子供の頃、夏休みと冬休みの数日間は決まって吉野の田舎の父親の実家に親戚家族が集結した。
冬は勿論年玉目当てなのだけれど他にあまりやる事がなく、親もお酒を飲んでおせちを食べて
満足したら特にやる事もないので結構早いタイミングで解散した。
夏は子供たちにとっては天国だった。昆虫採集やら、川で泳ぐやら山間部で考えられる子供の遊びを全てやり尽くして街へ戻るわけで、そして何より嬉しかったのはおばあさんが毎年作っている梅酒を大人たちには内緒で少しずつ飲ませてくれる事だった。まあ、味は薄かったけれどかきむしるようなアブラゼミの鳴き声と夏草の匂いと自家製のおばあさんの梅酒の味の記憶が自分にとって、子供時代の「THE 夏」だ。
そんな楽しい夏休みなのだが、うちの家族が一番近いせいもあって決まって最後に帰るのコトになる。
夜道を車の止めてある場所まで懐中電灯で照らしてくれるあばあさんが、寂しそうに まだ、もうちょっと
帰らんといてよ。。。 と、小声で言ってたのを梅酒を飲むとたまに思い出す。
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