内燃機関
超基礎講座
直列3気筒エンジンが注目される理由?
240度間隔がもたらすメリット?
機械損失の低減を狙ったレスシリンダー化の流れのなか
当面の主流となりそうな直列3気筒レイアウト
既存の直列4気筒から1気筒減じるというシンプルな手法で実現可能なだけでない多くのメリットを持っているのです
今まで軽自動車用以外にあまり見られなかった3気筒エンジン!
急速に脚光を浴びつつある理由はもちろんダウンサイジング、レスシリンダー化
4気筒エンジンから1気筒分を取り除くことで小排気量化を図ると同時に、機械損失の低減をも狙っている
背景として、近年のエンジン設計においてモジュラー化が進んでいることにより、気筒数の増減がしやすくなっている
ブロックやクランクを造り直す必要はあるわけだが、大きなメリットとして、動弁系や燃焼室、ピストンなどの設計が流用できる
さらに、意外なまでに3気筒エンジンの振動は制御しやすい
その振動についても、最も振動を感じやすいアイドリング時にエンジンを停止するアイドルストップの急速な普及から、要求が緩くなってきている
対照的なレスシリンダー化の究極ともいえる2気筒が振動対策の難しさから、現在のところ拡がりが限定的であります
クランクは各気筒ごとに120度の位相角を持つ
点火順序は#1-#2-#3が一般的
点火間隔は240度の等間隔
各気筒の行程が720度の間に理想的に分散するため、吸排気ともに干渉は起きないのです
もうひとつ、3気筒の重要なメリット!
クランクシャフトが2回転するうちに、吸入、圧縮、膨張、排気という4つの行程を消化する4ストロークサイクルエンジンは、クランクシャフトが2回転、要は720度回転することで全ての気筒が全行程を終えます
これはどんなに多気筒化が進んでも不変の要素であり、4気筒では180度ごとに同じ行程が次の気筒へ移っていく、つまり180度ごとの点火となる
バルブタイミングは吸排気ともに各行程の開始/終了の基準となる上下死点よりも早めに開いて、遅れて閉じ
バルブが開くことになる吸排気行程の理論的なクランク角範囲は180度だが
実際に吸排気バルブが開いている範囲は220~230度前後
180度ごとに次の気筒へと同行程が移る4気筒では、吸排気側ともに複数の気筒で同時にバルブが開くことが避けられないので、吸排気の流れに気筒間での干渉が起こりやすい
特に排気での干渉は燃焼ガスが完全に排気されずシリンダー内に残留し、高圧縮化の障害になるなど、デメリットが多い
のです
これを避けるためには排気管の集合部分までの寸法を長く取るなどの工夫が必要となり、寸法的な制約が厳しい現代ではあまり歓迎されない要素であるになります
4ストロークサイクルエンジンはクランクが2回転で全行程を終える
この要素は気筒数が増えても不変
4気筒以上では気筒間でバルブタイミングが重なり、吸排気管を介して干渉が起こりやすい
これを避けるためには分岐までの寸法を長くするなどの工夫が必要
写真はマツダCX-5の排気管
バルブタイミングが重ならない2組のグループで連結、その先でさらに連結するという4-2-1形式を採用
管長を稼ぐために複雑なレイアウトとなっている
対して、点火間隔が240度となる3気筒では、吸排気ともにバルブの開閉タイミングが爆発間隔の中に完全に収まり、吸気側、排気側ともにバルブが開いている気筒はひとつだけ
つまり、気筒間の干渉を考慮する必要がないため、吸排気系をコンパクトにまとめられる
さらに排気干渉がないということは、ターボを組み合わせる際にもツインスクロールの必要がない
ダウンサイジング化に欠かせないターボとの相性も実に良い
エキゾーストバルブタイミング図
3気筒エンジンではクランク2回転ですべての気筒の全行程を終えるため、720度÷3=240度つまり240度毎に同じ行程が繰り返される
さらに、4気筒エンジンではひとつの行程が基本的に180度の間に行なわれるので、同じ行程の間隔は240度-180度=60度
(インテークを例にすると、#1で吸気行程が終わる#1の下死点から、次の吸気行程が始まる#3の上死点までの間隔)
バルブタイミングは、インテーク、エキゾーストともに上死点、下死点を跨ぐかたちで余裕を持って開くかたちとなるが、この“余裕”部分が3気筒では気筒間の間隔となる60度の間にピタリと収まるのです
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image