※このコラムはネタバレがあります。
今回は「マニュキアをした銀行ギャング!」を紹介します。主役は 夏夕介さん演じる叶刑事と、ゲスト出演者で 女革命家役の根岸季衣さんで、スリルとサスペンスあふれるドラマになっています。
銀行強盗を企てた女と凶悪犯たち
別々の事件で逃亡中の凶悪犯3人が、銀行強盗を企てましたが未遂に終わり、そのうちの1人は犯人グループに射殺され、残りの2人と首謀者が車で逃走する事件が起きました。
首謀者は、 黒の十字軍を名乗る革命組織のリーダー的存在だった女で、未遂に終わった銀行の支店長室に別人を装って入り込み、支店長(佐原健二)と護衛していた叶刑事を脅し、現金強奪を目論みます。
支店長宅には、見張り役の凶暴な犯人の一人がいるため、叶刑事も下手に動けません。すでに銀行強盗発生をキャッチしていた特命課は、神代課長(二谷英明)が陣頭指揮を取り、作戦を展開していました。
特命課が仕掛けた盗聴器が女によって発見された瞬間、叶刑事はもう一人の犯人を足蹴りして窓から突き落とし、女と揉み合いになります。暴発だったのか、失敗を悟ったのか、女は拳銃で自分の腹を撃ってしまいます。
アジトに移され、人質にされていた支店長の妻と幼い娘にも、命の危険が忍び寄っていましたが、橘刑事(本郷功次郎)らがすんでのところで見張り役を取り押さえ、事件は無事解決したのでした。
知恵を絞る叶や神代課長
このドラマは 長坂秀佳氏が脚本を担当し、叶刑事や神代課長が女革命家に悟られないように、支店長室という密室でのようすや犯人たちの動きをどうやって探るか、という視点で描かれています。
そもそも叶が支店長室にいたのは、非常通報装置を確認するためでした。叶は「装置をテストする」と偽り、集中管制室にいた橘に「一人で十分なので応援はいりません」と、平静を装って連絡します。
これを叶からのメッセージと受け止めた神代課長は、現場に急行中だったパトカーを止め、犯人たちに警戒されないように銀行の車両を使って、橘や紅林刑事(横光克彦)らを現場に向かわせました。
橘たちは、変装して支店長室へ突入しようと考えますが、神代課長は「相手が女革命家なら、面相は割れている」と止め、代わりに高杉婦警(カンコ、関谷ますみ)を制服姿のまま支店長室へと向かわせます。
婦警が来たことで犯人たちは一瞬ひるみますが、カンコは「叶さんの様子を見てこいと言われた」と、業務命令で来たことを強調しながら、たばことともに盗聴器を叶の手元に届けたのです。
カンコの度胸の良さには驚かされますね(笑)
幼い娘を救った女革命家の詩
そして最大の見どころは 叶刑事と女革命家との対決です。冷静沈着でいながら、時には情に訴える叶こと夏夕介さん、そして理想に燃える女革命家こと根岸季衣さんの熱演あってのドラマと言えます。
女革命家が銀行強盗を企てたのは、組織を立て直す資金を得るために手段を選ばなかったため。反政府的な革命という理想を掲げているので、相棒の犯人たちとは違い、人殺しは本意ではありません。
女革命家は、少女の頃の夢と現実のギャップを読んだ詩を学生時代に発表していました。叶はその詩を口ずさみながら、支店長の娘が自分にプレゼントしてくれた「家の絵」を女革命家に渡し、人質解放を求めました。
やがて状況が急展開するなか、銃で腹を撃って瀕死の女革命家に、人質の居場所に電話するよう懇願する叶。「本当に平和を願う者なら、何の罪もない幼い子供を殺すことなんて、できるはずがない」と訴えかけます。
女革命家は、自分の詩が脳裏に浮かんだのです。そして、幼い娘を助けるためにアジトに電話をかけました。電話を切った後、力尽きた女革命家の手には、叶から受け取った「家の絵」が握られていたのです。
叶の訴えかけた言葉・・・とある為政者にも聞かせたいですね!
支店長を演じた 佐原健二さんは、ウルトラQの万城目淳として主演し、ウルトラシリーズの幹部役でもお馴染みです。特捜では、今回のような被害者だけでなく、犯人役も演じています。
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