しれっと再開発先送り 小池知事「築地守る」はハッタリか
日刊ゲンダイDIGITAL2017年8月30日
ゼロどころか、マイナス回答だ。28日、豊洲市場の追加汚染対策費など約55億円の補正予算案を審議する都議会臨時会が始まった。
小池知事は6月20日に「築地は守る、豊洲を生かす」という基本方針を発表して以降、豊洲への早期移転を最優先課題に掲げながら、築地を守るための再開発は具体的な説明を避けてきた。それだけに7月の都議選後、初の議会への説明で何を語るか注目されたが、 またもや肩透かしだ。
「先週、議会に提示された都知事による補正予算案提出の説明時間は、たった7分。さすがに短過ぎると風当たりの悪化を懸念したのか、自ら当日になって14分に延ばしたようですが、築地再開発に充てたのは1分20秒程度で、従来通り『築地のロケーションを最大限に生かした夢のある姿を描いていきたい』と、抽象的な説明だけでした」(ある野党系都議)
まるで 頭の中が“お花畑”のような説明 のうち、唯一「具体的」と言えそうなのは再開発のスケジュールのみ。それがまた問題アリだから、話にならない。
■側近は業者に「5年後に帰還」
基本方針発表の際、小池知事は「築地市場を5年後を目途に『再開発』」と明言したが、この日はトーンダウン。「まちづくり方針の策定後、5年以内のできるだけ早い時期に『着工』を目指す」と微妙に言い換え、しれっと工事完了の時期を先送りしたのだ。
「小池知事のブレーン役の小島敏郎・都特別顧問は7月下旬、水産仲卸業者との“勉強会”で、築地への帰還時期はまさに5年後の『22年9月』と説明。『年末商戦で客が来る前に開場させる』と息巻いていたのに……。もう誰を信じていいのか」(ある仲卸業者)
もともと築地市場の敷地は江戸幕府の老中・松平定信邸など大名屋敷跡で、埋蔵文化財が発見される可能性は高い。発掘調査と工事を並行して行う事態となれば、さらに工期は延びる。実際、隣接する汐留一帯の再開発でも遺跡が見つかり、発掘調査に9年を費やした。小池知事の任期満了は3年後。仮に2期務めても2024年までの任期内に築地へ業者が戻れないケースもあり得るのだ。
都議会が付帯決議した 豊洲市場の無害化方針をあっさり撤回し、 28日は環境アセスもすっ飛ばした。小池知事が「築地は守る」を軽んじ、 カビの大量発生という新事態を顧みず「豊洲を生かす」だけを急ぐ理由は何か。小池知事は30日、都議会本会議で基本方針の公表後、 初めて各会派の質問を受ける。もう説明から逃げちゃダメだ。
タグ: 豊洲
【このカテゴリーの最新記事】