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「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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2023年06月01日

私だけの特捜最前線→85「女未決囚408号の告白!〜母親と娘の愛憎に切り込む桜井刑事」

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※このコラムはネタバレがあります。

今回は「女未決囚408号の告白!」をご紹介します。主役は 桜井刑事(藤岡弘、)で、公判直前の殺人事件に対し、謎として残された点を推理しながら事件の真相に迫っていくという話です。

幼女の謎の言葉の意味は?

夫を刃物で刺し殺した女性(中村晃子)を逮捕、送検した特命課。検察も起訴し、初公判が開かれようとした時、謎として残された2点が引っ掛かる桜井刑事は、独自に再調査を行います。

1点目は両手で握っていた刃物に指紋が8本しか残っていなかったこと。もう1点は事件直後に女性がどこかへ電話をかけるのを目の前で見ていた幼女の謎の言葉 「メリーさんのひつじ」でした。

幼女は「電話がメリーさんのひつじを歌ったの」と言い、桜井が「それは男の声?女の声?」と聞くと、「電話の声」と返したのです。この謎の意味がどうしても分かりません。

女性は4人姉妹の長女で、木彫り職人の母親(佐々木すみ江)とは犬猿の仲でした。事件の1年前には、家族全員が集まる中で母親にナイフを突きつけ、火のついたタバコを投げ捨てるという悪態を見せていました。

桜井は拘置所にいる女性に連日面会し、真相を探ろうとします。しかし、女性は桜井に罵声を浴びせるだけ。激しい怒りを誘ってしまったことから、ついに桜井は面会中止へと追い込まれてしまいます。

女性と母親の真相に切り込む桜井

特命課の調べで、女性が母親にナイフを突きつけた出来事の前日、母親の夫が眠る墓所の近くで一家5人が焼死する火事が起きていたことがわかり、火事の直前に母親が墓参りに来ていたことも判明しました。

その姿を女性が目撃していたこと、母親が普段から煙管を吹かしていたこと、そして殺された夫が何らかのネタで母親を脅そうとしていたこと・・・こうした状況をもとに、桜井は一つの推理を導き出します。

それは「女性が夫を殺した理由は、 母親を守るためだった」。表向きには憎しみ合っていた女性と母親ですが、実は心の底で深く結びついていました。その立証となったのが「メリーさんのひつじ」だったのです。

夫を殺した女性は、母親の元に電話をかけますがすぐに切ってしまいます。思い直してリダイヤルを押し、もう一度電話をかけようとしますが、やはり母親が出る前に切ってしまったのです。

ミレドレミミミと鳴ったリダイヤル音こそが、幼女が聞いた「メリーさんのひつじ」でした。さらに女性の関係者の中で、このリダイヤル音となる電話番号の持ち主は母親宅だけだったのです。

母親と娘の真の姿を映像で見せる

この作品は、謎解きの部分も面白かったのですが、何といっても母親と娘(女性)との関係性を分かりやすく描いた点にあります。 脚本の長坂秀佳氏も、 監督の天野利彦氏も見事としか言いようがありません。

ドラマ中盤過ぎに、母親と娘が同じしぐさをするシーンを対比するように演出しています。例えば、枕を軽くたたく癖とか、タオルを干すときのしわ伸ばしであるとか、お茶を飲む時に一礼する姿とか・・・

口ではお互いを罵っている母娘ですが、そうした場面を流すことで絆の深さを見せつけてくれました。終盤には、女性が幼いころ、母親のしぐさを真似する姿を見せる「感涙もの」のシーンもあったほどです。

面会を拒否する女性に対し、桜井は手紙で自分の推理について書き記しながら、「真相が分かっても量刑は変わらないかもしれません。 でも、心が違います」と訴えかけます。

推理が正しいことの証明として、凶器の握り方を示してほしいと書き残した桜井。裁判に出廷する直前、桜井の前で女性はゴルフクラブの握り方をしてくれます。桜井の気持ちが通じたラストシーンでした。


母親役を演じた 佐々木すみ江さんといえば、2008年の大河ドラマ「篤姫」に主人公の養育係「菊本」役として出演しています。

主人公が将軍家に嫁ぐことになった時、菊本は「自分のような身分の者が養育係と知れたら面子が立たない」と案じ、自害することで自分の存在を消してしまったのです。

遺言となった「女の道は一本道でございます」という言葉は、その後の篤姫こと天璋院の生涯を決定づけていきました。脇役でありながら、主役級に負けない強烈な印象に残ったことが記憶に残っています。


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