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洋食屋

事務所の近くにあり

いつもその店の前を通る

ある洋食屋がある


看板やメニューのウインドー?はけっこう年代を感じさせ

値段も、ちょっとくたびれたお店の外観からすると(失礼)

高めに感じ

昼食の候補からは「ありえないだろう」と外れていたお店がある


ただ、お店の前を通るたびに
なんとなく気になっていた



ある日
同僚からその店の話しを聞いた
どこから聞きつけたのかわからないが

「地元ではちょっとした名物店で、並ぶまでいかないが
  それなりにファンがいるそうだ」と

「ふーん・・・そんな風には思えないけどな・・・」

今度、行ってみようという事になった



しばらくたって
そのお店に行く機会があった


店に入ると

厨房内にいる年配の店主と

その奥さんらしき方がウェイターとして働いていた


厨房が意外も広く本気度をうかがわせた


頑固そうな店主は
私たちに向かって、「ご注文は?」と


同僚はハンバーグ定食を
私はオムライススペシャルを注文した


店主は、忙しそうに調理を始めた

私は、店主の
上の方が膨らんだ独特の形をしたコック帽が気になった
ちょっと似合っていない様にも感じたが

時折、炎を天井近くまで上げ
調理をする、勢いに圧倒された


しばらくすると、テーブルへ料理が届けられた

見れば、とても丁寧に盛り付けられ
チェーン店では感じられない手作り感があった

芸術作品の様だった


私は贅沢な気分で一口ずつ味わって頂いた

「うーん・・・なるほど」
人気店というのに納得した


味にもこだわりがあるのだろう
とても丁寧な絶妙な味だった

あの頑固オヤジの魂を感じた


私は満足して
こんな美味しい料理に出会えた
機会に感謝した


お会計の際
自然と私の口から出た「ご馳走様!」の言葉

オヤジは「ハッ」とビックリした様に
こちらを見た


店を出る際
終始無口だったオヤジから
「ありがとうございます」の声が聞こえて来た


私は笑顔で返事をした



マニュアル通りのチェーン店が多いなか
あの料理には調理の最後に、まさに料理人の魂を吹き込んでいる様な気がした



ある意味
家庭で出てくる料理に近いのかも知れないと
気づいた


com

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