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2021年10月20日

プロローグ 滞納太郎の絶望 2




「ご結婚は?同居の家族はいますか?」



「代わりに払ってもらえませんか?」

「母は、わたしのせいで財産をすべてなくしまして。今は年金だけで。わたしも先日仕事が決まるまではずっと収入がなく・・・これまでにもいろいろ迷惑をかけていて・・・。」

「親戚とか、友人、知人、ほかに誰か代わりに払ってくれる人はいませんか?」

「わたしは地元民ではないので、そこまで付き合いの深い方はいません。親戚とも付き合いは途絶えてます。友人や、以前の街の人々とも、同じです。」

「では、支払期限までに払っていただけないと差押えとなります。既に過ぎているものも含めて、いつまでにいくら、払っていただけますか?」

「ですので、先ほどから申し上げておりますように(以下略)」

市の収税課のカウンター。最初は既視感かといぶかったが、先日同じようなやり取りをした記憶があった。

すぐには思い出せなかったが、役所の窓口でなかったことは確かだった。



※なお、前回の出展:「ケツの毛の最後の一本までむしられた気がした」は「ソムリエ」原作より。同じような気がしたから。


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