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カツオの一本釣り漁で有名な漁師町、高知県中土佐町久礼(くれ)に生きる人々を描いた映画「土佐の一本釣り」が、同町も協力して34年ぶりにリメークされ、昨春全国公開されるはずだったのに、いまだに配給先すら決まらず塩漬け状態になっていることが分かった。映画の企画会社が複数の製作会社に製作費の未払いを繰り返しているためで、行政が対応策を検討する事態に陥っている。
同県出身の漫画家、青柳裕介さん(2001年に56歳で死去)が1975〜91年、青年誌に連載した同名の漫画が原作。80年に映画化され、ヒロインの八千代を故・田中好子さんが熱演して注目を集めた。
今回のリメークは映像企画会社「アールツーエンターテインメント」(東京都港区)が13年11月ごろ、青柳作品を管理する青柳プロダクションに案を持ち込み、映画監督の井坂聡さんに依頼。昨年亡くなった俳優の阿藤快さん、六平直政さんら演技派が脇を固め、14年6月には同町の協力も得て地元住民のオーディションも開かれ、住民も出演した。
しかし、同7〜8月に予定されていた撮影は約1カ月延期され、監督も8月に井坂さんから蔵方政俊さんに突然交代した。それに伴い、女優の井上和香さんが出演を取りやめ、製作会社自体も代わるなど混乱が続いた。
関係者らによると、アールツーから最初に依頼を受けた製作会社は、製作費を分割で受け取る契約を交わしていた。しかし、支払われたのは一部のみで撮影準備ができず、製作会社や井坂さんが抗議したところ一方的に契約解除を通告されたという。
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映画は同11月に完成し、中土佐町で先行上映されたが、引き継いだ製作会社にも製作費の一部が未払いとなるなどして配給先が決まらず、興行収入による弁済の見通しが立たないことから原盤はアールツーに引き渡されておらず、公開のめどは立っていない。
アールツーの和田敦也社長は毎日新聞の取材に「現状ではコメントできない」と説明を拒否。一方で映画の撮影には町や地元住民が協力しており、町の担当者は「(映画を)心待ちにしている人々のためにも、行政的な支援も含めてどう対処できるか検討している。早期の公開に結びつけたい」と話している。