産経新聞 8月12日(金)11時15分配信
「ポケモンGO」実は熱くなっているのは中高年ユーザーだった「妻とずっと顔を合わせなくて済む」
スマートフォンを手にポケモンGOを楽しむ人たちでにぎわう扇町公園=7月28日、大阪市北区(井上浩平撮影)(写真:産経新聞)
人気ゲーム「ポケモンGO」が国内でリリースされてから、3週間が経過した。10〜20代の若者がハマるのは分かるが、街を歩くと、意外と中高年のファンを多く見かける。なぜ、このゲームを始めようと思ったのか。東京都内の人気スポット周辺を訪れ、30代以上のユーザーを中心に質問。「ゲームやポケモンが好きだから」や、「流行しているから」以外の理由を聞いた。(本間英士)
■妻と顔を合わせたくないから
「暇だからだよ。もう仕事していないから、家に妻と一緒にいるんだけど、ずっと顔をつき合わせているのはイヤ。始めてから1週間くらいたつけれど、気分転換になるのがいいね」
都内の公園の入り口で、タブレット片手に立ち止まっていた70代男性は、「ポケモンGO」を始めた理由について聞かれると、こう笑顔で答えた。
「いい暇つぶしになるよ。前は外出するのがおっくうだったんだけど、最近は毎日ちゃんと歩いている」と語るこの男性。スマートフォンではなくタブレットを使用している理由は、「スマホだと画面が小さくて、よく分からんから」だという。
別の60代男性も「散歩のついでの暇つぶし」と回答。「若い人たちみたいに頑張ってレベルを上げたり、バトルとかをしたりしない。よく分からないし、面倒くさい。細く長く使っていきたい」と淡々と語った。
■娘と新宿御苑に行きたい
コミュニケーションの手段として「ポケモンGO」を使っているという意見もあった。
中学生の娘がいるという40代男性は、最初は「はやっているし、周りもやっているから」と回答。だがその後、「最近、あまり話をしてくれない娘とコミュニケーションを取りたいんです」と、別の方向に話が広がる。「いま僕、(人気ポケモンがよく出るという)新宿御苑にすごく行きたいんですよ。今度、娘を誘ってみようかな。たぶん、無理だと思うけれど…」と、自信なさそうに語った。
「仕事の関係上仕方なく始めた」と語るのは、テレビ番組制作会社の30代女性。あまりゲーム自体に関心がなく、始めはやる気がなかったが、やってみると意外とハマり、レベルは15に。普段は休みに家で過ごすことが多いが、「ポケモンGO」を始めてからは、珍しいポケモンが多くいるとされる錦糸公園(墨田区)や世田谷公園などを訪れたという。
「長く歩くと(ポケモンの)『たまご』が孵化(ふか)するので、歩くことが楽しくなりました。あと、初対面の人との会話の取っかかりになったり、仕事関係の人とポケモントークで話をつなげられるのもいい。天気の話みたいな感じです」
■任天堂の株が上がったから
「任天堂の株が上がったというテレビのニュースを見たから」と答えたのは、汗を流しながら公園内を熱心に歩いていた50代女性。「世界中でポケモンが流行するという現象自体に興味があるし、やっぱり自分も参加したい。『なんで(任天堂の)株を事前に買わなかったのか』という自戒の念も込めて歩いています」
自転車に乗って近隣の公園をめぐりつつ、プレー中は自転車を止め、歩きに徹するのが彼女のスタイル。「だって、(路上でのプレーは)危ないじゃないですか。公園なら、安心して歩き回れます。でも、怖いから歩きスマホはしません。バイブが鳴ったら、立ち止まって画面を見ます」
ポケモンのゲームはこれまでやったことがなく、「ピカチュウとかミニ…何だっけ? 4種類くらいしか名前を覚えていない」。とは言うものの、世田谷公園でレアポケモンをゲットした経験があるらしく、「この前、フシギバナとサイホーンを捕まえました」と満面の笑みで語った。
■小学生時代の思い出を取り戻すため
最後に、初代ポケモンゲームである赤・緑(平成8年発売)をリアルタイムで体験した世代の声を紹介したい。
都内に住む30代前半の男性は、当時クラスで流行していたポケモンをプレーしたかったが、中学受験を理由に親から禁止されていた。「取り残された感じがして、ちょっと寂しかった」と振り返る。その反動か、今では毎週末にレアポケモンが多いといわれる戸山公園(新宿区)や新宿御苑などを探索。レベルは20に達した。
「すぐ飽きると思っていたけれど、やっぱり楽しい」と語る「ポケモンGO」の魅力を、「共通の話題が増えることと、知らない街を歩く楽しさ」と断言。先日は、初めて井の頭公園(武蔵野市・三鷹市)を訪れたという。
「『イーブイがいっぱいいる』と聞いていったんですが、公園の近くにおいしいカレー屋さんや喫茶店を見つけて、むしろそのことが自分にとっての“収穫”でした。あと、この前、小学生のときの同級生と、初めてポケモン話で盛り上がれたんですよ。小学校のころに作りたかった思い出を、いま僕は取り戻しているんです」
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