洗練されたポップ、いわゆるSophisti-popの第一人者として現在も多大な人気を博するグループですが、当時は3人編成でした。メンバーは、Andy Connell(key)、Martin Jackson(drums)、そして紅一点のヴォーカリスト、Corinne Drewery(vo)で、MartinとAndyはマンチェスター、Corinneはノッティンガム出身です。グループ加入前のCorinneはファッション系のデザイナーやモデルとしてのキャリアを積んでいました。
Swing Out Sisterの最大の魅力はCorinneの持つ渋い低音の歌声にあり、それは"オプティミスティック・アルトフルート"と言われ、弾けたポップ・ナンバーでも、しっとりとした"聴かせる"音楽に変身する独特の魔力があります。"Breakout"はまさにそのような感覚でとらえられるナンバーで、ホーンで明るく、そしてアップテンポな曲ですが、はじけるだけで終わることなく、Corinneの"聴かせる"歌声がいつまでも耳に残る、まさに名曲です。
"Breakout"のプロモーション・ビデオも大変痛快で、見ていてすがすがしくなります(映像は こちら 。 youtube より)。個人的にはフラフープを回すシーンや、最後のCorinneの決め顔で終わるエンドシーン、そして最初のファッション・デザイナーに扮した、Audrey HepburnばりのCorinneが"Breakout!"と言って布を引き裂くシーンが非常に気に入っております。このビデオは1988年のMTV Video Music AwardsでのBest New Artist in a Videoにもノミネートされました。1999年に"Alice in Wonderland (邦題:不思議な国のアリス)"の映画を手がけることになる Nick Willingが監督をつとめております。
"Breakout"は1986年にリリースされ、UKチャートでは1986年10月18日付で4位を記録しました。そして、これを含むデビュー・アルバム"I t's Better to Travel(邦題: ベター・トゥ・トラベル)"が翌年11月にリリースされました。収録曲にはデビュー曲"Blue Mood"や、アメリカでは"Breakout "に続くセカンド・シングルとしてカットされた" Twilight World(邦題: トワイライト・ワールド)"など、魅力あるナンバーが多く収録されています。
さて、アメリカでも当時デビューを果たしたSwing Out Sisterの注目は高く、"Blue Mood"はふるわなかったものの、"Breakout"は1987年11月14日付のBillboard HOT100シングルチャートで6位を記録し、23週チャート・イン、その年のYear-Endチャートでは100位中66位にランクされてその年の大ヒット曲となり、翌年のGrammy AwardでもBest Pop Performance by a Duo or Group with Vocalsにノミネートされるなど、飛躍の年となったのです。
さて陽の当たった所は、総合チャートであるHOT100よりも目立った、Adult Contemporaryでのチャート・アクションです。陽の当たった9月12日に38位でエントリー後、26位→22位→16位→12位→7位と5週でTop10入りを果たし、続いて3位を2週続けた後、11月7日付でなんと、 ナンバー1に輝きます。1位は2週続け、その後下降していきましたが、結果20週チャートインする、新人らしからぬ大ヒットを記録したのでした。
アメリカでは次のシングル"Twilight World"もヒットし、HOT100では31位止まりでしたが、Adult Contemporaryチャートでは7位、ダンスチャートでも9位まで上がる大ヒット曲となり、華々しいデビューを飾ることができました。
1989年のセカンド・アルバム、" Kaleidoscope World(邦題: カレイドスコープ・ワールド)"よりMartinが脱け、2人編成となり、現在に至っています。
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