフォン事業を手掛ける子会社ソニーモバイルコミュニケーションズの鈴木国正社長が11月16日付で退任すると発表した。スマホ事業の不振に伴う事実上の更迭人事で、後任にはソニーの経営企画などを担当する十時裕樹(ととき・ひろき)業務執行役員が就任する。
スマホ事業を収益の柱の一つと位置づけているソニーは、2013年度は世界で3910万台販売し、今年度は当初、5000万台の販売目標を掲げていた。だが安価で販売する中国勢などの台頭に苦しみ、7月に4300万台に下方修正。その後も不振が続き、販売目標の追加引き下げを行う予定だ。スマホ不振は業績全体の足を引っ張り、9月には15年3月期連結決算が2300億円の最終(当期)赤字になるとの見通しを発表している。
新社長に就任する十時氏はソニー銀行の設立に携わるなど経営手腕が評価されており、昨年12月に当時副社長を務めていた、インターネットプロバイダー事業のソネットからソニー本体に呼び戻されていた。同時期にソネット社長から戻った吉田憲一郎CFO(最高財務責任者)とともに、パソコンのバイオ事業の売却やテレビ事業の分社化などの構造改革を推進。平井一夫社長は、スマホ事業の立て直しに十時氏の手腕が必要と判断したとみられる。
退任する鈴木氏はバイオの事業本部長などを経て12年5月、モバイル社長に就任した。拡大路線がソニーを苦境に追い込んだとの見方は強く、鈴木氏を重用した平井社長の任命責任も問われそうだ
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