検索
アフィリエイト広告
ファン
最新コメント
<< 2024年11月 >>
1 2
3 4 5 6 7 8 9
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
タグクラウド
写真ギャラリー
プロフィール
カテゴリーアーカイブ

2024年11月28日

【物語】いつまでも到着できない場所

【広告】







いつまでも到着できない場所


遥か彼方の空には、常夜灯のように星が輝いていた。
少年、アレンは、その星々を眺めながら、どこまでも続く道を行く。
目的地は、地図にも載っていない、誰も知らない場所。
それは、アレンの心にだけ存在する、永遠に辿り着けない場所だった。

アレンがその場所を目指すようになったのは、ある本を読んだことがきっかけだった。
その本には、世界のはしっこに、すべての願いが叶う場所があると書かれていた。
アレンは、幼い頃から病弱な体で、思うように遊ぶことができずにいた。
そんなアレンにとって、その場所は、まるで楽園のように思えた。

道中、アレンは様々な人々と出会った。
旅の途中で出会った老人は、アレンにこう言った。

「目的地は、どこにあるかではなく、どこへ向かっているかが大切なんだよ。」

旅を続けるうちに、アレンは、目的地よりも、その道中にある出会いや経験こそが、
自分にとって大切なものだと気づき始めた。

ある日、アレンは、深い森の中に迷い込んでしまった。
そこは、今まで見たことのない、神秘的な場所だった。
木々は、まるで空に向かって伸びているようで、その間を光が差し込み、
幻想的な空間を作り出していた。

しばらく進むと、小さな湖にたどり着いた。
湖面には、満天の星が映し出されていた。
アレンは、湖に腰かけ、その光景をじっと見つめていた。
すると、湖の中から、一匹の光る魚が飛び出してきて、アレンの目の前で輝いた。

その魚は、アレンの心に語りかけた。

「君は、なぜこの場所を目指しているのか?」

アレンは、自分の気持ちを正直に話した。
すると、魚はこう言った。

「君は、すでに目的地に着いているんだよ。大切なのは、どこに着くかではなく、
 その道中で何を経験し、何を学んだかだ。」

アレンは、魚の言葉を聞いて、ハッと気づいた。
自分が求めていたものは、場所ではなく、何かを成し遂げることや、誰かと出会い、
共に時間を過ごすことだったのかもしれない。

それから、アレンは、もう目的地にこだわらなくなった。
ただ、目の前の道を歩き続けるだけで良かった。
道中では、様々な困難や挫折を経験したが、その度に、アレンは立ち上がり、前に進み続けた。

長い旅の果てに、アレンは、ある小さな村にたどり着いた。
そこは、アレンが今まで見たことのない、穏やかな場所だった。
村の人々は、アレンを温かく迎え入れてくれ、アレンは、そこで暮らすことにした。

村で、アレンは、本を読み、子供たちに話を語り、人々との触れ合いを楽しむようになった。
そして、アレンは、自分が探し求めていたものは、この村で暮らすことだと気づいた。

ある夜、アレンは、いつものように空を見上げた。そこには、変わらず星が輝いていた。
アレンは、静かに目を閉じ、心の中で呟いた。

「僕は、もう迷わない。ここに、私の居場所がある。」

アレンの旅は、決して終わることはない。
しかし、彼はもう、目的地を探す必要はない。
なぜなら、彼は、いつまでも続く道の途中で、本当の自分を見つけることができたのだから。




【広告】



Build a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: