ITmedia Mobile 9月10日(土)6時10分配信
昔のポケモンと「ポケモンGO」で決定的に違うこと
画像:ITmedia
「Pokemon GO」(以下、ポケモンGO)をキーワードに10〜40代まで幅広い年代を集めた「ポケモンGO座談会」を実施し、前回は「ポケモンに世代格差はあるのか」について話し合った(座談会は8月中旬に実施)。
【画像】ポケモンGOに足りないもの
今回は、「ポケモンGOを続けるためのモチベーション」や「ポケモンへの愛着がわきにくいゲームシステム」など、ゲームの仕組みについて意見を交わしている。
(構成:ITmedia村上)
●参加者プロフィール
すずまり:
40代のライターで非ポケモン世代。IngressのコアユーザーでポケモンGOはβテストから遊んでいる。ポケモンGOのレベルは17(座談会当時、以下同)。
鳥羽:
「トバログ」を運営しているブロガー。23歳のポケモン世代で、ポケモンGOはリリースから3日でレベル22に。お気に入りはユンゲラー。
サダタロー:
ポケモンは全く分からないアラフォーの漫画家。ITmediaにてサダタローの「シェアさせていただきます!」を連載中。
Sakai:
Ingressコアユーザーで、ポケモンGOはβテストから遊んでいる。40代の非ポケモン世代だが、ポケモンGOのレベルは20。
あると:
14歳のギリギリポケモン世代。お父さんとIngressをしていた流れでポケモンGOもすることに。そこまでハマっているわけではなく、レベルは10。
村上:
この記事の編集担当。27歳のポケモン世代でポケモンGOのレベルは21。とりあえずピカチュウをゲットするまでポケモンGOを続ける予定。
●ポケモンGOは「知らない人との連帯感」がある
サダタロー 皆さんの話を聞いてると、ポケモンGOって釣りっぽいですね。休みの日に魚がいる場所にいって釣ってくるみたいな。
村上 「ルアーモジュール」っていう、ポケモンをおびき寄せるまき餌みたいなアイテムもありますし。
サダタロー ルアーなんてあるんですか(笑)。
村上 ポケストップっていう場所があるんですけど、そこでルアーモジュールを使うと、30分間ポケモンが出現しやすくなるんです。
サダタロー エサだ!
すずまり ポケモンを釣ってるつもりが、実はそこに集まっている人間の方が釣られているという。
サダタロー その辺も釣りと同じじゃないですか(笑)。入っちゃいけないところで釣りする人もいるし。それは自分以外の人も同じ恩恵を得られるわけですか?
すずまり そうです。ポケストップの周囲に花吹雪が舞うので、それ目指して集まってきます。
村上 みんなの画面に同じようにポケモンが出てくるので、「レアポケモンが出たぞー!」とか言うと、みんなわらわらと集まってくるんですよ。
すずまり もし早い者勝ちで、誰かが「オレがゲットした! いえーい!」で終わったら暴動が起きますよね。
サダタロー みんなで全く同じ空間(プレイ画面)を共有してる感覚なのかな?
村上 そうですね。友達と一緒に行くと同じポケモンを捕まえられるので楽しいです。
Sakai 知らない人同士の連帯感みたいなものが、もしかしたらポケモンGOにはあるのかもしれないですよね。Ingressは無言ですれ違うだけだったり、ゲームのシステム的にむしろ戦いになったりするんですけど、ポケモンGOは初めて会った人とも同じ空間を共有できるという感覚がありそう。
すずまり Ingressでポータルのオーナーになるのはまさに戦いで、夫婦でも一緒にいくとケンカになるらしいです。ポケモンGOは、ジムバトルでなければレベルに関係なくみんなでワイワイできるところが楽しそう。ただ、Ingressみたいに攻撃アイテムで敵陣を一掃するみたいなことができないので、スカッとする要素が少ないなって思いました。
村上 そこはやっぱり、「やった! ピカチュウ捕まえた!」とかでスッキリするんですよ(笑)。
●ポケモンGOへの“モチベ”の悩み
すずまり 知名度や希少性が高いポケモンを捕まえると喜びはあるけど、本当に一瞬なのでモノを買う感覚に似てるかな。ポケモンを知らないからそもそもレアかどうかもよく分からないし、レアと言われても「何これ?」となってうれしくないこともあります。今は淡々と集めてる感じで、「よーし!」みたいな強いモチベーションはそこまでないです。
サダタロー ポケモンGOは「短期的、中期的な目標がない」っていうのを聞いたことがあります。本当にポケモンを集めることだけが目的なら飽きやすいのかなという印象ですが。
村上 ポケモン図鑑を完成させるというのが目的の1つですね。一応自分のアバターがいてレベルを上げるという要素はあるんですけど、特に上げたから何があるというわけでもなく、ストーリーがあるわけでもないですし。
サダタロー 本当に図鑑を埋めていく作業だ……(俺はそういうの苦手って顔をしながら)。
鳥羽 捕まえたポケモンの数や種類によってメダルを獲得できますけどね。
すずまり でもそれ、Ingressと違って他の人に見せられないからあまり自慢にならないですよね。非ポケモン世代はモチベーションの持続が難しい。あと、がっつりプレイできる人も限られてますよね。あるとさんは中学生だし、夜通しポケモン捕まえるとか無理じゃないですか。
あると 今は夏休みなんで、いつでもできるんですけど。中学校はスマホだめなんで、学校始まっちゃうと難しいです。
村上 学校にはスマホを持っていけないんだ?
あると ダメですね。学校始まったらやる時間はほとんどないです。
すずまり 学校から帰って、遅い時間にまた外に出るとかだと難しいですね。
Sakai 中学生だとそうなりますね。
鳥羽 ポケモンGOって子供もターゲットにしているからか、無理に課金させないような仕組みで、課金によるレベル差がつきにくいんですよ。そういうのはすごくいいなって思いますけど、まだまだ1人で遊ぶゲームっていう印象が強いんですよね。例えばアバターも自分しか表示されないし、相手のアバターをタップしたら対戦できる機能とか欲しいです。
村上 やっぱり1人でちまちま遊ぶより、対戦やトレードなど人と一緒に遊ぶ要素が欲しいですか。
鳥羽 そうですね。現状はリアルとゲーム内含めてイベントとかも特にないんで。また何か新しい機能が追加されたら寝ないでレベル30くらいまで上げちゃうかも(笑)。
●ジムバトルが分からない
すずまり ポケモン世代の人って、原作を遊びながらポケモンの属性(くさ、みず、でんきタイプなど)やそれぞれの相性とかを覚えてきたわけじゃないですか。私たちはそんなの知らないから、ジムバトルで「こうかはいまひとつだ」とか言われてもさっぱり分からない(笑)。
Sakai それは僕もよく分からない(笑)。
すずまり ジムに配置されたポケモンを見て、こいつと相性のいいポケモンってどいつなんだろう? って悩む。いろんなサイトでポケモンの種類とか組み合わせを調べられますけど、みんなが十何年かけて培ってきたものをこの短期でおばちゃんが覚えるには無理! みたいな気持ちになるわけです(苦笑)。先日話を聞いた若者たちは当時「シルエットクイズ」や「ポケモンいえるかな?」という歌などで自然とポケモンを覚えていたそうです。
村上 ポケモンGOとゲームボーイ版のポケモンは少しシステムが違うんですよ。相性よりも技の強さが重要なときもありますし。なので、ポケモン世代でも新しく覚えることはあります。
すずまり なるほど。
●「ポケモンに愛着がわく」かどうかが大事
サダタロー すずまりさんは、ポケモンGOがきっかけで失われた17年を取り戻すっていうか、ポケモンにグッとハマってく感じはないんですか? ニンテンドーDSで昔のポケモンをやってみたいとか。
すずまり そこまではないですね……スマホ以外のゲームはしないかなと。気になるポケモンをネットで調べてみるとかはありますよ。
村上 そこから愛着がわいて、そのグッズを買うとかしないんですか?
すずまり もともとそういうタイプではないので(笑)。ただ、この間ポニータがタマゴからかえりまして。それはカワイイと思い、お気に入りマークも付けました。他の人にも「ポケモンを楽しむには、お気に入りを見つけるといいですよ」というアドバイスをもらったので大切に育てようかなと。
あると ポニータは進化するとギャロップになって、すごくかっこよくなりますよ! 私はアプリがよく落ちるというゲーム外の不満はあるけど、ポケモンをやってたので「やった、このポケモン手に入った! 進化させるぞ!」とか、そういうのは楽しいです。
すずまり そうなんだ! 私はどちらかというと、ちょっと変わった見た目のやつに目がいきます。βテストのときに捕まえたルージュラの怪しさがすごく印象に残ってたんですけど、知人がルージュラに「すずまり」って名前を付けてたんですね(笑)。「ぜひ強化してください!」ってお願いしましたけど、そういうのは楽しいですね。ぜひすずまりでジムを制圧してほしい(笑)。
Sakai お気に入りのポケモンがいると見方も変わってきますよね。
すずまり でも、お気に入りって遊びながら自然とできるものだから難しい。私レベルだと、ネタっぽくポケモンの名前を変えて遊ぶのもいいかなって。
Sakai 僕も名前は結構変えてます。ポリゴンっているじゃないですか。あれ見た目が粗いポリゴンだから、僕はあれを見て「バーチャファイター2」だなと思って即「VF2」という名前にしました(笑)。
村上 (笑)。それって、そのネタが分かる人と共有するんですか。
Sakai 分かる人がいたら楽しめるでしょうけど、今はせいぜい家族に見せるくらいですね。
鳥羽 ポケモンGOって1体1体のポケモンに愛着がわきにくいですよね。個体値が強いやつを見つけるために、たくさん捕まえて使い捨てるっていうイメージ。昔のポケモンだと、相棒となるポケモンと一緒にジムバトルをしながらストーリーを進めていくので勝手に愛着がわくんです。ポケモンGOはそういう機会が少ないのかもしれません。
村上 確かに。ゲットしたポケモンを博士に送るとアメになって返ってくる機能を初めて見たときは衝撃的でしたもん。
すずまり 私は単に博士の代わりに捕まえた御褒美にアメをもらってるって感覚だったんですが。
村上 送ったポケモンがアメになって戻ってきてるのかと思ってました……。
すずまり ひー! みんなあのアメを、ポケモンのエキスだと思ってるの?
一同 (笑)。
Sakai さっき鳥羽さんも言ってましたが、愛着という要素がシステムから除外されてしまってますよね。
村上 昔は「わざマシン」っていう、ポケモンに技を覚えさせるためのアイテムもあって、お気に入りのポケモンを最後まで育て上げてましたよ。
サダタロー 要するに今までのゲームはブリーダーで、ポケモンGOはコレクターの要素が強いんだ。
Sakai 確かに今のポケモンGOだと、一緒にジムバトルを勝ち抜いてきたっていう、戦友みたいな扱いにはしづらいですね。システムはどんどん変わるものなので、なんともいえないですが。
すずまり Ingressでは、特定のポータルへの愛着が強すぎてトラブルが起きてます。そういう意味では、ポケモンGOはあえてトラブルが起きそうな要素を事前に排除してるのかもしれないですね。
今回は「ポケモンへの愛着」というキーワードが出たが、9月2日に運営が「相棒ポケモン機能」を次回のアップデートで追加すると発表した。これは手持ちのポケモンからお気に入りのポケモンを相棒として選べるというもので、相棒ポケモンと一緒に歩くとボーナスとしてアメをゲットできる。
ピカチュウを相棒にするもよし、進化に大量のアメを必要とするミニリュウを相棒にするもよし。非ポケモン世代が愛着を持つための一助となりそうだ。
最終回となる次回は、「IngressとポケモンGOの最大の違いは何か」について語り合う。Ingressユーザーだからこそ見えてきたポケモンGOの設計思想とはどのようなものなのだろうか。
(すずまり)
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