■その他 サービス部門
宅配便、飛行機、鉄道、タクシー、ホテル、旅行会社、遊園地、マッサージ・エステ、美容院・理容院、クリーニング、銀行、証券、保険、不動産など
「親方日の丸」では接客はムリ
テーマパークでは東京ディズニーリゾート(TDR)がUSJに大差をつけている。雰囲気を楽しむために客がわざわざ足を運ぶテーマパークの評価が、タクシー会社や宅配便会社の評価より劣っていたら、企業業績に直結する問題だろう。もちろんこれは、テーマパークは客が求める期待値が高いからだが、USJは期待して訪れた客の期待を裏切ることも多いようだ。一方で、高い期待値を裏切らないTDRのサービスは特筆に値する。
航空会社ではANAの評価が高い。JAL、郵便局、JRのような「親方日の丸」系の会社は官僚的なイメージが根強く、サービス精神が足りないようだ。
宅配便では圧倒的にヤマト運輸が支持されている。佐川急便を低い評価にした回答者の声で目立っていたのは「時間を守らない」ことだった。その他、銀行に対する不満も強いようだが、銀行も、いざというときは公的資金が入る親方日の丸事業。経営者も、サービスの良しあしが経営を左右するとは考えていないだろうから、調査の回答は彼らにとっては屁でもないだろう。
日本人が望むサービスとは何か
アンケートによれば、客が「いいサービス」と認める理由の筆頭は「親切、丁寧」であり、以下、「要望への対応」「言葉遣いや礼儀」「笑顔」ときて、最後に「商品知識」と「待たされないこと」が続く。
本来ならば、客が望むサービスの第一に挙げられるのは商品知識の豊富さであるべきだろう。洋服のサイズがわからない従業員、料理の味付けを説明できないウエーター、乗り継ぎ便を把握していない航空会社のカウンター係に対してはクレームが出て当然だ。しかし消費者は、従業員が商品知識を持っていることは当然だと考えているようだ。
日本の接客サービスは、世界的に見れば水準以上だ。海外のファストファッションの店、航空会社のカウンターへ行けば、行列ができているにもかかわらず従業員がおしゃべりに興じていることがある。そして、客は注意するでもなく、ただただおとなしく待っている。
もし、同じようなことが日本で行われたら、行列のなかから額に青筋を立てたおじさん、おばさんが出てきて、「お前ら、いい加減にしろ」と怒鳴りまくるだろう。そしてそういうおじさん、おばさんは、怒鳴らず我慢する客の心の中にも、いる。
接客サービスを提供する側にとっては、大変な時代がやってきたといえる。客を怒らせずに上手にプライドをくすぐる方法。つまり、「人格、識見に富んだ従業員によるやさしく丁寧な接客」が常に要求されているのだ。人件費が高騰するなかで、いかにコストをかけずに接客サービスを向上させるかが、企業の業績を左右しそうだ。
アンケート実施概要 ● 2014年7月8〜9日、全国の30〜60代の男性515人、女性515人を対象にアンケートを実施。「値段の割に店員の接客力・おもてなし力が高い」と感じた、あるいは「店員の接客態度があまり良くない、接客力が低い」という印象があるチェーン店名・会社名を、小売り、飲食、その他サービスなどについて、それぞれ1つずつ自由回答。合計で10件以上の回答があったチェーン店、会社についてランキングした。年齢構成は30代36.9%、40代37.1%、50代25.1%、60代0.9%。地域構成は北海道5.3%、東北5.0%、関東39.5%、中部17.0%、近畿16.7%、中国4.2%、四国2.5%、九州9.8%。
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