そんな「勤労者」の気持ちを察してか、政府は秋にもゴールデンウィーク並みの大型連休をつくろうと検討を始めた。ただその中身は、有給休暇の取得による実現を柱とする。そもそも有休が簡単に取れるなら苦労しない、とため息が聞こえてきそうだ。
有休取得率39%、消化ゼロ日17%とダブルでワーストワン
少し気が早いが、来年2015年9月のカレンダーを調べてほしい。9月19日は土曜日、20日は日曜日、21日は敬老の日、22日は「国民の祝日に関する法律」の規定で休日、そして23日が秋分の日と5連休が確定している。24日と25日は平日だが、この2日間の休みが確保できれば、その後は土日となるため9連休が実現するというわけだ。
内閣府は2014年9月26日、ワーク・ライフ・バランスの推進や生産性の向上、地域活性化のための課題と具体策を検討する有識者会議「休み方改革ワーキンググループ」の初会合を開いた。ここでは、秋の連休の大型化を実現するうえでの課題や方策も議題として取り上げられている。
しかし、国民の祝日が増えるわけではない。会議では、有休を活用したうえで大型連休にする案が提示されている。オンライン旅行会社のエクスペディアが2013年8〜9月に世界各地で実施した有休取得率の調査結果で、日本は39%。フランスの100%、米国71%、韓国70%と比べて大きく見劣りがする。しかも「有休消化ゼロ日」の割合が17%でワースト1位のおまけつきだ。
政府としては、取得率を70%にまで引き上げるのが目標。その一環として秋の大型連休化の促進を挙げたようだ。
だがツイッターを見ると、評判はあまり芳しくない。そもそも簡単に有休が取得できない状況が改善されていない現状で、「有休を活用して大型連休にしましょう」とうたわれても、単なる絵空事に過ぎないというわけだ。結局のところ「休みたければ自力で有休をとれ」と言われているようなもので、「祝日じゃないと一般人は休めない」「形上は休みになるけど、結局はシゴトしてんだよ」と反発の声が上がった。
「連休があると私は給食のおばさんと化します」
一斉休暇という視点にも、疑問符がついた。仮に9連休となっても、年末年始やお盆などと同様、行楽地が混雑して楽しめないというわけだ。
さらに、大型連休が新たにできると、業種によってはますます負担が増えるケースも考えられるという。サービス業や接客業は「かきいれ時」になるだろうが、職業としている人にとっては有休どころではない。逆に医療機関の休診日が増えて、診察を受けたい病人にとっては不便になるとの指摘もある。
主婦にとっても悩みの種になるようだ。「連休があると私は給食のおばさんと化します」「朝昼晩と連休中はご飯作りに洗い物......ストレスが溜まりイライラします」との嘆き節が、2014年5月5日付の「発言小町」に掲載されていた。
大型連休が増えても、恩恵にあずかれる人ばかりとは限らない。「休み方改革ワーキンググループ」は今後会議を重ね、10月24日に報告書案をまとめる予定だが、誰もが笑顔で楽しめる休日が取れるような提案を期待したい。
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