最近、独りよがりだと思っていた天体に関する記事にも、ちらほらとアクセスが増え始めて嬉しいかぎりです。
そんな中、本日は前回に引き続き土星について書きたいと思います。
土星といっても、土星のリングについてです。
土星と言えば一番始めに思いつくのは、なんと言ってもその美しいリングでしょう。
観測精度の低かった時代には、このリングを別の惑星だと勘違いしたり、土星には耳がある!という面白い説もあったようです。
さて、ここで突然ですが、太陽系の中でリングを持つ惑星はなにも土星だけではありません。
実はたくさんあったりします。
まずはそのリングを持つ惑星たちをご紹介します。
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リングを持つ惑星たち
まず1つ目は天王星です。
1789年に天王星のリングを一番初めに発見したのは、 ウィリアム・ハーシェルという天文学者によって発見されました。
しかし、その後 200年もの間、他の誰も天王星のリングを発見できなかったため、この説は受け入れられることはありませんでした。
実に不憫です。
しかし、1977年にカイパー空中天文台より天王星の背後に見える恒星が規則的に瞬いた(星食した:観測者と天王星のリングの間を通過する時に、その恒星が隠される現象)ことから、天王星にリングがあることが証明されました。
天王星は自転軸が98度傾き、ほぼ横倒しの状態になっているため、リングも垂直面を地球に向けています。
(※天王星の自転軸の傾きについては後日、あらためて記事にします)
次にリングが見つかったのは木星でした。
木星のリングはあまりにも暗かったため、地球上からは発見できませんでしたが、1979年に ボイジャー1号が木星近辺を観測したことで木星のリングが発見されました。
ボイジャー1号について言えば、1989年に海王星のリングも発見しています。
美しいリングの正体
土星のリングの93%は小さな氷片で、残りの7%は非結晶の炭素が寄り集まって出来ていますが、どのようにして生まれたのかは、まだはっきりとわかっていませんが、2つの仮説があります。
1つ目の仮説は、重力によって引き寄せられた小惑星が互いに衝突した破片で形成された。
2つ目の仮説は、土星が作られた際の星雲の余りが残っている。
という2つの仮説があります。
さて、この土星を特徴付けているリングですが、実は安定しておらず、数万〜数億年で飛び散ってなくなってしまうと考えられています。
残念ですね。
ちなみに、土星が太陽をぐるっと1周する公転周期は約29.5年。
そしてこの公転の影響によって地球から見える角度が変わるため、15年ごとにリングを真横から眺めることになります。
こうなると、まるで土星のリングが消失したように見えます。
土星のリングの中に現れた謎の模様
土星探査機 カッシーニが、2006年に土星のリングの観測で撮影した画像の中に、不思議な模様が見つかりました。
その不思議な模様がどこにあるのかというと、土星の外側の濃いリング プロペラベルトといわれるエリアで見つかりました。
その不思議な模様は、ある1点を中心に左右に伸びたプロペラのような構造から プロペラ構造と呼ばれています、そのまんまですね(笑)
そのプロペラ構造の規模は、数百メートルから数キロメートル程度で、土星のリングと比較すると非常に小さいです。
プロペラ構造は、土星のリングに埋もれた小衛星の重力によって形作られていると考えられています。
巨大な土星のリングの中では、ほんの小さな模様でしかありません。
巨大な土星のリングの中では、ほんの小さな模様でしかありません。
リングに埋もれた小衛星は周囲の空間に穴をあけることはできるようですが、それ以上の大きな空間に穴をあけることはできません。
どうやってプロペラ構造はできるのか?
このプロペラ構造は天文学者たちの興味を引き、発見されてから4年以上もの月日を解明に注ぎました。
プロペラ構造がどのように作成されるのかを調べるために、色々な条件の元にシュミレーションを行ってきました。
そのシュミレーションには国立天文台のスーパーコンピューターでも計算に1ヶ月も掛かりました。
無理もありません、なぜなら土星のリングを構成する約100万個の粒子を再現したのですから。
そのシュミレーションの結果、真ん中の核となる小惑星周囲の、リングを構成する物質の質量が小さい場合にはプロペラ構造が作られますが、質量が大きい場合にはプロペラ構造はできないということがわかりました。
カッシーニによる観測ミッションは、本来は土星を74周して終了される予定でしたが、2010年9月までの運用継続が決まり、そしてさらに土星の季節変動を研究するために2017年まで再延長されました。
このプロペラ構造についても、継続して観測されていくでしょう。
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