最近、冥王星(と太陽系外縁天体)の探査機「ニュー・ホライズンズ」が冥王星に到着したことで、ちょっとした話題になっていますね。
ちなみに太陽系外縁天体とは、海王星軌道の外側を周る天体の総称です。
今日はそんなブームに便乗して、冥王星について書きたいと思います。
ニュー・ホライズンズによって撮影された冥王星の画像。
まずは冥王星の環境についてです。
楕円軌道に左右される冥王星の環境
冥王星には、いろいろと不思議なことが多い天体です。
まずはその異常な軌道ですね。
太陽系の惑星は基本的に楕円軌道で公転していますが、それほど極端な楕円というわけではなく、真円に近い軌道になっています。
ところが、冥王星の軌道は他の惑星と比べると歪みが大きく、その軌道の一部は海王星軌道の内側に入り込んでおり、海王星よりも太陽に近くなっています。
赤が冥王星の軌道、青が海王星の軌道です。
冥王星軌道が海王星軌道の内側に入り込んでいるのがわかります。
冥王星軌道が海王星軌道の内側に入り込んでいるのがわかります。
最も太陽に近い(近日点)ときの太陽との距離は、約29.6天文単位になります。
ちなみに天文単位とは、1天文単位が太陽と地球の平均距離です。
また、太陽から最も遠い(遠日点)ときには、約49.3天文単位となり、この差は太陽系の惑星の中で一番大きくなります。
太陽からの距離がそれだけ変わってしまうため、近日点と遠日点では冥王星の環境がガラリと変わってしまうわけです。
冥王星の大気は薄く、主に窒素、メタン、一酸化炭素から構成されています。
冥王星が太陽に近いときには、大気は安定した状態を保っていますが、太陽から離れていくにつれて、大気の大部分は冷えて凝固(気体から固体になる)し、地表へと落下していきます。
冥王星が再び太陽へ近づくと、地表が暖められ表面の温度が上昇し、窒素が昇華してまた気体に変化していきます。
なので、冥王星の大気は公転するごとに凝固と昇華を繰り返すわけです。
そのため、冥王星の地表温度はこの昇華する窒素によって冷却効果をもたらし温度が下がって、大気は暖められることになります。
冷却効果とは気体が蒸発するときに、熱を奪ってしまう現象のことです。
夏の暑いときに、水をまいたりしますよね?
あれは古くからの知恵ですが、水をまいた場所が涼しくなりますよね?
これも冷却効果が関係しており、水が蒸発するときに温度を奪ってくれるので、涼しくなるわけです。
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冥王星は上にいくほど暑くなる
冥王星の地表温度は約-220度ですが、上層の大気は50度ほど高いという興味深い結果が発表されました。
地球の場合は、地表から上にあがればあばるほど温度が下がり寒くなりますよね?
登山とかするとよくわかると思います。
冥王星の場合は逆で、冥王星で登山をした場合、どんどん暑くなっていくようなイメージです。
これは、大気に含まれるメタンの量が地表よりも上空のほうが多いためと考えられています。
冥王星の地表では冷却効果により温度が低くなっていますが、その時に放出された熱が蒸発したメタンの温室効果で捕らえられているというわけです。
今回、探査機「ニュー・ホライズンズ」が冥王星に到着しましたが、まだ地球へのデータ転送が終わっていません。
もう惑星ではなくなってしまった冥王星ですが、ニュー・ホライズンズの観測データによって、この特異な天体の謎が解明されることを期待しましょう。
冥王星が惑星から降格されてしまった経緯はこちら。
ちなみに、2016年4月に全てのデータが転送される予定です。
でわでわ。
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タグ: 冥王星