2020年、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト3を発表します。日本サッカー部門の第2位は、こちら!
<名言 1>
「最初は相手がどこの誰だろうが、オレのペースに合わせんかったらまずは衝突する」
(本田圭佑/795号 2012年1月12日発売)
◇解説◇
本田は「外国人とのコミュニケーションにおいて意識していることは?」との質問に対して、このように答えている。
「ぶつかり合いがあるからこそ、相手をわかってくるというか。そこから、相手が何を求めているのか見えてくる」
自己主張の激しい外国人選手と渡り合うためには、火花を散らすせめぎ合いが必要だと本田は説く。
実際、本田は日本代表でも若き日から“波紋”を起こすことをためらわなかった。その象徴的なシーンと言えば、岡田ジャパン時代の2009年に遠征したオランダ戦だろう。
0-0で迎えた後半18分、日本はペナルティエリア外や右の位置で直接フリーキックのチャンスを得る。ここでキッカーの位置についたのは中村俊輔と遠藤保仁、そして本田だった。
本田圭佑と中村俊輔の「衝突」
角度と序列的には中村がキッカーを務めるのが当然——そんな空気の中で、本田は“オレが打つ”と主張し続けた。最終的には中村が左足を振りぬいたが、2人のやり取りは「衝突」としてメディアに取りざたされた。
なおアルベルト・ザッケローニ監督体制でも、そのスタイルは何ら変わらなかった。
ブラジルW杯直前のタイミングで「監督と話がしたい」と指揮官に胸中を明かし、ザッケローニ監督に「圭佑は目的に向かって真っすぐ突き進む人間だ」(861号/通訳日記)と言わしめたという。
「満足できないのであれば、今すぐ出ていってもらう」
<名言 2>
「私のチームにスターは要らない。満足できないのであれば、今すぐ出ていってもらう。それが私のやり方だ」
(ヴァイッド・ハリルホジッチ/879号 2015年6月4日発売)
◇解説◇
ブラジルW杯後、ハビエル・アギーレ元監督の“八百長疑惑”による解任劇の後、日本代表の指揮を任されたのはハリルホジッチ監督だった。
戦術の世界的トレンドが「バルサ的な緻密なパスワーク」から「素早いカウンタープレスと縦に速い攻撃」に移行しつつある中で、ハリルホジッチ監督もその志向を強く押し出した。
厳格な姿勢は日本代表でも貫いた
同時に、ハリルホジッチは自らのやり方を選手に徹底させるタイプでもあった。
冒頭の言葉は2011年、アルジェリア代表監督に就任した時のもの。また「あなた方が私に合わせるか、それともチームを去るのか。好きにすればいい」とまで言い放ったのだという。
この厳格な姿勢は日本代表でも貫いた。ブラジルW杯まで長年主力だった本田圭佑や香川真司、岡崎慎司らが控えどころか選考外となることもしばしばで、選手からの意見に譲歩することはなかった。
ロシアW杯出場を決めたオーストラリア戦では完璧なゲームプランで勝利をつかんだ一方で、その後のハリルジャパンは結果・内容ともに理想に伴わない試合が続いた。そして選手側との溝が決定的となったとされる2018年4月、解任。
W杯直前に“出ていく”ことになったのはハリルの方だった。
“事件”はドイツW杯最終予選で起きた
<名言 3>
「口論とかって書かれたけど、大したことじゃない。ヒデとは、今回初めて一緒にやったから」
◇解説◇
初の決勝トーナメント進出を果たした日韓W杯後、高揚感の中でジーコジャパンは船出を切った。
チーム立ち上げ当初は中田英寿、中村俊輔、小野伸二、稲本潤一の4人が“黄金の中盤”と称されたが、ドイツW杯予選が始まる頃にダブルボランチの一角をつかんだのは福西だった。
当時、福西は名波浩や藤田俊哉らとともにジュビロ磐田の黄金期を築き上げていた。高いリスクマネジメント能力とフィジカルをジーコ監督が買って起用したのだが、“事件”は2005年3月、ドイツW杯最終予選イラン戦前の練習で起きた。
福西と1年ぶりに代表復帰した中田英が、ボールの奪いどころで主張をぶつけ合い、実戦形式の練習が中断するに至ったのだ。絶対的な存在だった中田英に対して、同い年の福西が真っ向から対立したとメディアは大きく騒ぎ立てたが、福西本人は後に飄々と「まあ、初めての意見交換って感じで」と語っている。
迎えたイラン戦、日本はアウェーで1-2と敗れたものの、福西は一時同点となるゴールを決めるなど、国内組としての存在感と意地を見せた。
そして続くバーレーン戦では中田英とダブルボランチを組むと、「ヒデと2人で中盤で巧くプレスをかけようと思っていた。お互いの距離が離れすぎないようにってことは注意していたし」と息の合ったプレーで1-0の勝利に貢献した。
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