水分を含んだ火山灰は粘土状になり、捜索隊員の足にまとわりつく。腰や首まで埋まり、沼のようになっている場所もあるという。高所での作業が続き、高山病や低体温症になる隊員も出始めた。
■少なくとも8人の不明者がいるが...
9月27日の噴火から2週間近くが経過。死者は55人に達し、噴火災害では戦後最悪となった。
山頂には不明者がいるため捜索は続いているが、これまでの状況は思わしくない。噴火直後は火山ガスの充満や火山性微動が確認され、噴火のおそれがあるため、何度も中断を余儀なくされた。火山活動が安定すると、今度は雨で中断した。
再開した10月7、8日は警察、自衛隊、消防合わせて960人以上が動員され、登山道周辺以外もくまなく捜索が行われた。しかし、火山灰は朝方に凍結し、時間をかけて水分を含んだ粘土状になるため、ぬかるみに足がはまり、首までは埋まった隊員もいたという。斜面が崩れる大規模な二次災害のおそれもある。
標高3000メートルを超える御嶽山の山頂付近での活動のため、高山病や低体温症の発症、連日の活動で体調を崩す隊員が出始めている。
再来週の捜索計画も立てられている
これまで死亡が確認されている55人のほとんどが、噴石が直撃したことによる損傷死だ。災害救助の1つの目安とされる72時間はすでに経過し、山頂付近にいる不明者の生存を望むのは極めて難しくなっている。
そのため、
「捜索打ち切りを判断する段階になってきた。 捜索隊の2次遭難だけは絶対に避けないと」
「もう打ち切りで良いだろ...。山頂は零度を下回り下手すると二次災害を引き起こすよ」
「不明者の家族には気の毒だが、捜索打ち切りをしても良いのではないか。二次被害が心配だ」
と捜索を打ち切り、二次災害の発生を避けるべきだという意見がツイッターなどで散見されるようになってきた。
警察庁によると、経過日数や二次災害のおそれなど、自然災害時の捜索打ち切りの基準はないという。過去の災害を振り返ると、1991年に起きた雲仙普賢岳の噴火の際は数か月に及ぶ捜索活動が続けられた。2014年8月20日に発生した広島市の土砂災害では9月18日に最後の不明者の遺体が発見されるまで1000人近い態勢で捜索が行われた。一方、大雨洪水や雪崩の場合に数日から1週間ほどで打ち切られたこともある。災害状況によって対応は異なるようだ。
御嶽山の捜索はどうなるのか。長野県警広報は取材に対し、「来週、再来週を見越して計画を立てています。捜索打ち切りはまったく考えていません」と答えた。
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