※このコラムはネタバレがあります。
のっけから私事で恐縮ですが、今回紹介する「豪華フェリージャック・恐怖の20時間!」は、私が特捜最前線のDVDを見始めた最初の作品で、このドラマをきっかけに特捜の世界にのめり込んでいったのです。
このドラマは桜井刑事(藤岡弘、)さんの主役を予定していたそうです。藤岡さんがケガで降板し、 紅林刑事(横光克彦)の主演作に差し替えられたと言われています。後ほど詳しく触れたいと思います。
間一髪、大惨事を防いだ特命課
ダイナマイト100キロが盗まれた事件の容疑者を追って、紅林刑事は 長距離フェリー「さんふらわあ」に乗り込みます。そこで偶然、後輩の海上保安官(内田直哉)と再会しました。
一方、特命課には犯人からの脅迫電話がかかってきます。犯人は、東京湾に付き出した人工島「第二海堡」に海運業と商社の社長を立たせろと指示を出し、1000人の人質がいると告げたのです。
特命課の調べで、第二海堡近くの湾内で1年前に貨物船沈没事故があり、故意に沈められた疑いがあることが分かりました。二人の社長は、その貨物船の船主と荷主だったのです。
その頃、さんふらわあ号の紅林は犯人に拉致されてしまいます。男は貨物船の船長の息子で、復讐のために事件を起こしたのでした。ダイナマイトは船内に仕掛けられていますが、どこにあるか分かりません。
捜査の結果、犯人が乗っていた車にダイナマイトが仕掛けられていることがわかり、海上保安庁の船からのモールス信号をキャッチした海上保安官が、爆発寸前でタイマーを止めたのでした。
呆然とする男に、紅林は手錠をかけます。荷主に成りすまして第二海堡に立っていた神代課長(二谷英明)はじめ、特命課員全員が大惨事を未然に防ぎ安堵したのでした。
桜井刑事が出演していたら
このドラマの脚本はメインライターの 長坂秀佳氏です。大型客船のシージャックというスケールの大きさと、実は単独犯による犯行だったという展開は、まさに長坂氏の真骨頂と言えるでしょう。
ただ、事件解決の肝になる部分でゲスト出演者の海上保安官が目立っていたのが少々気になりました。その理由を考えてみると「桜井刑事が降板したことによる代替措置」という結論にいきつくのです。
紅林の役どころは、もともと桜井が演じることになっていました。であるならば、特捜の流れからすると「海上保安官と一緒に行動する別の刑事がキャスティングされていたのではないか」というのが私の推察なのです。
例えば、クライマックスとなる爆弾をギリギリのところで止めるシーン。ドラマでは海上保安官がやりましたが、本来は特命課の刑事(おそらく紅林)の役どころではなかったかと思います。
そのほかにも「ここは刑事がやった方がいいなあ」というシーンが散見しました。ただ、モールス信号を解読する場面など、海上保安官あってのシーンもしっかりと組み込まれています。
これも推察ですが、おそらく長距離フェリーへのロケは、藤岡さんと横光さんだけがキャスティングされており、代替で他の刑事(吉野や津上)を入れられなかった・・・と勝手に妄想してしまいます(笑)
スケールの大きなロケ
この作品には、 昭和の時代のドラマ作りは壮大だったことを感じさせられます。まず長距離フェリーを使ってのロケは、1時間のドラマにはもったいないくらいの贅沢ぶりです。
それに加えて、海上保安庁も全面協力し、東京湾海上交通センターのシステムを見せるだけでなく、保安庁の巡視船やヘリコプターまで出動する大掛かりなロケを行っています。
さらに、一般の立ち入りを禁止していた第二海堡(現在は国土交通省所有)でも撮影をしていますので、膨大な製作費と関係機関への協力要請があったのだろうと思われます。
私がこの作品を見たのは2021年4月のことでした。なぜ、この作品が収録されているDVD30巻を真っ先に購入したのかは、よく覚えていません。たぶん「試しに買ってみるか」くらいの感覚だったと思われます。
「豪華フェリージャック・恐怖の20時間!」と、その次の収録作「マニキュアをした銀行ギャング!」は、ともに長坂秀佳氏脚本のドラマ。最初から傑作に巡り合えたのが、のめり込むきっかけになったのでしょうね。
私だけの特捜最前線→79「マニキュアをした銀行ギャング!〜叶刑事が女革命家との知恵比べに挑む」
ドラマで重要や役割となった海上保安官役の 内田直哉さんは、声優として数多くのアニメや吹き替えなどに出演しており、現在も活躍中です。
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